
中小企業こそRPAを導入すべき理由とは?おすすめの業界や事例を紹介

中小企業が抱える課題として、人手不足や業務の属人化、業務効率の低下などが挙げられます。しかし、限られたリソースでこれらの問題に対処するのは容易ではありません。
こうした課題を解決する手段として注目されているのがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)です。業務の一部やプロセスを自動化することで、生産性向上やミスの削減、人材の有効活用が可能になります。
本記事では、中小企業がRPAを導入すべき理由を詳しく解説するとともに、RPAの導入に適した業界や実際の活用事例についても紹介します。業務効率化を検討中の経営者様や担当者様は、ぜひ参考にしてください。
最小限のリソースで最大限の成果を得るために、中小企業がRPA導入を行うメリットについて説明します。
近年、中小企業でも人手不足や競合の激化により、作業効率を上げて生産性を高める重要性が増しています。そうした状況でRPAを導入すると、定型業務を自動化して人的リソースを戦略的な業務に振り向けることが可能となります。大企業よりも経営資源が限られがちな中小企業だからこそ、コア業務に集中できる環境づくりが求められており、RPAはそのベースを支える大きな役割を担っているのです。
RPAについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事を参考ください。
【最新】RPAとは?メリットや自動化できる業務の具体例について詳しく解説
業務効率化とコスト削減
RPAを活用する最大のメリットは、データ入力やコピー&ペーストなどの単純だけど大量に処理しなければならなかったり、毎日決まった時間に行うなどのルーチンワークを、ソフトウェアロボットが正確かつ高速に処理してくれる点です。これにより、人件費や残業代の削減が図れるだけでなく、作業に割く時間そのものが短縮されます。経営資源の限られた中小企業では、この時間削減効果が特に大きく、他の重要業務にリソースを充てやすくなります。
エラーの削減と品質向上
人間が行う単純作業には、どうしてもヒューマンエラーがつきまとうものです。しかしRPAは決められたルール通りに作業を実行するため、入力ミスや転記ミスなどのエラーを大幅に抑制できます。業務品質が安定することは、取引先や顧客への信頼度アップにつながり、長期的に見てもビジネスの基盤を強化することが期待できます。
属人化の解消
中小企業の現場では、特定の担当者しか分からない独自の手順やノウハウが蓄積されがちです。業務フローを標準化し、RPAを適用することで業務属人化を解消することができます。属人化が解消されると、担当者の異動や退職による業務停滞のリスクが減ります。また、業務手順が標準化されるため、新しい従業員の教育・訓練も容易になります。
ここではRPA導入を検討する際の手順やツール選定の基準、導入プロセスの押さえどころを紹介します。
RPA導入にあたっては、対象業務の明確化やコスト面の検討など、準備段階でしっかりと計画を立てることが重要です。特に中小企業では、限られた予算を効率的に使う必要があるため、導入の優先順位や運用体制をどのように整備するかが成功のカギとなります。以下では、ツールを選ぶ際のポイントと実際の導入ステップについて詳しく解説します。
ツール選定時の判断基準
RPAツールを選ぶ際には、費用対効果や操作性、サポート体制などを総合的に検討する必要があります。クラウド型であれば初期導入コストを抑えつつ拡張しやすい一方、オンプレミス型は自社サーバーで運用できる分、セキュリティ面で安心できるメリットがあります。最終的には自社のリソースや業務内容に合った形で、導入後の運用まで想定した選定を行うことが大切です。
導入ステップの詳細
まずは自社が抱える課題や手間の多い業務を洗い出し、RPAで自動化できるかを検討します。その後、導入範囲や必要な予算を決定し、ツールを選択したらパイロット導入で実際の業務に当てはめてテストする段階に移ります。運用が始まったら定期的に成果を振り返り、追加で自動化できる作業を見極め、機能拡張や改善につなげるサイクルを回していくことがポイントです。
RPA導入を成功させるために気をつけるべきポイントや、事前に行っておくべき対策について解説します。
RPAは優れた業務自動化ツールですが、導入すればすぐに成果が出るわけではありません。実際には自動化に適した業務を見極めたり、関係部門と連携したりと、地道な準備が必要です。以下のポイントを把握しておけば、よりスムーズな導入と安定した運用が実現できるでしょう。
RPAを適用する業務を選定する
RPAはロボットに設定されたルールに従い、定型的な手順を繰り返すのが得意です。そのため、人間の判断を要さず、手作業によるミスが発生しやすい業務を優先的に選ぶと導入効果が大きくなります。特に毎日あるいは週単位で頻度の高い作業は、導入のメリットが顕著に表れるので、まずはそこから着手するのがよいでしょう。
スモールスタートを意識する
いきなり大規模な導入を計画すると、想定外のトラブルやコスト超過が生じるリスクがあります。まずは比較的規模が小さい業務や部門から導入を始め、RPAの効果を検証しながら少しずつ範囲を広げていく方が成功しやすいです。実証実験を兼ねたスモールスタートは、社内の理解やプロジェクトメンバーのスキル習得にも繋がります。
現場を巻き込んでプロジェクトを進める
RPAの効果を最大限に引き出すためには、現場の従業員の協力が欠かせません。現場レベルでの抵抗を避けるために、導入前にRPAの目的やメリットを分かりやすく説明し、従業員の不安や疑問を解消することが重要です。
また、従業員がRPAを十分に活用できるように、基本的な使い方を習得するための教育プログラムを実施するのも効果的です。
さらに、運用開始後は現場からのフィードバックを積極的に取り入れながら、プロセスの改善を継続することで、RPAの効果をさらに高めることができます。スムーズな導入と運用を実現するためには、現場と密に連携を取りながらの運用が求められます。

各業界でのRPA活用のメリットや導入のしやすさについて業界別に解説します。
業務特性や取引形態によっては、定型作業が多い業界ほどRPAと相性が良いケースが多く見られます。ここでは、中小企業の中でも特に活用メリットが高いと考えられる業種を取り上げ、その具体的な効果について見ていきます。
製造業
製造業では生産管理や在庫管理など、数値を扱う定型的な作業が多く発生します。こうした部分をRPAで自動化すれば、在庫の過不足チェックや工程別のデータ集計も正確かつ迅速に実施可能です。結果として生産性の向上だけでなく、ミスによるトラブルを回避し、さらに現場スタッフの負担を軽減することが期待できます。
卸売業
卸売業では注文管理や納品管理、請求書の発行といった手続きが頻繁に行われるため、人的負荷が大きくなりがちです。RPAを導入すると、受注データを基幹システムへ自動入力したり、納品書を一括作成したりといった定型業務を効率的に処理できます。これにより、スピーディーな出荷や売上管理が可能になり、取引先からの信頼も向上するでしょう。
食品業界
食品業界では衛生管理や品質管理など、書類作成やチェック作業が多い一方でミスが許されない厳格さが求められます。RPAを用いることで、温度や在庫数のチェック表を自動作成したり、異常値の検知も定期的に行えるためヒューマンエラーを大幅に減らせます。また、受注・出荷業務の自動化により、在庫データや配送スケジュールの管理を効率的に行えます。ミスなく迅速な業務の遂行で、安全性を確保しつつ効率化できる点が、食品関連事業における大きな利点です。
金融業界
金融業界では、契約管理、顧客対応、データ入力などの繰り返し作業が多く存在します。RPAの導入により、これらの業務を効率化し、業務時間を削減できます。
また、あらかじめ設定したシナリオに沿って処理を行うRPAの活用により、法令遵守の強化にも寄与します。例えば、口座情報の照合や契約書のデータ入力を自動化することで、見落としや誤入力などの作業ミスが減少し、業務全体の正確性とスピードが向上します。
医療業界
医療業界では、患者データ管理、請求業務、医療記録の処理など、大量のデータを扱うタスクにRPAを活用できます。
例えば、患者データの入力や更新作業を自動化すると、人的ミスを削減し、データの正確性を高めることが可能です。こうした定型業務の自動化により、スタッフが患者対応や医療サービスの質向上に注力しやすくなります。事務手続きの負担を軽減することで、人手不足が深刻化しがちな医療現場の効率を底上げする効果が期待できます。
実際にRPAを導入して成果を挙げている企業の事例をご紹介します。
導入企業の具体的な成功事例は、RPAの有用性を確認する上で貴重な情報源となります。中小企業ならではの側面や課題をどのように乗り越え、どのようなメリットが得られたのかを知ることで、導入を検討する際の参考にできるでしょう。ここでは3つの企業の事例を紹介します。
有限会社Takumi
有限会社Takumiは、ネットオークションやネットショッピング事業を展開する中小企業です。各ECモールと自社システム間のデータ連携を手作業で行うことによる作業負荷が高く、課題解決のためにRPAツールの「Autoジョブ名人」を導入しました。
ユーザックシステムのサポートを活用しながら、3ヵ月で20業務を自動化し、年間約1,150時間の業務効率化を実現しています。
特に、受注~出荷業務の一連の自動化に成功しており、安定した品質と効率的な業務推進を実現できました。また、オンラインサロンを活用することで、プログラム未経験者でも自動化シナリオの開発力が向上しました。
同社ではRPAを「第3の働き手」として活用し、より付加価値の高い業務へ注力する体制を構築しています。
テラオ株式会社
テラオ株式会社
は、自動車用品や靴用品を扱う卸売業者で、人手不足解消と業務効率化を目指してRPA「Autoジョブ名人」を導入しました。
当初、4つの業務を自動化して月間16~18時間の工数を削減できたものの、エラー発生時の対応や開発リソースの不足により利用が停滞するという問題に直面しました。
そこで2024年6月、メンテナンスと開発をサポートしてくれる「Robo派遣」へ切り替えたことで、低コストかつ効率的な自動化体制を構築し、課題解決に成功しています。
Robo派遣の導入によって、受注業務やデータ照合などの一連のプロセスが自動化されたことで、月間10~11時間の削減と年間約30~33万円のコスト効果を達成しました。さらに、今後は売上拡大を視野に入れた業務自動化への展望も広がっています。
大阪ブレストクリニック
大阪ブレストクリニックは、「ホスピタル水準以上の治療を提供する」というミッションのもと、専門医や最新設備を備えた高品質な医療を提供しています。
2021年9月にRPAツール「Autoジョブ名人」を導入し、診療報酬の算定業務などの医事会計システムからのデータ抽出と集計作業を自動化しました。
この結果、毎月4〜6時間かかっていた作業が大幅に効率化され、確認作業のみで済むようになりました。
RPA導入、業務効率化に取り組んだ背景として、労働人口減少に対する危機感があり、省力化や機械化を進めることで現場の負担軽減を図り、経営に活かしていきたいということです。
中小企業が限られたリソースの中で競争力を維持・強化するためには、定型作業をいかに効率化するかが極めて重要です。RPAは人手では避けられないミスを削減し、作業品質の均一化を実現するだけでなく、コア業務にリソースを振り向けるための強力な手段になっています。導入時にはスモールスタートや現場の協力が欠かせませんが、適切なプロセスを踏めば大きな成果を得ることが可能でしょう。
ユーザックシステムの「Autoジョブ名人」は、プログラミングの知識はなくとも、分かりやすいUIのため、初めての方でも扱いやすいRPAです。
RPAの導入から全社展開まで伴走支援する「カスタマーサクセスプラン」を提供しており、「どのように業務自動化を進めたらよいかわからない」「RPAで成果を早期に出したい」という方でも、安心してご利用いただけます。
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