RPAツールとは?ツール選びで失敗しない選び方のポイントを徹底解説

RPAツールはPCでの作業の自動化・効率化などを実現でき、組織の業務を改善する有効な手段です。本記事では、RPAツールの概要や活用例、導入時のポイントについて詳しく解説します。

RPAはパソコン上の手順が決まった操作、繰り返しの操作を自動化する技術です。定型業務を大幅に効率化できるため注目されています。

近年、組織規模に関わらず導入が広がるRPAツールには、ローコード・ノーコードで簡単に利用できる製品が多くあります。人手での作業よりも、正確かつ速い操作ができるため、業務負荷軽減や人的ミスの削減、コスト削減などの効果が期待できます。

一方で、RPAツールの導入には業務プロセスの見直しや導入効果の検証など、押さえておきたいポイントもいくつか存在します。本記事の内容を参考に、自社に最適なRPAツールを選び、生産性向上や人手不足解消にご活用ください。

RPAツールとは

RPAとはRobotic Process Automationの略で、パソコンで行う定型的な業務を自動化する仕組みです。例えば、データ入力作業やクリック操作など、人が手で行っているルーティン作業をソフトウェアのロボットが代行するため、大幅な作業時間の削減が見込めます。

既存の業務フローに合わせてスクリプトを組むことで、複数のシステムやアプリケーションにまたがる操作の自動化を実現できます。専門的なプログラミング知識を要さず、誰でも扱えるUI(ユーザーインターフェース)が充実しているため、さまざまな規模の組織、業務に導入・活用が進んでいます。

RPAでは、単純なパソコン上での操作だけでなく、それらを組み合わせた一連の業務をシナリオとしてまとめれば、業務フロー全体の自動化や管理も行えます。AIと組み合わせた利用で、さらに柔軟な業務にも対応可能です。このような特徴から、DX推進のための基盤技術としても重要視されています。

RPAが注目される背景には、人手不足や働き方改革の推進などが挙げられます。決まった手順通りに進める業務であれば自動化の対象となりやすく、人的ミスの削減、コスト削減などのメリットが得られ、多くの事例が公開されています。

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RPAツールでできること

RPAツールにより、実際にどのような作業を自動化できるのかを紹介します。

RPAツールはパソコン上での繰り返し作業を代行し、日常的に発生する単純作業の工数を大きく減らします。例えば複数のアプリケーションを連携させてデータを受け渡したり、決まった時刻に特定のタスクを実行したりと、人の手をほとんど介在させずに作業を続けることが可能です。

単なるマウス操作やキーボード操作の自動化だけでなく、画像や文字認識、色の判定なども組み合わせることで、従来は難しかった業務まで自動化の幅を広げられます。リモート環境にも対応できるものもあり、勤務地や勤務時間に縛られない柔軟な働き方を支援します。

また、RPAの導入により業務データが自動で収集・整理される点も大きな特徴です。手入力を極力減らせることで、人的ミスを最小限に抑え、正確な情報に基づいたレポートや意思決定の支援が可能になります

パソコンの画面上で行う操作の自動化

RPAツールは人が行うクリックやキーボード入力などの画面操作を覚え、同じ手順を自動で実行できます。この機能により定型業務の作業時間を大幅に削減可能です。

例えばExcelでのコピー&ペーストや固定フォーマットへの入力は、RPAが得意な作業の一つです。自動化を繰り返し利用することで、属人的な作業の標準化にも繋がります。

文字・数値・図形・色などの認識

RPAツールは画像や文字を判別し、その結果を利用する作業を自動化できます。

OCROptical Character Recognition/Reader)と組み合わせれば、紙ベースの書類のデータ化も可能です。単純な自動化だけでなく、色による判断や図形の位置情報をもとに処理を分岐させるなど高度な業務にも適用できます。

これらの機能により、ERPやグラフ作成ツールへの入出力処理も自動化でき、複雑な業務フローにも対応できます。

さまざまなアプリケーションの起動・終了

RPAツールは、PC上のソフトウェアやサービスの起動・終了が制御可能です。

例えば、始業時間に必要なアプリを起動する、終業時に一括してアプリを終了するといった運用が簡単に実装できます。受発注管理システム、メールソフト、Excelなど、複数のツールを併用する組織では担当者の負担を減らす高い効果が期待できます。

スケジュールの設定・実行

RPAツールにはタスクの実行時間をあらかじめ設定しておく機能があります。毎朝定時に集計作業を行うなどのルーティンを完全自動化できるため、担当者は他の重要業務に集中できるようになります。

自動実行のタイミングをずらすことで、サーバーやネットワークへの負荷を分散し、業務ピークを考慮した計画的な運用を実現します。

タスクのスケジューリング機能は、複数部署が連携する際にも役立ちます。必要な入力が完了した後に次工程を実施する場合など、組織内の複数部署間のスムーズなデータ受け渡しの仕組みを構築できます。

アプリケーション間のデータ連携

RPAはアプリケーション間をまたぐ動作をシームレスに繋げられます。例えばSaaSからデータを取得し、社内システムに転記、必要箇所をExcelで加工する一連の流れを自動化することも可能です。

この連携によって担当者の手作業は極力減らされ、データ転記の重複や入力ミスもほぼ無くなります。結果として業務スピードと正確性を同時に高めることができます。大量のデータ更新が必要な事務作業でも、着実かつ迅速にこなせる体制が整います。

作業の自動化が定着すれば、業務担当者はより付加価値の高い業務にリソースを注げます。

リモート操作

RPAツールによっては、遠隔からでもシナリオの実行や管理が可能です。活用することで在宅勤務や離れた拠点との連携を容易にします。テレワークの一般化に伴い、場所や時間を気にせず業務を継続する手法として利用されています。

サーバー型やクラウド管理機能があるRPA製品の場合、管理部門が一括で設定やロボット数を調整することも可能です。セキュリティ面に注意が必要ですが、柔軟な働き方を実現するツールとして注目を集めています。

遠隔管理が可能な環境を構築することで、企業全体でコラボレーションしながらRPAの稼働状況をチェックし、業務効率を最大限に高めることを図れます。

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データ整理・分析

売上やマーケティングのデータの定期的な収集は、RPAツールで自動的に収集し、整理することができます。膨大なデータの取り扱いの繰り返しをRPAに任せることで、人的なミスを回避できます。

分析を行うための前処理やフォーマット変更なども自動化可能なため、BIツールやクラウド型分析サービスとの連携を含めた自動化も図れます。RPAで人手による作業を自動化することにより、担当者は分析や施策検討に集中できます。業務フローの自動化は、企業戦略立案や顧客対応などのより高い価値を生む業務へのリソース配分を促進し、組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。

整理・分析したデータはDXの基盤としても有用なため、RPAツールの導入はDX推進施策の有力な選択肢の一つです。

レポートの生成

RPAツールにより各種ツールからのデータをまとめるレポート作成も自動化可能です。例えば、定例ミーティングで必要なデータを定期的にまとめて一定のフォーマットに落とし込む業務を自動化し、担当者の手を煩わせる作業を削減できます。労力をかけずにリアルタイムに近いタイミングで意思決定に必要な情報を提供できる点が大きなメリットです。

レポートの関係者へのメール送付や、クラウド上で共有する拡張機能を備えるRPAツールも多く、データ活用のための環境整備にもなります。

RPAツールの導入で期待できる成果

RPAツールを導入し、業務を効率化・自動化することで期待できる成果としては、下記があげられます。導入検討の材料としてチェックしてください。

人手不足の解消

定型的な入力やチェック、帳票作成などをRPAツールに任せることで、同じ人数でもより多くの業務を処理できるようになります。繁忙期や退職・休職による一時的な人員減にも柔軟に対応しやすくなり、「人を増やせないから業務を増やせない」という制約を緩和できます。採用難が続く中でも、今いるメンバーで回せる業務量を底上げできる点は大きなメリットです。

属人化の排除

RPAツールを導入する過程では、業務手順を棚卸ししてシナリオとして可視化します。その結果、「あの担当者しか分からない」属人化業務を標準化でき、誰でも同じ手順で処理できる状態を作れます。担当者の異動・退職時の引き継ぎ負荷を抑えられるほか、内部統制やガバナンスの観点でもプラスに働きます。業務が見える化されることで、現場から改善アイデアも出しやすくなります。

作業ミスの削減

人手による転記や集計では、どうしても入力漏れや桁間違いなどのヒューマンエラーが発生します。RPAツールはあらかじめ決めたルール通りに処理するため、同じ手順を繰り返す業務ほどミス削減の効果が高くなります。ログが残るため、万一のトラブル時も原因を追いやすく、業務プロセスの見直しにもつなげやすくなります。結果として、クレームや手戻り対応にかかる時間も抑えられます。

コスト削減

人件費や残業代、外注費などの削減もRPAツール導入の代表的な成果です。単に作業時間を圧縮するだけでなく、紙帳票の印刷・保管、郵送といった周辺コストの削減につながるケースも少なくありません。短期的なライセンス費用だけでなく、35年程度のスパンでトータルコストを比較すると、RPAツールの方が安くなることも多いです。目に見えにくい「ムダな待ち時間」や「確認作業」の削減も、長期的には大きなコストインパクトになります。

DX推進の土台づくり

RPAツールは「目の前の業務効率化」のみならず、DX推進の土台づくりにも貢献します。紙やFAX中心だった業務がデジタルデータとして蓄積されるようになれば、BIツールや基幹システムとの連携、AIによる予測・分析といった次のステップに進みやすくなります。まずはRPAで小さく始め、成功体験を積み上げていくことで、現場発のDXを加速させることができます。現場主導で改善が回り始めると、全社レベルのDX構想も実行しやすくなります。

ガバナンス・コンプライアンス強化

RPAツールを導入すると、業務プロセスがシナリオとして明文化・標準化されるため、「誰が・いつ・どのような手順で処理したか」をトレースしやすくなります。操作ログや実行履歴を残せるツールであれば、不正な操作や手順逸脱の早期発見にもつながり、内部統制の強化に役立ちます。

従業員満足度・エンゲージメント向上

RPAツールの導入は、単に「人の仕事を奪う」ものではなく、「人を単純作業から解放する」ための取り組みです。ルーティンワークや確認作業をRPAに任せることで、従業員はより付加価値の高い業務や、顧客とのコミュニケーション、企画・改善といったクリエイティブな仕事に時間を使えるようになります。「残業の削減」や「ミスへの不安軽減」は、働きやすさの向上にも直結します。現場の負担が軽くなり、自分のスキルや経験を活かせる仕事に集中できることで、従業員の満足度や会社へのエンゲージメント向上も期待できます。

RPAツール導入のデメリットと注意点

便利なRPAツールにもリスクや注意すべきポイントが存在します。

RPAは定型的な作業を自動化するための強力な手段ですが、それでも全ての業務に適用できるわけではありません。複雑な判断を伴うタスクは対応しきれない場合もあり、過度な期待は禁物です。

導入・運用に一定の工数がかかる

RPAは「入れればすぐラクになる魔法のツール」ではありません。業務手順の洗い出しやシナリオ設計、テスト、運用後のメンテナンスなど、一定の工数が発生します。とくに最初の数カ月は、現場担当者が通常業務と並行して準備を進める必要があり、短期的には負担が増えたように感じるケースもあります。小さく始めて対象業務を絞る、ベンダーやパートナーの支援を活用するといった工夫が重要です。

業務整理をしないまま導入するとムダな自動化になる

現状のやり方をそのままRPAで自動化してしまうと、本来なくせるはずのチェックや二重入力まで自動化してしまい、「ムダをそのまま高速化しただけ」になりかねません。RPA導入前に、業務フローを棚卸しして「そもそも不要な作業ではないか」「システム側を変更したほうが効率的ではないか」を見直すことが大切です。業務改善と自動化をセットで考えることで、RPAの効果を最大化できます。

保守できる人材が限られると新たな属人化になる

RPAシナリオの作成・修正が一部の担当者に集中すると、「RPA担当者しかロボの中身が分からない」という新たな属人化が起こるリスクがあります。担当者の異動や退職時に、ロボがブラックボックス化してしまうケースも少なくありません。開発ルールの標準化やドキュメント整備、複数名でのレビュー体制、教育・トレーニングを通じて、組織として保守・運用できる体制づくりが必要です。

RPAだけでは対応できない業務もある

すべての業務がRPA向きというわけではありません。判断が複雑でルール化しづらい業務や、画面・仕様変更が頻繁なシステムだけに依存した業務は、RPAだけでの自動化が難しい場合があります。そのような領域は、ワークフローシステムや業務アプリ、AI-OCR・生成AIなど、他のソリューションとの組み合わせが前提になるケースも多いです。RPAの適用範囲と限界を理解し、「RPAでやるべきところ/別の手段が適切なところ」を見極めることが失敗を防ぐポイントです。

こうしたデメリットやリスクをゼロにすることはできませんが、「導入前の業務整理」「立ち上げ期の設計・開発」「運用・保守」まで伴走してくれるRPAツールとパートナーを選ぶことで、大きく抑えることができます。
たとえばAutoジョブ名人は、現場での使いやすさに加え、導入検討段階からシナリオ設計、運用フェーズの相談までを無償の伴走支援でサポートしているため、「業務整理をしないまま入れて失敗した」「担当者がやめてロボが止まった」といったよくあるつまずきを防ぎやすいのが特長です。RPAツールそのものの機能だけでなく、こうした支援体制まで含めて比較・検討することが、RPA導入を成功させる近道と言えるでしょう。

RPAツールを選ぶときの7つのポイント

RPAツールは「どれが有名か」ではなく「自社で成果を出せるか」で選ぶことが重要です。まず、自動化したい業務に必要な機能と、自社と近い業務での導入実績があるかを確認します。そのうえで、自社システムとの相性、トラブル時に頼れるサポート体制、セキュリティ対応の水準、将来の全社展開を見据えた拡張性、ライセンスや運用を含めた費用対効果を比較検討しましょう。こうした観点を押さえて選べば、導入後の「思っていたのと違う」を避け、着実に効果を出しやすくなります。

1.自社業務に必要な機能がそろっているか

まず確認したいのは、「やりたいことがそのRPAで本当に実現できるか」です。Excelやブラウザ操作、基幹システムへの入力、メール送受信、ファイル操作など、日々の業務で行っている処理を洗い出し、それぞれに必要な機能がそろっているかをチェックします。特定アプリとの連携やスケジュール実行、エラー通知、ログ取得など、「あったら便利」な機能も含めて、要件とのギャップを明確にしておくことが重要です。

2.同じ業務の自動化実績があるRPAを検討する

RPAツールそのもののスペックだけでなく、「自社と似た業種・業務でどれだけ使われているか」も重要な判断材料です。ベンダーサイトの事例紹介やセミナー情報などを参考に、「自社の状況に近い成功例」があるかを確認しましょう。

3.自社システムとの相性を確認する

既存の業務システムやソフトウェアとの連携がスムーズに行えるかどうかは、RPAツール選定時の大きなポイントです。ツールの持つ連携機能が適していない場合、カスタマイズや追加費用が発生し、導入スケジュールが遅れることもあります。特にクラウドサービスと連携する場合にはAPIの対応状況などを事前にチェックしておきましょう。

システム部門やIT担当者と密に連携しながら必要となる技術要件を明確化することが、実際の運用トラブルを回避する近道です。

4.サポート体制が整っているかチェックする

RPA導入後に生じるトラブルやシナリオ作成時の疑問点に対して、ベンダーからのサポートが充実しているかどうかも重要な要素です。実際の運用で問題が発生した場合、迅速に対応してもらえるかを確認しましょう。

ヘルプデスク、ユーザーフォーラム、ナレッジベースなどサポート形態はさまざまですが、自社の担当者が利用しやすいチャネルが選択できるかどうかを検討材料に含めると失敗リスクが減ります。

また、ユーザーコミュニティが活発なRPAツールほどナレッジの共有が進んでいるため、独力による解決がしやすいという利点もあります。

5.セキュリティ対応

RPAは業務システムのID・パスワードや顧客情報など、機密性の高いデータに触れることが多いツールです。アクセス権限の管理、パスワードの暗号化・保管方法、ログ取得・監査機能など、セキュリティ関連の仕様は必ず確認しましょう。

6.将来の拡張性

導入当初は一部の業務だけに使う想定でも、成功事例が出てくると「他部門にも展開したい」「より多くのシナリオを動かしたい」とニーズが広がっていきます。そのときに、ライセンス形態や管理機能が拡張に耐えられるかどうかを見ておきましょう。ロボット台数やユーザー数を柔軟に増やせるか、バージョンアップの頻度と互換性、運用管理(権限管理、ジョブスケジューラ、集中管理コンソールなど)の機能が用意されているかも、長く活用するうえで重要な視点です。

7.費用対効果をよく検討する

導入コストやライセンス費用が高額なRPAであっても、大規模な業務を自動化し、人件費を削減できれば投資を回収できる可能性は十分にあります。逆に小規模な部署で使うのであれば、安価なツールや無料ツールから始める選択肢もあります。

実際にどれだけ残業時間が減るのか、どれほど作業エラーが少なくなるのかといった具体的な指標を用いて効果測定を行うことがポイントです。効果の可視化が進めば、導入後の成果が上司や経営層へ示しやすくなります。

導入前に費用対効果をシミュレーションし、運用方針の見直しを行いながら最終的な導入判断をすると、RPAを長期的に活用できる体制を整えやすくなります。

RPAツール導入を成功させるステップ

RPAツールを導入する際には、ステップを分けた段階的な取り組みが成功に向けたポイントとなります。
以下では、RPAツールの導入を次の4ステップに分けて解説します。

  • 対象業務の選定・整理
  • 業務シナリオの策定
  • 実証実験と検証
  • 本格的な導入と展開

これらのステップを進めるには、まずはスモールスタートで始め、成果と課題を確認しながら徐々に適用範囲を広げていくアプローチが適しています。無料トライアルを提供しているRPAツールを選び、パイロット業務で「計画実行検証改善」のPDCAサイクルを回せる状態をつくることが第一歩です。
そのうえで、そこで得られた知見をもとに、どの部門・業務へ、どの順番で展開していくかといった大規模導入・展開に向けたロードマップを検討していきましょう。

対象業務の選定、整理

組織内の業務から、RPAを適用する業務を検討しましょう。業務フローを見直し、RPAが適用できる業務、RPAの組み込みによりフローを改善できる業務を見つけ出します。

候補の業務をリストアップ後、優先順位付けを行います。導入による効果や組織の課題などを順位付けの検討材料とします。

業務シナリオの策定

導入対象の業務を候補から選定し、RPAを適用するシナリオを策定しましょう。業務全体を一度に自動化しようとするとハードルが高くなってしまうため対象とする範囲を定めて、その流れをシナリオとして整理しておきます。

実証実験と検証

実際にRPAツールを用いてシナリオに対して自動化を行います。RPAツールのマニュアルやサポートを利用して手順を確認しながら、少しずつ動かして完成させましょう。無料のトライアルを設けているツールならば、リスクを減らして取り組むことが可能です。

RPAによるシナリオ構築ができたら、業務で実証実験として一定期間運用し、成果を検証します。期待する成果が得られるか、費用対効果が高いかなど、複数の観点で評価します。

本格的な導入と展開

実証実験で一定の成果が得られたら、適用対象の業務やその範囲を拡張していきましょう。

組織内で展開するには、小さな範囲での成功事例を作ってRPAの有効性を示してからステップアップすると良いでしょう。周囲の理解を得られ、ノウハウも溜まってからRPAツールの活用を加速させる計画がおすすめです。

RPAツール導入による成功事例

実際にRPAツールを導入した企業の事例から、成果とメリットを確認しましょう。

導入事例を知ることで、具体的な自動化イメージが掴みやすくなります。どのようにシナリオを組んだか、どのような効果が得られたかを知ることは、自社導入のシミュレーションに活かすことが可能です。

また、自動化が進んだことで時間に余裕が生まれ、新しいプロジェクトやサービス改善にリソースを回せるようになった企業も多いです。単に削減だけでなく、新たな価値創出の機会を得られたという声が多く上がっています。

ここでは、特に効果が高く分かりやすい事例を2つ紹介します。自社の業務改善に繋がるヒントが見つかるかもしれません。

【勤怠管理の自動化】月間140時間の時間短縮に成功

Autoメール名人を活用して勤怠管理を自動化し、月間140時間の創出に成功した事例です。

動送風機、集塵(しゅうじん)機、乾燥機などを開発・販売する機器メーカーのSDG株式会社は、働き方改革の一環として、勤怠管理の自動化を目的に『Autoジョブ名人』と『Autoメール名人』を導入しました。

RPAを導入する前は、総務担当者がタイムカードの打刻漏れを手動でチェックし、漏れが生じている社員に対してメールで注意喚起を行っていました。RPAの導入後は、勤怠管理システムから自動で条件に該当するデータを抽出し、注意喚起メールを送信するプロセスを自動化することに成功しています。

自動化によって勤怠管理の効率化を達成した後、社内全体の業務に続々とRPAを拡充していき、業務全体の4割にあたる21個の業務のRPA化を進めました。結果的に、導入前と比べて月間で140時間もの時間を創出できるようになりました。

今後RPAの活用を予定している59業務の自動化が完了すると、時短効果は年間で10,500時間にも上ると想定されています。RPA化で創出した時間を使って自社サービスを深め、顧客満足度を高めながら売上拡大につなげていく事業計画が予定されています。

SDG株式会社の事例はこちら→

【受発注業務の自動化】

九州で広く愛されるパンメーカーの株式会社フランソアは、直営店やスーパーでの販売を支える受発注業務の効率化を目指してRPAの導入に踏み込んでいます。同社は、以前はフリーの自動化ソフトを使用していましたが、メンテナンスのためにプログラム言語の専門知識が必要であり、Web画面の変更時にスクリプトの修正に手間がかかるという課題を抱えていました。

そこで、安定した稼働とサポート体制が整ったユーザックシステムの『Autoジョブ名人』と『Autoメール名人』を導入し、WebEDIの操作やメールでの受発注の自動化を実現したのです。

導入前と比較すると、以前利用していたフリーの自動化ツールと比べてエラー件数が3分の1に減少し、エラー復旧時間も大幅に短縮することに成功しました。これにより、業務の安定性が向上し、従業員の負担を軽減できたのです。

また、フランソアは今後、RPAの活用範囲を受発注業務以外にも広げていき、人事や総務、経理などの部門での業務自動化を推進して、さらなる業務効率化と生産性向上を目指しています。

株式会社フランソアの事例はこちら→

【医療会計集計業務の自動化】医療現場の負荷軽減へ

医療法人英仁会大阪ブレストクリニック様はRPAツールの「Autoジョブ名人」を導入して診療実績データの集計業務を自動化し、医療現場の業務負荷軽減に成功しています。

医療は人と人との関わりであるため、人間がする必要があります。その一方で、医療の現場でも労働人口の減少により人材の確保は重要な課題となっており、そのような状況下でも医療スタッフが人との関わりに注力できるよう現場の負担軽減が重要です。

大阪ブレストクリニック様では、医事会計システムの「MLA」を導入しており、このシステムから毎月在籍する医師12名分のデータを抽出・集計して実績表を作成しています。実績表は医師別、診療項目別に診療の回数や金額をExcelにまとめたもので、クリニックの経営判断材料の一つとしています。

RPA導入前は実績表の作成を複数のスタッフが毎月46時間かけて行っており、負担となっていました。具体的な操作としては、MLAの複数画面を操作してデータを抽出し、Excelに転記して集計するというものです。

この実績表作成業務の自動化に向けてRPAツールAutoジョブ名人を導入し、シナリオを構築して自動化、人手が必要なのは最後の確認だけというレベルまで業務を改善しています。

クリニック内ではさらなるIT化施策が進められており、RPAツールAutoジョブ名人により自動発注システムや自動封函機器などとの連携自動化、請求業務や支払業務の自動化、支払予定データと売上データの照合なども検討されています。(20223月時点)

医療法人英仁会大阪ブレストクリニックの事例はこちら→

【通販業務のシステム連携をRPAで効率化】伴走支援活用による業務自動化の早期立ち上げ

有限会社Takumi様は自社サイトのほか、ヤフオク!amazonYahoo!ショッピング、楽天市場などでEC事業を展開しています。これらの事業を効率的に行うために、受注管理システム、WMS(倉庫管理システム)、送り状発行システムなどを利用しており、RPAツール「Autoジョブ名人」の活用により3カ月で20業務の自動化を実現しました。

自動化の対象となった業務では、システムへの指示と報告、データのダウンロード、システムへのデータインポート、メールの作成と送信などが含まれます。ECモールごとのメール文面の差し替えなども自動化済みです。

Takumi様の担当者はプログラムの作成経験はなく業務自動化のシナリオ作成には不安を抱いていたものの、ユーザックシステムのeラーニングやカスタマーサクセスプラン(オンラインサロン、開発者の教育やモデル作成を支援するサポート)の活用でノウハウの習得にも成功しています。

「人間がやらなくても良い仕事はRPAに任せ、人は事業の核となる売上増進に関わる時間を増やす」というビジネスの形にもRPAを組み込んだ事例となっています。(20219月時点)

有限会社Takumi様の事例はこちら

自社に合ったRPAツールを導入して働き方改革を進めよう

RPAツールは定型業務を自動化して費用対効果の高い改善を実現できる一方で、技術的な制限や運用上のリスクも伴います。導入前に自社の課題を正しく把握し、慎重なツール選定とステップを踏んだ検証が必要です。

適切なツール選定と運用体制の整備により、従業員の作業負担を軽減しながら企業の生産性を高めることが可能になります。

自社に合ったRPAツールを導入するためには、まず業務フローを整理し、課題や目的を明確にすることが欠かせません。しっかりと導入プロセスを踏み、社内理解やサポート体制を整えながら、長期的な運用を見据えて取り組んでいきましょう。

RPAツールを導入するなら、初心者でも直感的に利用できる『Autoジョブ名人』がおすすめです。ライセンス費用にRPA導入から活用、横展開まで伴走支援する「カスタマーサクセスプラン」が含まれているため、初めての方でも安心して業務自動化に取り組んでいただけます。

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