RPAの選び方とは?押さえておきたい6つのポイントを解説

RPAを導入することで、人間が処理していた業務を自動化して効率化を図れます。しかし、実際にRPAを導入する場合に、どのような手順で導入を進めれば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、RPAの選び方や、押さえておきたい6つのポイントを解説します。これからRPAの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

RPAとは

RPAとは「Robotics Process Automation」の頭文字をとった言葉です。主にパソコンやサーバーにインストールして使用することが多く、事前に登録した「シナリオ」に沿って、定型業務を自動化する役割を持っています。

RPAを活用してこれまで人間が行っていた作業を自動化することで、業務効率化を図れるというメリットがあります。自動化によって余裕ができたリソースを他の重要業務に回せるようになり、より生産性を高めることができます。

RPAでできること

RPAでできることの具体例として、次のようなものが挙げられます。

● Excelシートへのデータ入力や集計作業を自動化する
● 基幹システムから取り込んだデータを指定したメールアドレス宛てに転送する
● 取引先のWeb-EDIシステムにログインし、最新の受注データを自動的にダウンロードする
● メールで受注した発注書のデータを、自社の受注システムに転記する

上記のように、従来は人間の手で処理する必要があった業務を自動化できるため、処理時間の大幅な短縮が期待できます。時間を指定して処理を開始することも容易であり、Web-EDIにおける受注業務のように、データの配信時間が決められている業務などにも柔軟に対応が可能です。

RPAの3つの種類

RPAには主に「サーバー型」「デスクトップ型」「クラウド型」の3つの種類があります。

RPAの導入を検討する際は、それぞれの特徴を押さえたうえで、自社にはどの種類が適しているのかを適切に判断することが大切です。
ここでは、3つの種類について特徴やメリットを詳しく解説します。

デスクトップ型

デスクトップ型は、自動化の作業を行いたいパソコンに直接インストールして使用するタイプのRPAです。

パソコンが1台あれば導入できるため、サーバー型に比べると導入のハードルが低い点が魅力です。サーバー型と比較すると導入コストも安価なので、中小企業や個人事業主など、RPAの導入に多額の予算を割り当てることが難しい現場でも導入しやすいというメリットがあります。

初めてRPAを利用する場合に、まずはデスクトップ型を導入・運用してみて、一定の成果が出るようならサーバー型を使って大規模に展開するという方法もあります。

サーバー型

サーバー型とは、自社が運用しているサーバーにインストールするタイプのRPAです。サーバー型は、大量のデータを処理しなければならない業務に適しています。また、複数業務を並行して処理しなければならない場面でも、サーバー型が活躍します。 数千件~数万件のデータを一度に処理する必要がある現場など、大規模な自動化を検討している場合はサーバー型の導入を検討すると良いでしょう。

クラウド型

クラウド型は、インターネットを通じてRPAのシステムが提供される形式を指します。 サーバー型やデスクトップ型は自社のサーバーやパソコンに専用ソフトをインストールする必要がありますが、クラウド型はインターネット上でRPAのシステムにログインして利用するため、インストール作業が不要です。また、インターネットに接続できる環境下ならどこからでも利用できるため、外出先やリモートワーク先からでも気軽にRPAを利用できる点がメリットです。

RPAを選ぶときに押さえておきたいポイント

RPAシステムを選定する際は、事前に導入目的を整理したうえで、費用対効果を十分に検証することが大切です。また、自社の導入目的に合った機能を持つRPAを選び、カスタマイズの有無も確認しておきましょう。

ここでは、RPAを選ぶときに押さえておきたい6つのポイントについて解説します。

導入目的を整理する

RPAの導入を成功させるためには、導入目的の明確化が重要になります。導入するRPAツールを選定する前に、「なぜRPAを導入するのか」「どんな業務を自動化したいのか」を明確にすることで、必要な機能を絞り込みやすくなるためです。

RPAの導入目的は、「人が処理していた業務を自動化して業務を効率化したい」「ヒューマンエラーを削減したい」「従業員の業務負担を軽減したい」などさまざまです。導入目的によって選定すべきRPAも異なるため、必ず導入目的を整理することを意識しましょう。

費用対効果を検証する

RPAの導入にあたって、費用対効果の検証は重要です。RPAに限らず、新しいシステムを導入する際に「とにかく安価なシステムを選びたい」と考える人は多いでしょう。しかし、単純に価格の安さだけでシステムを選定してしまうと、導入目的を達成するために必要な機能が不足している可能性があります。

価格を重視する場合でも、自社の導入目的を達成できる機能を兼ね備えているRPAツールをリストアップし、その中で安価なRPAを選ぶことが大切です。安さだけに注目するのではなく、「価格と機能のバランスが取れたRPAを選ぶ」ことを重視しましょう。

目的に合った機能を持つRPAを選ぶ

ひと口にRPAツールといっても、ツールによって備えている機能は大きく異なります。それぞれカバーできる業務規模が異なるため、自社の導入目的に合った機能とカバー範囲を持つRPAを選ぶことが大切です。

大量のデータを同時に処理しなければならない業務がある場合は、デスクトップ型を選ぶと処理に膨大な時間がかかったり、そもそも正常にRPAツールが動かなかったりする可能性があります。大量のデータ処理が見込まれるのであれば、サーバー型を選ぶことをおすすめします。

また、外出先やリモートワーク先から利用する機会が多いのであれば、クラウド型を選ぶことで利便性が向上します。

セキュリティ対策をチェックする

安全にRPAを運用するためには、セキュリティ対策をチェックすることも重要です。

近年では悪意を持つ攻撃者によるサイバー攻撃が深刻化しており、企業として万全のセキュリティ対策を行い、サイバー攻撃から身を守ることが求められるようになってきています。

機密情報の流出などのトラブルを防止するためには、セキュリティに配慮した運用を心がけることが大切です。RPAを利用する人に限定して利用権限を付与したり、稼働中のロボットを一覧で整理して管理者が把握できていない「野良ロボット」の発生を防いだりする対策が有効です。また、実行ログを記録できるRPAを選ぶと、トラブルが起こった際の初動対応がスムーズになり、安全性の高い運用につながります。

サポート体制が充実しているベンダーを選ぶ

RPAツールを運用していると、RPAが突然動かなくなったり、設定方法が分からなかったりして、業務が停滞してしまう可能性があります。このようなトラブルが起こった際に、すぐに解決を図るためには、RPAツールを提供しているベンダーのサポート体制が充実していなければなりません。

ツールの導入前にサポート体制を十分に確認し、いざというときに速やかに対応してもらえるベンダーのRPAツールを選びましょう。メールなどの文章によるサポートだけでなく、電話でサポートしてもらえるベンダーを選ぶと、トラブル時にスムーズな解決を図りやすくなります。

RPAを導入する際の具体的な流れ

RPAを導入する際の具体的な流れは、主に次の通りです。

1. RPAが必要な理由を具体化する
2. RPAツールの適用範囲を決める
3. 導入するツールを選定する
4. RPAの開発・運用体制を決める
5. 導入するツールを選定する
6. 無料トライアルを開始する
7. 本格運用・効果測定

一つひとつのステップを丁寧に進めることで、RPAの導入成功につながります。ここでは、上記の6つのステップについて詳しく解説します。

1.RPAが必要な理由を具体化する

RPAを導入する前に、まずは「なぜ自社はRPAを導入する必要があるのか」を明確にする必要があります。すぐにツールの選定に入るのではなく、必ず自社の導入目的を明らかにして、現場でRPA導入に向けた目的意識を共有しましょう。

RPAの導入目的が明確になれば、必要な機能やツールなども絞り込みやすくなります。導入目的が曖昧だと、ツールの選定時に機能が不足したものを選んでしまったり、不要な機能が備わっているためにコストが高額になってしまったりする可能性があります。

2.RPAツールの適用範囲を決める

RPAは全ての業務を自動化できるわけではないため、自動化できる業務とできない業務を見極めて、適用範囲を決める必要があります。自社の業務をリストアップしたうえで、自動化が可能な業務と難しい業務を選別し、可能な業務についてRPAツールの適用を進めることが大切です。

「RPAに任せる業務」と「人間が引き続き処理する業務」を明確にすることで、今後の運用体制をスムーズに定めることも可能になります。

3.RPAの開発・運用体制を決める

RPAの導入を進める際は、専門の運用チームを立ち上げるのが望ましいといえます。RPAの導入から運用開始までにはある程度の時間がかかるため、導入目的の洗い出しから本格運用までのプロセスに腰を据えて取り組めるチーム体制の構築が重要になるからです。

また、RPAの運用チームを作る際は、業務に精通している人をチームに入れることをおすすめします。業務の専門知識を持つ人材をチームに編成できれば、自動化したい業務の分析・棚卸を行い、導入をスムーズに進められます。

4.導入するツールを選定する

運用チームの選定が完了したら、導入ツールの選定に移ります。サーバー型、デスクトップ型、クラウド型のどのタイプを導入するのかを決めておき、該当のタイプにおける複数のRPAツールを比較して、自社に合ったツールを選定しましょう。

ツールを選定する際は、手順1~2で定めた導入目的と、RPAツールの適用範囲を満たせているかどうかよく確認することが大切です。

5.無料トライアルを開始する

RPAツールを選ぶ際は、無料トライアル期間が設けられているものを選ぶのがおすすめです。多くのRPAツールは、2週間~1か月程度の無料トライアル期間が用意されており、全てまたは一部の機能を契約前に試用できます。

無料トライアル期間中にさまざまな機能を試してみて、自社の運用と合うかどうかを検証できれば、本格導入にふさわしいか判断しやすくなります。無料トライアルで一定の成果を挙げられることが確認できたら、本格運用に移行しましょう。

Autoジョブ名人では、2か月間の無料トライアルが可能です。じっくり検討してから本格導入を判断したい方も、安心して機能をお試しいただけます。

6.本格運用・効果測定

無料トライアルで問題がなければ、正式契約を行い本格運用に移ります。

RPAツールは本格運用の開始後も定期的に効果測定を行い、運用の改善を重ねていくことが大切です。運用の中で見つかった改善点を随時反映することで、より効果的な運用を実現し、業務改善効果を高めることにもつながります。

また、業務プロセスが変更になった場合は、RPAのシナリオも併せて見直しましょう。最新の業務プロセスとRPAのシナリオが食い違うと、想定外の結果が出て業務に支障が出る可能性もあります。シナリオが適切な状態に保たれているかどうかを定期的にチェックして、業務プロセスとのずれが生じないように調整することが求められます。

まとめ

RPAを導入することで、これまで人の手で処理していた業務を自動化し、さまざまな作業を効率化できます。

RPAの導入時は、導入目的を整理して費用対効果を検証し、自社の目的に合ったRPAツールを選定することが大切です。適切なツールを選定し、導入前には無料トライアルを利用して十分な検証を行うことをおすすめします。

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