製造業でRPAを導入するメリットは?導入のポイント、活用事例も解説

近年、パソコンの定型的な事務作業を人に代わって自動化するRPA(Robotic Process Automation)が注目を集め、日本国内でも多くの企業に導入されています。
まだRPAを導入していない企業でもRPAへの関心が高く、導入に向けて情報収集をしている企業も多いのではないでしょうか。

RPAは業種を問わずに活用されているツールですが、本記事では「製造業」を対象にRPAの導入メリットや注意点、活用事例を紹介します。

製造業が直面している課題とは

まずは日本の製造業が直面している課題について考えてみましょう。

労働力人口の減少と市場の縮小

労働力人口とは、15歳以上の人口のうち就業者と完全失業者を合わせた人口のことです。
少子高齢化の進行により、働き手の人口は1995年をピークに減少を続け、2050年には3割近くも減少すると推定されています。

労働力人口の減少による人手不足は、長時間労働や休暇が取りづらいなどやりがいや生産性の低下を招きます。さらに国内の需要減少にもつながるので、経済規模が縮小し、さまざまな影響を及ぼします。
製造業に関わらず、産業全体として人口減少の課題は大きくのしかかります。

(出典)総務省 生産年齢人口の減少

進まない設備投資(設備の老朽化)

日本経済の成長の停滞は企業の設備投資にも影響を与えています。

日本機械工業連合会が実施した生産設備保有期間に関するアンケートでは、金属工作機械や第二次金属加工機械、鋳造装置において約50~80%の設備が導入から15年以上が経過しているという結果になっています。

設備の老朽化は生産能力に影響しますので、結果的に産業の成長を停滞させる要因にもなっているのです。

求められるBCP対策

2020年に発生した新型コロナウイルス感染症は世界的に甚大な影響を与え、出勤はもとより、企業活動を制限される事態になりました。

製造業は中小企業の割合が9割を占めています。災害や感染症などによる業務制限の影響を受けやすいと言えるでしょう。

予測不能なビジネス環境に備え、BCP対策(事業継続計画)は製造業界においても経営の課題として認識しておく必要があります。

DXの推進

2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」では、今後、あらゆる産業でデジタル技術を活用し、ビジネスを変革していくことが必要だと警鐘を鳴らしています。

DXの推進で足かせと指摘されているのがレガシーシステムの存在です。生産設備の投資同様に、企業が使っているITシステムは古いことが多く、2025年には稼働21年以上となる企業が60%に達します。

古いITシステムは、企業を戦略的に成長させるためのテクノロジーやデータの活用が困難であり、さらにIT人材の引退やサポートの終了等によって受ける経済損失は2025年以降、最大12兆円にのぼる可能性があるとされています(2025年の崖)。

多くの企業は2025年までに旧来のシステムから脱却し、新しいデジタル技術を活用する必要があるのです。

このように、製造業が直面する課題の中で、企業の成長や競争力の強化にITの活用は欠かせません。特に、人手不足の解消とDXの推進をするうえで役に立つのはRPAです。RPAのメリットや導入の進め方について、次項以降で紹介します。

RPA導入で実現するメリット

近年注目されている業務を自動化するためのITツール「RPA」の導入によって、どのようなメリットが得られるのか見ていきましょう。

定型業務の効率化

RPAはパソコン上で行う事務作業を中心とした定型業務を自動化することができます。

製造業ならば、パソコン上で行われている在庫管理やデータ収集・分析などの定型業務・単純作業はすべて自動化することができます。

高精度な物体検知の実現

製造業においては製品の検査作業をパソコンで実施しているケースも多いかと思います。

RPAはパソコン上の作業をフロー化して自動化を実現する仕組みとなっていますので、あらかじめパソコン上で行っている検査基準を組んでおけば、高精度かつ自動的に検査作業を続けます。

たとえば物体検知装置を使って検査を行い、その結果データについて、一定のルールに基づき分類・判定する作業をRPAを使って自動化する等です。

このような作業時において、RPAは人間のように集中力の途切れや疲労によって作業品質が低下しないのが大きな特徴です。

人手不足の解消

RPAはパソコンでの定型業務(単純作業を人間に代わって実行します。

大量のデータ入力や、繰り返しの作業、締め切り時間が決まっている作業など、定型業務であれば、自動化シナリオを組むことで、RPAが正確に実行します。

事務作業の担当者が不足している場合でも、RPAを導入することで人手不足の問題を解消することができます。

作業工数・業務コストの削減

RPA活用の最もわかりやすい効果が作業工数や業務コストの削減です。

前述の通り、RPAはパソコン上の事務作業を自動化するツールです。人間の作業工数を大幅に削減してくれますので、人件費などの業務コストも大幅に削減することができます。

作業の生産性向上

パソコン上の事務作業を自動化するだけがRPAのメリットではありません。

RPAの作業は人に比較して早く、ミスをせずに実行します。あらかじめ決められた自動化シナリオのルールに基づいて作業をするので、人と違って疲れたり、集中力が切れてしまうことがありません。

BCP(事業継続計画)対策

RPAは効率化のみに貢献するITツールではなく、緊急事態が発生した際の損害を最小限に抑えるBCP(事業継続計画)対策としても使えます

受発注作業など、人が出社できない緊急事態の際にも業務を止めることなく、安定的に業務を遂行した事例はこちらです。

“ブラックボックス化した”EDIシステムをどう変えたか モランボンのDX戦略

製造業界でRPA導入前に確認しておきたいこと

RPA導入の効果を最大化するためには、以下の点について、しっかりと確認して進めていきましょう。

事前検証をする

RPAを導入する前に、業務プロセスを詳しく分析することが必要です。自動化対象とする業務プロセスがどのようなものであるか、どのような手順があるか、どのようなデータを扱っているかなどを把握する必要があります。

また、RPAはある程度の決まった手順で行われる業務に適していますが、全ての業務を自動化することはできません。そのため、RPAで自動化できる業務とできない業務を判断することが必要です。

RPA導入の担当者を決める

業務を自動化したいRPAユーザー部門と、それを支援する情報システム部門など、業務効率化プロジェクトには複数の部門がかかわることがあります。スムーズにプロジェクトをすすめるには、役割分担を明確にしておくことが重要です。

せっかくRPAを導入したものの、活用しきれていないという状況に陥らないためにも、RPA導入の必要性とメリットを理解した担当者を決めておきましょう。

RPAの導入には実務担当者の協力も欠かせませんので、実務への理解が深くコミュニケーション力も高い人材が最適です。

PoC(概念実証)を実施する

RPAの事前検証によって、社内の作業状況を整理できたら、PoC(概念実証)に移ります。PoCは新たな技術を導入する際にその有用性を検証する手法のことでRPAの導入時にも有効です。

RPAで実際に簡易的な自動化フローを作成し、下記のような実証を行います。

  • 想定している業務の自動化は実現できるのか
  • 業務工数や人件費の削減はどの程度可能なのか

PoCは実際の業務を元にした検証のため、計画している業務の自動化の可否や効果などを具体的に測定することができます。

RPAの業務フローを定義する

PoC(概念実証)の結果によってRPAの導入が決定したあとは、具体的な業務フローの作成に着手します。

RPAで業務を自動化するためには、その業務の判断基準や分岐点、例外処理が発生した時のフローなどを明らかにして、細かく定義しなければなりません。

RPAは人間のような判断はできません。「Aの場合はB」「Bの場合はC」といったように、業務で起こり得るすべてのパターンを洗い出して業務フローを定義します。

製造業のRPA導入事例3選

では実際の製造業におけるRPAの導入事例について見ていきましょう。

株式会社ジオテック

株式会社ジオテックは大手自動車メーカー向けの自動車部品を取り扱うサプライヤーです。

大量のWebEDI業務の処理が課題となっていたところに「Autoジョブ名人」を導入し、短期間で自動化することに成功しました。

計2つの業務を自動化した結果、月に100時間、年間で1,200時間の工数削減を実現しまし

た。

わずか2カ月で複雑なWebEDI業務を自動化!

昭和電機株式会社

昭和電機株式会社は産業用電動送風機や一般集塵機等の「風」を使った産業ソリューションを提供する会社です。

2017年の「働き方改革法案」をきっかけに社内の定時退社を推奨していましたが、残業時間は中々削減できませんでした。

そこでRPAに着目し「Autoブラウザ名人(現:Autoジョブ名人)」と「Autoメール名人」を導入した結果、勤怠管理の業務を始め社内の4割に及ぶ業務を自動化することに成功し、月間140時間の工数削減を実現しました。

RPAを導入し59の業務改善に着手

高田機工株式会社

高田機工株式会社は鋼構造物の設計、製作、施工を事業としている会社です。

2022年1月に電子帳簿保存法の改正法が施行されたことをきっかけに、対象となる電子取引データの保存作業の自動化に取り組みます。

「Autoジョブ名人」と「Autoメール名人」のRPAツールによって、電子取引データの送信から保存までの一連の作業を自動化しました。

改正電子帳簿保存法対応の切り札!

まとめ

RPAは、業務の効率化や人手不足の問題解決などが期待できるシステムです。データの入力や情報収集など、定型化された業務内容であればRPAにより自動化が行えます。

特に製造業で解決していかなくてはいけないさまざまな課題に対する解決策として、RPAの導入は非常に有効です。

また、RPAは導入する際のハードルも低く、専門的な知識がなくても扱えることから、その他多くの業界で導入が進んでいます。

ユーザックシステムが提供するRPA:Autoジョブ名人は、製造業で多くの導入実績があります。RPA導入にあたっては無料トライアルやオンライン相談を用意しておりますので、ぜひご利用ください。

 

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