人手不足はなぜ深刻化しているのか?その背景と対策、RPA活用による解消事例を解説

日本では少子高齢化が進んでおり、人手不足がさまざまな業界で深刻化しています。労働人口の減少は今後も多くの組織で事業継続上の重要課題となることが想定されます。
実際に、総務省の人口推計では15〜64歳の生産年齢人口は減少が続いており、企業の人材確保は今後も容易ではない状況です。
本記事では、人手不足とは何かを整理したうえで、なぜ深刻化しているのか、その背景と企業への影響を解説します。あわせて、人手不足に対応するための具体策として、バックオフィス業務の見直しやRPAによる業務効率化の考え方、実際の活用事例も紹介します。

そもそも人手不足とは?人材不足との違い

人手不足とは、企業が業務を回すうえで必要な人数を確保できていない状態を指します。応募が集まらない、離職が続く、募集をかけても充足しないといった状況が典型です。

これに対して人材不足は、必要なスキルや経験を持つ人が足りない状態です。つまり、人手不足は「人数の不足」、人材不足は「質の不足」と整理できます。

この2つは似ていますが、対策は異なります。人数が足りない場合は省力化や業務分担の見直しが重要になり、必要なスキルを持つ人が足りない場合は育成や採用要件の見直しが必要になります。まずは自社の課題がどちらに近いのかを見極めることが大切です。

人手不足はなぜ起きるのか?主な背景

なぜ人手不足が起きるのか、その背景を見ていきましょう。

少子高齢化によって働き手そのものが減っている

人手不足が深刻化している最大の背景は、生産年齢人口の減少です。少子高齢化が進む日本では、企業が必要とする労働力を今まで通り確保することが難しくなっています。特に地方や労働集約型の業界では、その影響がより大きく表れています。

離職や採用難が重なっている

人手不足は、単に人口減少だけで起きているわけではありません。長時間労働、待遇への不満、職場環境への不安などから離職が起こり、さらに採用市場でも応募が集まりにくいことで、欠員が埋まらない状態が続いています。こうした採用難と離職の重なりが、人手不足を慢性化させる要因になっています。

業務が複雑化し、現場の負担が増えている

業務のデジタル化や顧客ニーズの多様化により、現場で求められる対応は以前より複雑になっています。業務量が増えているのに人員が増えない場合、現場の負荷は高まり、さらに人が定着しにくくなります。特定の担当者に業務が集中し、属人化が進むことも少なくありません。

需要が伸びる業界ほど人手確保が難しい

医療・福祉、建設、物流、ITなどは、今後も需要の拡大が見込まれる一方で、人材確保が難しい業界です。需要があるのに働き手が足りないため、現場の逼迫が続きやすく、人手不足が解消しにくい構造になっています。

日本で加速する人手不足の現状

日本では、少子高齢化による労働力人口の減少が続いており、企業の人手不足は依然として深刻な課題となっています。 

2026年1月の帝国データバンク調査では、正社員が不足している企業は52.3% と、4年連続で半数を超えました。特に建設業、情報サービス業、メンテナンス・警備・検査業など、労働集約型・専門スキル型の業種で不足感が強まっています。

一方、非正社員の不足は28.8%と前年より改善傾向にあります。 
特に飲食店や旅館・ホテルなどでは、DXの導入やスポットワークの普及により、人手不足感が徐々に緩和する動きが続いています。しかし、人材派遣・紹介業などでは依然として不足割合が高く、業界によって改善状況に差が生じているのが現状です。

また、人手不足は企業経営にも大きな影響を与えています。2025年の「人手不足倒産」は427件と過去最多となり、3年連続で最多を更新しました。
「仕事はあるのに受注できない」「人手がいれば売上を伸ばせる」といった声も多く、労働力不足が企業の成長機会を直接的に制約している状況です。

このように、日本の人手不足は構造的な要因が大きく、短期的な改善が難しい状態が続いています。そのため、採用強化だけでなく、既存業務の見直しやDX・自動化による生産性向上が、企業にとって重要な対策となっています。

出典:帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)

人手不足が顕著にみられる業種・業界

人手不足の状況は、さまざまな業種・業界で見られます。

ただし、業界特性によって必要とされる人員やスキルが異なるため、人手不足による影響の深刻さもそれぞれです。生産年齢人口が減少する一方で、医療・福祉や建設など今後も需要が伸び続ける業種は特に対策を強化する必要があります。また、AIの成長著しいIT業界では、人材に求められるスキルが大きく変化したことにより需給バランスが崩れるという問題が懸念されています。

医療・福祉業界:需要拡大と担い手不足

高齢化社会の到来とともに医療・介護サービスの需要は拡大を続けていますが、その担い手である看護師や介護職員の不足が深刻化しています。離職率が高いことも問題で、肉体的・精神的負担が大きく、待遇面も課題となっています。さらには、2019年からの新型コロナウイルス禍による現場の疲弊も大きく、人手不足に拍車がかかる一因とされます。
こうした環境では従業員の育成や働き方改革だけでなく、デジタル技術によって業務を効率化し、現場の負担を軽減することが重要です。

建設業:高齢化がもたらす後継者問題

建設業では熟練した技術を持つ職人の多くが高齢化しており、若手の参入が十分に進まない問題があります。高度な技能の継承が難しいため、短期的には外国人技能実習制度などで人手を補いつつ、長期的には若者の教育や業界のイメージ改善が課題となります。
インフラのメンテナンス需要が高まる中で、それに応えるための人手がないことを理由に受注を断るケースなども発生しており、早急な対応が求められています。

運輸・物流業界:EC拡大時代の人手不足

利便性の高さからネット通販の需要が拡大している一方で、配送・仕分けに携わるドライバーや倉庫作業員の人手不足が顕著な課題となっています。人手不足に起因して、誤配送や到着遅延、積み荷の損壊などのサービス品質低下が起これば、事業者にとって競争力低下を招きます。
過密スケジュールや長時間労働のイメージが強く、人手が集めづらいことが一つの要因です。また、働き方改革関連法、物流効率化法、貨物自動車運送事業法などへの対応にも迫られています。

今後もEC需要は減る見込みがないため、人手不足と需要拡大のギャップを埋めるためには物流の自動化や業務効率化が不可欠となっています。

外食・観光業界:急激な需要変動がもたらす採用難

観光客の増減やシーズンによる客足の変化が大きい外食・観光業では、安定的に人材を確保するのが難しい状況にあります。シフト編成や雇用形態の柔軟化、インバウンド観光客の増加に対応した多言語人材の確保などがますます重要になるでしょう。

IT・情報サービス業界:DX時代に必要な人材確保

企業のデジタルトランスフォーメーションが進む中、ITスキルを持つエンジニアやシステム管理者の需要は大きく増加しています。ところが、生成AIの活用による自動化など高度な手法や新技術に対応できる人材は限られていること、ITユーザー企業も人員確保したい思惑、エンジニアの雇用形態の柔軟化などにより需給のバランスを大きく崩しているのが現状です。さらには、AIの進歩によりIT業の人材に求められるスキルは今後も変化する見通しです。
見通しが難しい中、企業はこの人手不足への対策として高額な報酬設定や社員育成方針の強化、業務へのAI活用の拡大など、多角的なアプローチを模索しています。

人手不足が企業にもたらす影響

人手不足は企業運営そのものに多大な悪影響を及ぼし、ビジネスの継続性や従業員のモチベーションにも直結する問題です。
従業員一人ひとりの業務量が増加し、疲労やストレスが蓄積しやすくなります。その結果として離職率が高まり、さらなる人手不足の悪循環を招くことも少なくありません。人手不足が進行すれば事業拡大や新規プロジェクトにもリソースを割く余裕がなくなり、結果的に企業の成長機会を大きく逃してしまいます。

既存従業員への負担増と離職リスク

人手不足が続くと、一人当たりの作業負担が増え、残業時間の増加や休暇取得の難化などの事態が日常化します。これが長期化すると疲労やストレスが高まり、最終的には転職や退職を考える従業員がでてきます。数字だけでなく現場の声を拾い上げ、労働環境の整備やケアを丁寧に行うことが重要といえます。

サービス品質が低下しやすい

忙しさが増すと、確認漏れや入力ミス、対応遅れが起こりやすくなります。品質低下は顧客満足度の低下にもつながり、企業の信頼を損なう原因になります。

新規事業やイノベーションの停滞

企業が新しい取り組みや研究開発にリソースを投下できない状態が続くと、市場競争力や技術力の向上が遅れます。人手不足が原因で新規プロジェクトが後回しになると、ビジネスチャンスを逃すだけでなく社内の成長意欲も損なわれかねません。イノベーションを継続的に生み出すためには、適切な要員配置と効率的な働き方を整備することが欠かせません。

事業縮小や倒産のリスク

必要な人員が確保できない状態が続けば、受注制限やサービス縮小を余儀なくされることがあります。特に中小企業では、人手不足が経営そのものに直結しやすい点に注意が必要です。

人手不足を解消するには?バックオフィス業務で取り組むべき対策

企業が人手不足を解消するには、採用強化だけではありません。採用が困難な前提でも業務が回る体制を作ることが重要です。
特にバックオフィス業務の最適化は、人手不足解消に直結する施策として注目されています。

日常的な書類処理やデータ入力など定型作業を見直して、アウトソーシングやRPAによる効率化をすることで、社内人員をコア業務やイノベーションに割り振ることが可能になります。また、従業員のスキルアップやモチベーション向上につながる教育体制の充実も、離職率の低減に大きく寄与します。

業務の見直しと効率化

まず取り組みたいのが、現行業務の棚卸しです。紙の処理、転記、集計、確認作業など、慣習的に続けている業務の中には、見直せるものが少なくありません。不要な手順を減らし、標準化を進めるだけでも負担は軽くなります。

アウトソーシングの活用

バックオフィス業務のうち定型化しやすい部分を外部に委託することで、社内の負担を減らすことができます。例えば、経理や人事の一部業務をアウトソーシングすることで、専門性の高いサービスを安定的に受けられると同時に、内部リソースを重要な業務に集中させられます。これにより、人材不足の局面でも経営資源の有効活用が見込めます。

デジタル化・自動化の推進

採用が難しい時代だからこそ、少ない人数で業務を回せる体制づくりが必要です。特にバックオフィス業務のように定型処理が多い領域では、デジタル化やRPAによる自動化の効果が出やすい傾向があります。

RPAは定型的なパソコン操作やデータ入力などを自動化し、人が行う作業を大幅に削減するテクノロジーです。導入事例として、受発注や在庫管理、問い合わせ対応の一次振り分けなどで成功を収めている企業が増えています。こうした業務をRPAに任せれば、担当者はより付加価値の高い業務に時間を割くことが可能になります。

RPAについて詳しく知りたいかたは以下の記事も参考にしてください。

【最新】RPAとは?メリットや自動化できる業務の具体例について詳しく解説

従業員の育成・スキルアップによる定着促進

人が足りないからこそ、今いる人が働き続けやすい環境づくりが重要です。研修制度や資格取得支援などの環境を整えることで、社員のモチベーションを高め、キャリアアップへの意欲を引き出せます。結果的に離職率を低下させることにもつながり、長期的に見れば企業の成長を下支えする大きな投資になるのです。

人手不足を解消する具体的なRPA活用例

人手不足対策として注目されているのが、RPAによる業務自動化です。RPAとはRobot Proccess Automationの略で、パソコン上で行う定型業務をソフトウェアロボットで自動化する仕組みです。
以下では、具体的にRPAを使って実現できるバックオフィス業務の効率化・自動化の例を紹介します。

受発注業務の自動化

メールやFAXなどの受信を契機とした受発注の業務は、RPAで自動化できるケースが多いです。メールやFAXの内容を読み取って受発注のシステムへの入力では、項目と入力先をRPAに指定しておくことで、自動的に受発注に関するデータを作り上げることができます。また、受発注を受けた後の営業担当者や出荷担当者への連携も、例えば商品ごとに担当者を設定しておき、自動的に通知をすることなどが可能です。

データ転記の自動化

基幹システムやSaaS、部署内で利用しているExcelなど、業務上利用しているシステムやツールは複数存在しています。それらが連携していない場合など、二重入力の手間が発生している場合にもRPAは有効です。データの転記先を指定することで、繰り返し発生する転記作業をRPAが自動化してくれます。

確認・照合作業の自動化

データの入力以外にも、各種情報の管理業務などもRPAで効率化できます。例えば、勤怠、請求、入金などのチェック、リストとの突き合わせ、データの集計や、月末・年末などの締め作業なども、ルールを明らかにしておけばRPAに実行させることができます。チェックの結果、注意喚起が必要ならば担当者にメールを送る、集計や締め作業の結果をまとめる、通知するなどの業務も含めて自動化が可能です。

集計・レポート作成の自動化

バックオフィスで定期的に発生する作業として、データを集計・整形し、資料を作成することが挙げられます。営業や販売、製造などの各部門からデータを集め、Excelなどで集計を行い、レポートにまとめる作業もRPAでの自動化できます。毎月末などの繁忙期の負荷を低減でき、職場の働き方に関する課題解決にも効果が見込めます。

RPAによる人手不足対策の成功事例

多くの企業が試行錯誤を重ねる中で、RPAやアウトソーシングの活用により実際に生産性向上や残業削減を実現しているケースが増えています。
中には、現場へのRPAの導入の際に従業員教育に力を注ぎ、理解を得て抵抗感を減らす工夫を行うことでスムーズにプロセスを変革した企業もあります。成功のカギは、単なるツールの導入ではなく、業務課題を正確に洗い出し最適な手段を見つけるプロセスにあります。

以下では、RPAの導入により人手不足対策に成功した事例を紹介します。

RPA導入で単純作業を自動化した事例

朝日インテック株式会社は、カテーテル治療に必要なガイドワイヤーの製造で世界的なシェアを持つ医療機器メーカーです。​同社は約10年間で売上が4倍、従業員数が3倍に増加し、その急成長により管理部門での人手不足が顕著になりました。​この課題に対し、同社は社内業務の自動化を検討し、ユーザックシステムのRPAツール「Autoジョブ名人」と「Autoメール名人」を導入しました。​

最初のRPA適用業務として「週間業務報告書(週報)受付業務」を選定しました。選定の理由は、​この業務に約1000名の社員が関与し、週報の提出・整理・未提出者の確認など多くの手作業が発生していたからです。​RPA導入により、これらの作業が自動化され、年間約1000万円のコスト削減と、提出当日の週報閲覧が可能となるなどの効果が得られました。​

さらに、RPAの全社展開に向けて、各部署からの要望を募り、RPAロボットの動作トレース力の向上や仕様書の作成など、組織的な実行体制の構築にも取り組みました。​これにより、RPAの社内定着と業務効率化が進みました。

朝日インテックの事例全文はこちら→

RPAでベテラン頼りだった業務を自動化した事例

和歌山県で学校・オフィス向け家具の製造販売を行う株式会社コマイでは、本社移転に伴って事務のベテラン社員が退職し、仕入業務の負担増や属人化が課題になっていました。
そこでAutoジョブ名人を導入し、ERP「SMILE」への発注データ登録業務を自動化。

これにより、1日7時間のうち約4時間を要していた煩雑な仕入業務を削減し、年間約1,000時間の省力化を実現しました。
限られた人員でも業務を回しやすくなり、属人化の緩和や今後の業務拡大に向けた体制づくりにもつながっています。

コマイの事例全文はこちら→

まとめ:今後の企業戦略と人手不足の向き合い方

人手不足が深刻化している背景には、少子高齢化による労働力人口の減少だけでなく、離職、採用難、業務の複雑化、需要拡大など、複数の要因があります。だからこそ、採用だけに頼るのではなく、業務そのものを見直す視点が欠かせません。

特に、バックオフィス業務や定型業務が多い現場では、業務効率化や自動化によって負担を減らせる余地があります。RPAはその有力な手段の一つです。人手不足に悩む今こそ、「人を増やす」だけでなく「少ない人数でも回る仕組みを作る」ことが重要です。

ユーザックシステムでは、人手不足の解消や業務効率化に向けたRPA導入を支援しています。定型業務の負担を減らしたい、属人化を解消したいとお考えの方は、お気軽にオンライン相談をご利用ください。

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Autoジョブ名人の詳しい資料はこちら→

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