【最新】RPAとは?メリットや自動化できる業務の具体例について詳しく解説

人手不足の深刻化や働き方改革の機運の高まりによる労働時間の見直しなど、近年ではさまざまな課題を抱えている企業が数多くあります。このような背景の中で、RPAを活用して業務の自動化を図り、業務効率化や生産性向上を目指す企業も出てきています。

そこで、本記事ではRPAの基礎知識や注目を集めている理由、自動化できる業務の具体例などについて解説します。これからRPAの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

 

RPAとは

RPAとは、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の頭文字を取った言葉です。作業の手順を「シナリオ」として設定することで、主にパソコンを使って行う定型業務の自動化が可能です。

RPAを活用すると、これまで人の手で処理していた業務をアナログからデジタルに移行できるため、業務効率化や人件費の削減、リソースの有効活用、ヒューマンエラーの削減などにつながります。

後述する人手不足の深刻化や働き方改革による労働時間の見直しなど、RPAの導入によってさまざまな課題の解決が期待されます。

RPAが注目を集めている理由

RPAが注目を集めている背景には、人手不足の深刻化や働き方改革の機運の高まり、DX推進への注目度上昇などが挙げられます。変化していく社会情勢の中で安定的に業務を処理できる労働力を確保し続けることは難しく、人の労働力の代替としてRPAが注目されているのです。

ここでは、2つの観点からRPAが注目を集めている理由を詳しく解説します。

人手不足の深刻化

少子高齢化とそれに伴う労働人口の減少により、多くの業種・業態で深刻な人手不足が起こっています。2010年時点では1億2,806万人だった日本の人口は、2050年には9,515万人にまで減少すると予測されており、高齢化率の上昇とともに生産年齢人口も減少することが見込まれるなど、将来的な人口減少への対応は必須といえる状況です。

このような人手不足の解消の手段として、人の代わりに作業を自動化できるRPAが注目されています。人が担えなくなった部分の業務をRPAに代替させることで、人手不足の現場でも従来と同様の業務をこなすことが可能になります。

働き方改革の機運の高まり

働き方改革が注目されるようになり、多くの企業において限られた労働時間で最大の成果を出す必要性が認識されてきました。

このような流れの中で、求職者も仕事と私生活のバランスを取る「ワーク・ライフ・バランス」を重視する人が増えています。Job総研による「2023年 ワークライフ実態調査」の中では、ワークライフバランスの重視する項目について「プライベートを重視」と「どちらかといえばプライベートを重視」を合算した割合が72.2%にのぼるなど、プライベートを重視したい人が多数を占めているという結果が示されました。

従来の業務量をこなしつつ、従業員のワーク・ライフ・バランスを重視した労働環境を実現するためには、RPAを活用した業務効率化が効果的です。このことから、RPAを積極的に導入しようと考える現場が増えています。

 

DX推進への関心度の上昇

DX推進への関心が高まっていることも、RPAが注目されている理由のひとつです。社内の業務をデジタル化したうえでRPAによって自動化すると、業務のスピードアップや正確性の向上につながります。

DX推進によってRPAを活用する土壌が整い、結果的にRPAを導入したいと考える企業が増えているのです。

RPAのメリット

RPAのメリットとして、業務効率化を実現できる点やコスト削減につながる点、社内のDX推進につながる点などが挙げられます。RPAの導入を迷っているのであれば、メリットを押さえたうえで、導入コストを踏まえた費用対効果を検証することをおすすめします。

ここでは、RPAの3つのメリットについて解説します。

業務を効率化できる

人が処理すると手間のかかる業務も、RPAで自動化することによって処理スピードの大幅な向上が期待できます。業務効率化を図るのであれば、RPAの活用は効果的です。

人は24時間働き続けることはできず、連続で業務を処理し続けるためには交代勤務を行うなどの工夫が必要になりますが、採用を増やせば多くの人件費が発生します。

一方のRPAは事前の設定に従って24時間業務を処理し続けることも可能です。

コスト削減につながり柔軟な経営判断ができる

RPAを導入すると、これまで人の手で処理していた業務を自動化できるため、人件費の削減につながります。浮いたリソースは他の業務に割り当てられるようになるため、より生産性の高い業務に集中できます。

新規商品の開発や既存商品の改善、マーケティングの新規施策など、顧客満足度の向上に直結する「人がやるべき付加価値の高い業務」に注力すれば、ビジネスの成長も期待できます。

社内のDX推進によってRPAを活用しやすくなる

近年ではDXの重要性が社会全体に浸透しつつあり、多くの企業がデジタル活用を推進しています。DXの推進によって積極的にデジタル活用を行える土壌が整うことで、RPAを活用しやすい環境を醸成できます。

「RPAに興味があるけれど、社内がほとんどデジタル化されていないため、どこから手をつければよいのか分からない」という企業も少なくありません。

このような企業においては、社内のシステム整備や既存データの集約など、DXを意識した社内のデジタル活用を進めてみましょう。そのうえでRPAの活用を検討し、定型業務の自動化に取り組むことをおすすめします。

RPAのデメリット

RPAにはさまざまなメリットがありますが、一方で業務フローが変更になるたびにメンテナンスの手間がかかったり、自動化できる業務が限られていたりするデメリットもあります。デメリットを理解したうえで、メリットを活かすような運用計画を立てることが大切です。

ここでは、RPAの2つのデメリットについて解説します。

業務フローの変更時にメンテナンスが発生する

RPAは事前に「シナリオ」と呼ばれる手順の登録作業が必要になるため、業務フローが変更になるとシナリオの変更作業も行わなければなりません。そのため、頻繁に業務フローが変更になる現場においては、メンテナンスの手間がかかりすぎる可能性があります。業務の内容によっては、結果的に人の手で処理した方が工数を抑えられるケースも出てきます。

RPAでの自動化を考える際には、業務内容を棚卸し、本当にその工程が必要か、順番を入れ替えてスムーズに自動化できないかなどを検討することをおすすめします。

自動化できるのは基本的に定型業務のみ

RPAは既存業務の一部を自動化してくれますが、全ての業務を自動化できるわけではありません。自動化が可能なのは基本的に「手順が決まっている作業のみ」であり、手順が一定していない業務については自動化できない点に注意が必要です。

例えば処理の一部に人の判断を必要とするような業務は、RPAによる自動化に適していません。最初から最後まで機械的に処理できる業務に限り、RPAによる自動化が可能です。

ただし、AIと連携させることで一部の業務は自動化できる場合もあります。具体例としては、AI-OCRで手書き文字を認識・データ化し、その内容の集計・分析などをRPAが行うことが挙げられます。

RPAの種類

RPAにはデスクトップ型、サーバー型、クラウド型の3種類があり、現場の用途、自動化したい業務の規模などに応じて適切な種類を選びましょう。

デスクトップ型

デスクトップ型とは、パソコンにインストールして利用するタイプのRPAです。RPAを利用したいパソコンの台数分だけライセンスを購入する形式が多く、インストールしたパソコンごとにRPAを動作させることができます。

後述するサーバー型はサーバー単位でライセンスを購入するため、導入費用が高額になりやすいのが難点です。一方のデスクトップ型は1台単位で必要な分だけRPAを利用できるため、スモールスタートに適しています。

中小企業などRPAにかけられる予算が限られている場合は、デスクトップ型のRPAが重宝します。

サーバー型

サーバー型は、サーバーにインストールして利用するタイプのRPAです。サーバー上にインストールするとネットワーク上に接続されているパソコンの作業をまとめて自動化できるため、大企業などで大規模展開したい場合に向いています。

RPAの稼働には管理者の設置が必要になりますが、大量のパソコンに1台ずつデスクトップ型のRPAがインストールされていると、個別管理に膨大な手間がかかります。サーバー型のRPAを利用することで、社内のロボットを一元管理できるようになり、管理の手間を削減するとともにセキュリティリスクの低減にもつながります。

クラウド型

クラウド型はインターネットを経由して提供されるRPAで、WebブラウザなどからIDやパスワードなどを利用してログインを行い、RPAの機能を利用します。インターネットに接続できる環境ならどこからでも利用できるため、リモートワークなど遠方からの業務にも対応可能な点がメリットです。

近年では働き方改革が進み、リモートワークを採用する企業も珍しくなくなりました。このような企業でオフィスに出社せずRPAの機能を利用したい場合は、クラウド型のRPAもおすすめです。

RPAの3つのクラスとは

RPAは、自動化のレベルに応じて3つの「クラス」に分けられています。クラスが上がるたびにRPAが自分で判断できる内容が増え、人の手を介さずにさまざまな業務を自動化できるようになります。

現在のRPA市場で実用化されているのは主にクラス2までとなっていますが、将来的にはクラス3の実用化も実現する可能性があります。ここでは、各クラスの詳細を解説します。

クラス1:Robotic Process Automation

クラス1は、手順が決まっている定型業務の処理を行うRPAです。処理手順が明確に定められている作業以外は自動化できないため、自動化の前に必ず「シナリオ」を作成してRPAに作業内容を指示する必要があります。

例えば販売管理システムへのデータ入力業務や発注データからエクセルファイルへの転記作業、Web-EDIシステムからの帳票データのダウンロードなどがクラス1の業務としてよく使われています。

クラス2:Enhanced Process Automation

クラス2になるとRPAにAIが組み込まれ、RPA自身がある程度判断してデータの処理を行えるようになります。

クラス2のRPAでできる業務は、収集したデータを特定の条件に基づいて分析したり、セキュリティログを分析してリスクを洗い出したり、過去の売上データや来客傾向などから売上予測を立てたりする作業などがあります。

また、顧客が閲覧したWebサイトの内容を自動的に分析しておすすめ商品を表示する「レコメンド広告」なども、クラス2のRPAで作業が可能です。

クラス3:Cognitive Automation

クラス3は、膨大なデータを自ら学習し、判断や予測に役立てられる高い知能を持ったRPAを指します。

季節や天候などの変動要件を加味した仕入れ予測、顧客からの問い合わせ対応、社会情勢を考慮した柔軟な経営判断など、現在は人の判断が不可欠な作業も、クラス3が実用化されれば自動化が可能です。

前述のように現在の技術で実現しているRPAはクラス2までであり、クラス3はほとんど実用化されていません。しかし、今後もAIの発展が続いていけば、近い将来クラス3のRPAが市場に登場する可能性は高いと考えられています。

RPAで自動化できる業務の例

RPAで自動化できる業務には、データの転記作業や情報収集業務、データチェック作業、アプリケーションの自動操作などがあります。自社の業務をRPAで自動化する際は、事前に業務をリストアップして、自動化が可能な領域を見極めることが大切です。

ここでは、RPAで自動化できる4つの業務の例を紹介します。

データの転記作業

RPAで自動化できる業務の例として、既に存在するデータを他のシステムやアプリケーションに転記する業務が挙げられます。

メールで受信した請求書のデータを自社の請求発行システムに入力したり、発注データや受注データ、納品データなどの受発注に関わるデータを受注管理システムに転記したりする処理はRPAが得意とする分野のひとつです。

既存のデータを手動で他のシステムやアプリケーションに転記すると、入力の過程でヒューマンエラーが発生する可能性があります。しかし、RPAを活用すれば自動的に転記処理を行えるため、ヒューマンエラーの発生を抑制できます。

情報収集業務

RPAにWebサイトを自動的に巡回させ、業務に必要な情報を収集することも可能です。

例えばコスメブランドを展開する企業にとって、自社ブランドの商品を改善する際にユーザーの口コミ情報を収集したり、不動産会社であれば、適切な家賃を設定するためには競合他社が設定している家賃の相場を調べるなどです。

このようにWebサイト上の口コミや特定のデータを必要とする場合に、RPAで自動的に情報収集を行えるシナリオを作成しておけば、複数のWebサイトを手動で巡回する必要がなくなります。

データチェック作業

RPAを利用して、データチェック作業を行うことも可能です。社外へ公表する文書の作成後、社内ルールに照らし合わせて記載チェックを行ったり、申込データの内容と顧客データを突き合わせて自動的に整合性を確かめたりする業務にRPAを利用できます。

膨大なデータを一件ずつ手動でチェックする作業は、作業に時間がかかるだけでなく、従業員の負担感を増大させます。RPAを使って自動的にデータチェックを行えれば、正確かつ迅速にチェック作業を完了でき、従業員の負担軽減にもつながります。

また、事前に設定したルールと照らし合わせてチェックを行うことで、セキュリティリスクの軽減も期待できます。

アプリケーションの自動操作

RPAは、一部の問い合わせメールへの自動対応やワークフローの自動実行、指定した条件での検索なども行うことができます。

例えばユーザーから送られてきた「発送時期を教えてください」のような問い合わせメールに対して、事前に設定した定型文を自動的に返信するようなシナリオを作成しておくと、メール対応の工数を削減できます。

ただし、あくまでも現段階のRPAは「指定した条件に基づいて処理している」のであって、「メールの内容を自ら理解してオリジナルの文章を作成する」わけではありません。そのため、事前に返信の条件などを細かく検討しておくことが大切です。

RPAが苦手としている作業

前述のように、RPAは定型的な業務の自動化を得意としている一方で、毎回結果が変わる柔軟な判断が必要な作業は苦手としています。

個別の判断が必要な業務や、手順の変更が多い業務、ルールが複雑な業務などはRPAが適切に処理できない可能性が高いため、人が担当したり、業務の一部をRPAに任せるという運用にする必要があります。

「RPAで自動化する業務」と「引き続き人が担当する業務」を明確に切り分けて、RPAが活躍できる部分において自動化の範囲を最大化することが大切です。

RPAの活用事例

最後に、RPAの具体的な活用事例を2つ紹介します。発注書や請求書等のデータ登録作業の自動化や、Web-EDIとの連携によるダウンロード作業の自動化は、多くの企業で取り入れやすいRPAの活用方法なので、これからRPAを新たに導入したいとお考えの方はぜひ参考にしてください。

発注書・請求書等のデータ登録作業自動化

発注書や請求書をはじめとしたデータ登録作業は、RPAで自動化しやすい業務のひとつです。FAXなどを通じて紙で受信した発注書の内容をOCRで読み取ってテキストデータ化し、そのデータをRPAで自動的に受注システムへ登録する仕組みです。

人の手でデータの読み取りから登録を行うと膨大な時間がかかりますが、RPAに登録作業を一任すれば、短時間で高速なデータ登録が可能になります。

最近ではOCRにAIを組み込んだ「AI-OCR」も普及しており、従来では判断が難しかった手書き文字も柔軟に読み取れるようになってきています。顧客による手書きの申請書や入会申込書なども正確にテキストデータ化できるため、人による判断が必要な一部業務も効率化できます。

Web-EDIとの連携によるダウンロード作業の自動化

Web-EDIは発注データや請求データなどのやり取りをインターネット上で完結させられる効率的な仕組みですが、各社で共通したフォーマットがないため、取引先が増えるたびにログインしなければならないサイトが増える可能性があります。

そこでRPAにWeb-EDIシステムのログインIDとパスワードを入力してログインした後、新規のデータをダウンロードするまでの一連の動作を記録することで、帳票データのダウンロード作業を自動化できます。

人がデータをダウンロードする場合、中には早朝や深夜にデータを更新する取引先に対応して早朝に出社したり、夜間にデータを確認したりしなければならない場合もあります。RPAを活用すれば、指定した時間に自動で処理を実行するため、人が時間に縛られる必要もなくなります。

WebEDI受注業務を自動化し、人手による作業をゼロにすることもできます。くわしくはオンデマンドセミナーをご覧ください。

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まとめ

RPAを活用することで、手順の決まった業務を自動化し、業務効率化や生産性の向上を図ることが可能になります。人手不足の深刻化や働き方改革による労働時間の見直しが多くの企業で課題になっている中、RPAの活用は課題解決に有効な手段のひとつです。

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