
RPAの選び方とは?押さえておきたい5つのポイントと導入7ステップを解説

RPAを導入することで、人間が処理していた業務を自動化して効率化を図れます。しかし、実際にRPAを導入する場合に、どのような手順で導入を進めれば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、RPAの選び方や、押さえておきたい5つのポイントとRPA導入の7つのステップについて解説します。これからRPAの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
RPAとは「Robotics Process Automation」の頭文字をとった言葉です。主にパソコンやサーバーにインストールして使用することが多く、事前に登録した「シナリオ」に沿って、定型業務を自動化する役割を持っています。
RPAを活用してこれまで人間が行っていた作業を自動化することで、業務効率化を図れるというメリットがあります。自動化によって余裕ができたリソースを他の重要業務に回せるようになり、より生産性を高めることができます。
RPAでできることの具体例として、次のようなものが挙げられます。
● Excelシートへのデータ入力や集計作業を自動化する
● 基幹システムから取り込んだデータを指定したメールアドレス宛てに転送する
● 取引先のWeb-EDIシステムにログインし、最新の受注データを自動的にダウンロードする
● メールで受注した発注書のデータを、自社の受注システムに転記する
上記のように、従来は人間の手で処理する必要があった業務を自動化できるため、処理時間の大幅な短縮が期待できます。時間を指定して処理を開始することも容易であり、Web-EDIにおける受注業務のように、データの配信時間が決められている業務などにも柔軟に対応が可能です。
RPAには主に「サーバー型」「デスクトップ型」「クラウド型」の3つの種類があります。

RPAの導入を検討する際は、それぞれの特徴を押さえたうえで、自社にはどの種類が適しているのかを適切に判断することが大切です。
ここでは、3つの種類について特徴やメリットを詳しく解説します。
デスクトップ型
デスクトップ型は、自動化の作業を行いたいパソコンに直接インストールして使用するタイプのRPAです。
パソコンが1台あれば導入できるため、サーバー型に比べると導入のハードルが低い点が魅力です。サーバー型と比較すると導入コストも安価なので、中小企業や個人事業主など、RPAの導入に多額の予算を割り当てることが難しい現場でも導入しやすいというメリットがあります。
初めてRPAを利用する場合に、まずはデスクトップ型を導入・運用してみて、一定の成果が出るようならサーバー型を使って大規模に展開するという方法もあります。
サーバー型
サーバー型とは、自社が運用しているサーバーにインストールするタイプのRPAです。サーバー型は、大量のデータを処理しなければならない業務に適しています。また、複数業務を並行して処理しなければならない場面でも、サーバー型が活躍します。 数千件~数万件のデータを一度に処理する必要がある現場など、大規模な自動化を検討している場合はサーバー型の導入を検討すると良いでしょう。
クラウド型
クラウド型は、インターネットを通じてRPAのシステムが提供される形式を指します。 サーバー型やデスクトップ型は自社のサーバーやパソコンに専用ソフトをインストールする必要がありますが、クラウド型はインターネット上でRPAのシステムにログインして利用するため、インストール作業が不要です。また、インターネットに接続できる環境下ならどこからでも利用できるため、外出先やリモートワーク先からでも気軽にRPAを利用できる点がメリットです。
RPAシステムを選定する際は、事前に導入目的を整理したうえで、費用対効果を十分に検証することが大切です。また、自社の導入目的に合った機能を持つRPAを選び、カスタマイズの有無も確認しておきましょう。
ここでは、RPAを選ぶときに押さえておきたい5つのポイントについて解説します。
導入目的を整理する
RPAの導入を成功させるためには、導入目的の明確化が重要になります。導入するRPAツールを選定する前に、「なぜRPAを導入するのか」「どんな業務を自動化したいのか」を明確にすることで、必要な機能を絞り込みやすくなるためです。
RPAの導入目的は、「人が処理していた業務を自動化して業務を効率化したい」「ヒューマンエラーを削減したい」「従業員の業務負担を軽減したい」などさまざまです。導入目的によって選定すべきRPAも異なるため、必ず導入目的を整理することを意識しましょう。
費用対効果を検証する
RPAの導入にあたって、費用対効果の検証は重要です。RPAに限らず、新しいシステムを導入する際に「とにかく安価なシステムを選びたい」と考える人は多いでしょう。しかし、単純に価格の安さだけでシステムを選定してしまうと、導入目的を達成するために必要な機能が不足している可能性があります。
価格を重視する場合でも、自社の導入目的を達成できる機能を兼ね備えているRPAツールをリストアップし、その中で安価なRPAを選ぶことが大切です。安さだけに注目するのではなく、「価格と機能のバランスが取れたRPAを選ぶ」ことを重視しましょう。
目的に合った機能を持つRPAを選ぶ
ひと口にRPAツールといっても、ツールによって備えている機能は大きく異なります。それぞれカバーできる業務規模が異なるため、自社の導入目的に合った機能とカバー範囲を持つRPAを選ぶことが大切です。
大量のデータを同時に処理しなければならない業務がある場合は、デスクトップ型を選ぶと処理に膨大な時間がかかったり、そもそも正常にRPAツールが動かなかったりする可能性があります。大量のデータ処理が見込まれるのであれば、サーバー型を選ぶことをおすすめします。
また、外出先やリモートワーク先から利用する機会が多いのであれば、クラウド型を選ぶことで利便性が向上します。
セキュリティ対策をチェックする
安全にRPAを運用するためには、セキュリティ対策をチェックすることも重要です。
近年では悪意を持つ攻撃者によるサイバー攻撃が深刻化しており、企業として万全のセキュリティ対策を行い、サイバー攻撃から身を守ることが求められるようになってきています。
機密情報の流出などのトラブルを防止するためには、セキュリティに配慮した運用を心がけることが大切です。RPAを利用する人に限定して利用権限を付与したり、稼働中のロボットを一覧で整理して管理者が把握できていない「野良ロボット」の発生を防いだりする対策が有効です。また、実行ログを記録できるRPAを選ぶと、トラブルが起こった際の初動対応がスムーズになり、安全性の高い運用につながります。
サポート体制が充実しているベンダーを選ぶ
RPAツールを運用していると、RPAが突然動かなくなったり、設定方法が分からなかったりして、業務が停滞してしまう可能性があります。このようなトラブルが起こった際に、すぐに解決を図るためには、RPAツールを提供しているベンダーのサポート体制が充実していなければなりません。
ツールの導入前にサポート体制を十分に確認し、いざというときに速やかに対応してもらえるベンダーのRPAツールを選びましょう。メールなどの文章によるサポートだけでなく、電話でサポートしてもらえるベンダーを選ぶと、トラブル時にスムーズな解決を図りやすくなります。
RPAを導入する際の具体的な流れは、主に次の通りです。
1. RPAが必要な理由を具体化する
2. RPAツールの適用範囲を決める
3. RPAツールの候補を洗い出す
4. 無料トライアルで比較検証する
5. 導入するツールを最終決定する
6. RPAの開発・運用体制を整える
7. 本格運用・効果測定を行う
一つひとつのステップを丁寧に進めることで、RPAの導入成功につながります。ここでは、上記の7つのステップについて詳しく解説します。
1.RPAが必要な理由を具体化する
RPAを導入する前に、まず「なぜ自社はRPAを導入するのか」を明確にしておきましょう。人手不足の解消、残業時間の削減、ヒューマンエラーの抑制など、解決したい課題と期待する効果を整理します。目的がはっきりしていれば、導入可否の判断や社内説明がしやすくなり、その後のツール選定や投資対効果の検証もスムーズに進められます。
2.RPAツールの適用範囲を決める
次に、どの業務にRPAを適用するのかを検討します。自社の業務を洗い出し、「ルールが明確で反復回数が多い業務」「システム間の転記作業」など、自動化に向いている業務を中心に候補を挙げましょう。一方で、判断が複雑な業務や例外が多い業務は、人が対応する領域として残すなど、RPAと人の役割分担を整理しておくことが大切です。
3.RPAツールの候補を洗い出す
導入目的と適用範囲のイメージが固まったら、その条件に合いそうなRPAツールの候補を洗い出します。サーバー型・デスクトップ型・クラウド型といった形態や、想定する処理量、既存システムとの連携のしやすさ、費用感などを踏まえて比較し、最終的に2〜3製品程度まで絞り込むのがおすすめです。この段階では、「どのツールなら自社の目的を達成できそうか」という観点で候補をリストアップします。
4.無料トライアルで比較検証する
候補ツールを絞り込んだら、いきなり本契約に進むのではなく、無料トライアルで実際の業務を試してみましょう。できれば各ツールで同じ業務シナリオ・同じデータを使い、「操作性」「シナリオの作りやすさ」「処理速度・安定性」「担当者の習熟度」などを比較することがポイントです。
ユーザックシステムのRPA「Autoジョブ名人」では、たっぷり検証できる2か月間の無料トライアルをご用意しています。複数ツールを比較検討したい場合でも、自社の業務との相性をじっくり確認していただけます。
5.導入するツールを最終決定する
トライアルの結果をもとに、導入するRPAツールを最終決定します。単に「動けばよい」かどうかだけでなく、現場担当者が無理なく使い続けられるか、将来的な業務拡大にも対応できるか、サポート体制は十分か、といった観点も含めて評価することが重要です。ここで選んだツールが、今後の運用のしやすさや効果に大きく影響します。
6.RPAの開発・運用体制を整える
ツールが決まったら、本格運用に向けて開発・運用体制を整えます。情報システム部門だけでなく、業務に詳しい担当者にも参加してもらい、ロボットの作成・修正、問い合わせ対応、運用ルールの策定などの役割分担を決めましょう。実務では、トライアルの段階からコアメンバーを関わらせておくと、そのままスムーズに本番体制へ移行できます。
「Autoジョブ名人」では、導入・活用フェーズでの無償サポートや伴走支援も提供しており、体制づくりに不安がある企業でも安心してスタートしていただけます。
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7.本格運用・効果測定を行う
体制が整ったら、本格運用を開始します。本格運用が始まった後も、「導入前後でどれだけ処理時間が減ったか」「残業時間やミス件数はどの程度改善したか」などの指標を使い、定期的に効果測定を行うことが重要です。結果を踏まえてシナリオの改善や適用範囲の見直しを繰り返すことで、RPAの効果を高め、全社的な業務改善へとつなげていけます。業務プロセスに変更があった際は、RPAのシナリオも合わせて更新することを忘れないようにしましょう。
RPAを導入することで、これまで人の手で処理していた業務を自動化し、さまざまな作業を効率化できます。
RPAの導入時は、導入目的を整理して費用対効果を検証し、自社の目的に合ったRPAツールを選定することが大切です。適切なツールを選定し、導入前には無料トライアルを利用して十分な検証を行うことをおすすめします。
ユーザックシステムでは、RPAの導入をガイドする「最新e-book」を提供しています。RPAの選び方を知りたい方は、ぜひこちらの資料もご参照ください。
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