
【2024年値上げ】郵便料金のコスト削減方法とは?紙をデジタル化し、業務の効率化を解説

2024年10月、30年ぶりに郵便料金が値上げされました。これまでも、郵送については、印刷費や封入作業、保管の手間などの負担がありましたが、さらに郵便料金が上がることで、工数やコスト削減の対策が急務です。
本記事では、郵便コストにかかる課題を整理しながら、請求書や書類のデジタル化によって得られるメリットや具体的な事例を紹介します。DX推進の観点から、どのように郵送業務を見直し、効率化を図るべきかを解説していきます。
郵便コスト削減が急務となる背景
郵便料金の値上げに至った理由や、企業が直面するコスト増加への危機感など、削減が急務となる背景を解説します。
2024年10月の郵便料金値上げの概要
2024年10月の改定では、封書やはがき、レターパックなどを対象に、最大30%超の値上げになり、多量に郵送を行う企業には影響が大きいといえます。
参考:2024年10月1日(火)から郵便料金が変わりました
今回の値上げの背景には、メールなどの電子連絡手段が浸透することで郵便物の取り扱い数が減少し、結果的にコスト増となった事情があります。それに加え、物流にかかる燃料費や人件費の高止まりも料金上昇を後押ししている状況です。今後も同様の動きが続くことが予想されるため、一時的な対策だけでは十分ではなく、中長期的な視点での施策が必要となるでしょう。
郵便物の取り扱い量減少に伴う運用コスト増加
近年、電子契約やメール通知などの普及で紙の郵送回数が低下していますが、郵便インフラの維持費は依然として変わらず必要とされています。郵便物が減れば減るほど、1通あたりのコストが割高になる傾向があり、今後の値上げにも拍車がかかるリスクをはらんでいます。
企業においても、従来の紙郵送にこだわる業務プロセスを維持している部門は、その分だけコスト負担が増大しやすい状況です。また、料金の改定に合わせて配送サービスそのものの見直しも急務であり、圧着はがきやゆうメールなどを活用して形状や送り方を変えることも検討すべきかもしれません。
紙による郵送業務の課題
郵送業務では、印刷から封入、発送準備まで多くのステップが必要です。こうした作業は担当者レベルの手作業が多く、属人的になりやすい特徴があります。また、郵送物が日々膨大な量に及ぶ企業では、流れ作業の効率化が進まない限り、業務が停滞しやすくなってしまいます。ここでは、郵送業務の手間や人件費、遅延や未着のリスクなどの課題についてみていきます。
印刷・封入・封緘・発送にかかる手間と人件費
紙に印刷する段階から、封筒への封入、封緘、さらには発送先の仕分け作業まで、郵送に直接関わる工程は意外と多く、業務の抜け漏れやミスが発生しやすくなります。担当スタッフが増えるほど人件費も膨らむため、企業としては大きなコスト要因になりがちです。
抜け漏れを防ぐためにダブルチェック体制をとるなど、手間と時間が増えます。特に月末月初などに大量発送が集中する企業では、常に担当者が繁忙状態となり、社員のモチベーションや生産性にも影響を及ぼすでしょう。
郵送遅延・未着などのリスク
紙の郵送は、天候や交通障害などにより遅延や誤配が起こりやすくなります。請求書類など、決められた期日までに届かなければならない書類が遅れると、取引先からの信用を損なうリスクも生じます。
また、未着や紛失の発生時には再発送や顧客フォローが必要となり、想定外の手間とコストがかかります。トラブル時に備えた柔軟なマニュアルやバックアップ体制も求められるでしょう。
管理・保管の煩雑さとスペースの問題
大量の紙資料を保管するには、オフィスの書類棚やファイリングシステムを確保しなければなりません。場所を取るうえに、セキュリティや機密保持の観点から厳重な管理が必要です。保管期限が過ぎた後の廃棄作業も考慮すると、継続的にコストが発生し続けます。
保管場所の確保が難しい場合、外部倉庫を借りたり、管理業務そのものをアウトソーシングしたりする企業もあります。しかし、いずれにしても追加の予算や運用コストを要するため、根本的な解決の手段とは言い切れません。
担当者の属人化
郵送業務がどうしても特定の担当者に集中してしまう企業では、担当者が休暇や退職した際に対応がスムーズに引き継がれないこともあるでしょう。郵送における手順や注意点が口頭の知識に依存していると、問題発生時の解決が遅れる可能性も否めません。
また、属人化のデメリットとして、担当者が忙しくなるほど他の業務に支障が出やすいことも挙げられます。業務プロセスを明文化し、デジタル化によって誰でも簡単に処理を進められる仕組みをつくることで、リスク分散と効率化が期待できます。
なぜ今、請求書や書類のデジタル化が求められるのか
業務のクラウド化や法改正の動きなど、急速に進む社会情勢に合わせデジタル化が求められる理由を明らかにしていきましょう。
紙ベースの業務を続けている企業でも、DX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せる中、請求書や書類の電子化は避けて通れない課題となっています。人手不足が深刻化する中で業務効率化を図るには、端的かつ効果的に無駄を省けるデジタル化が有力な選択肢となります。
特に、郵便料金の値上げという現実的なコスト増要因が差し迫るなか、請求書や通知書のデジタル化による発送コストの削減が急務です。電子データに移行することで、郵便費だけでなく印刷費も削減でき、発送のタイムラグを解消することで顧客とのコミュニケーションスピードも上げることができます。
また、ペーパーレス化は単なるコスト削減策にとどまらず、従業員の働き方改革や環境負荷低減など、企業価値の向上にも寄与します。今後の社会変化に対応するためにも、早期のデジタル化を検討することが重要となるでしょう。
脱ハンコ・ペーパーレス化の流れと電帳法などの法改正
日本では近年、ハンコを使った書類手続きだけでなく、紙の保管義務を見直す法改正が進んでいます。電子帳簿保存法(電帳法)や電子署名法の整備などにより、紙に頼らない取引や契約が法律的にも認められる範囲が拡大しました。
これらの法改正は企業がデジタル化を進めるうえで強力な追い風となっています。新しい仕組みに対応するためには一定の手間がかかりますが、中長期的にみれば郵送や保管にかかるコストを大幅に減らす効果が期待できます。
働き方改革・テレワーク普及による業務のクラウド化
働き方改革やテレワークの普及によって、オフィスに通勤せずとも業務が円滑に行える環境が求められています。紙の書類が前提の仕組みだと、実際の紙を確認しにオフィスへ出向く必要があり、リモートワークとの相性が悪いという問題があります。
一方、デジタル化された請求書や文書であれば、インターネットを通じて関係者がリアルタイムで共有・確認することが可能です。出張先や自宅でも同じように業務を完結できれば、企業全体の生産性や柔軟性が格段に向上するでしょう。
ESGやSDGsの観点からの紙削減
気候変動や資源保護への関心が高まる中、企業にとっても環境への配慮は社会的責任として重視されるようになりました。紙の利用量が多い業務プロセスは、森林資源の消費や廃棄物の増加を招きやすい側面があります。
ESG投資やSDGsへの取り組みを進める上でも、ペーパーレス化や紙削減は企業価値を高める要素の一つです。コスト削減という直接的な恩恵に加え、環境に配慮した企業としてのブランドイメージ向上も期待できるでしょう。
請求書・書類のデジタル化で得られる4つの効果
実際に請求書や書類をデジタル化したときに、企業が享受できる代表的なメリットを4つ紹介します。
郵送コストの大幅削減
請求書や明細書などの書類を電子化することで、印刷費や封筒代が抑えられます。さらに、郵便料金に伴うコストがほぼゼロになるため、従来の封書が占めていた予算の大部分を節約できるでしょう。
紙の削減に成功した企業の中には、年間で数百万円単位のコスト削減を実現した例もあります。金額面のインパクトが大きいだけでなく、郵送のための付帯業務の手間も減らせるため、業務全体の効率化につながります。
発送業務の省人化・業務効率化
郵送業務では、封入作業や宛名書き、仕分けなど多くのステップが重なっています。電子化によってこれらの作業が不要になれば、人件費だけでなく、担当者の心理的負担も軽減できます。
また、残業時間が減ったり、担当者の有給取得率が上がったりなどの効果も見込めるでしょう。さらに、業務を電子化することで、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの自動化ツールと組み合わせやすくなり、スピーディーかつミスの少ないオペレーションを構築できるでしょう。
リードタイムの短縮
紙の郵送で書類が相手に届くまでには数日かかるケースが一般的ですが、電子化であれば即時に送付できるため、相手はすぐに確認できます。特に請求関係の書類なら、支払い手続きや承認フローが速やかに進み、キャッシュフローが改善する効果も期待できます。
営業活動や取引先への連絡がスピードアップすることで、顧客対応の時間や商談機会の増加も見込めます。ビジネス全体のサイクルを早めることで、市場競争力を高める大きな要素となるでしょう。
顧客とのやりとりの履歴可視化・検索性向上
紙の書類はファイリングやコピーを取らなければ確認ができず、担当者によって保管方法が異なると検索性も悪くなりがちです。デジタル化によって顧客とのやりとりを一元管理すれば、必要な文書を検索するのに時間をかける必要がなくなります。
過去の送付履歴や請求内容の変更点をすぐに確認できるため、トラブルシューティングも迅速化できますし、顧客サービスの質も総合的に向上します。監査対応やコンプライアンス面でも、データが整然と保管されていることは安心材料となるでしょう。
デジタル化とRPAを活用した業務効率事例
メールやSMSを活用した事例や、デジタル化に伴うRPA導入による業務効率化・コスト削減の事例を紹介します。
紙の郵便物を減らすうえで、最も簡単かつ早い手段がメールやSMSなどの電子的な情報伝達方法へ切り替えることです。この移行にあわせてRPAの導入を検討することで、さらに人手を省き、ミスのない業務改革を実現できます。
メールやSMSで情報を届けるメリット
紙を使わず電子媒体で情報を届けることで、即時性が圧倒的に高まります。数分以内に相手がメッセージを受け取り、確認できるため、オペレーションのスピードを格段に上げられるでしょう。
また、メールやSMSの送信にかかるコストは極めて低く、郵送料の値上げに左右される心配がありません。送信履歴や既読確認が可能な仕組みを利用すれば、顧客の反応を基にしたフォローアップも自動化しやすくなります。
請求書・督促状のペーパーレス化事例
特に請求書や督促状は、郵便料と共に印刷代が継続的にかかるため、ペーパーレス化の効果が大きい領域です。事例としては、関連システムに電子請求書発行機能を追加し、発行から送付、管理までを一元化したケースが成功例として多く見られます。
紙と電子を選択可能にするハイブリッド方式を設定しながら、徐々に電子への移行率を高める段階的なアプローチを取る企業もあります。これによって顧客の反応を見極めつつ、業務フローをスムーズに移行し、郵送コストを確実に削減していくことが可能となるでしょう。
送金通知書を郵送からメールに変更、コスト削減した事例
食品流通業のA社は、郵便料金値上げを機に、これまで郵送で行っていた送金通知書の送付をメールとRPA「Autoメール名人」を活用した送付に切り替えました。
これまで手作業で行っていた送金通知書の印刷、封入、発送作業がなくなり、工数や郵送代として、月20万円の削減を実現できました。
Autoメール名人は、メールに関わる業務の自動化に特化したRPAです。
今回の事例は、基幹システムから送金通知書のデータを取り込み、送付先ごとに設定されたメールに送金通知書データを添付し配信するところまで自動化できました。
今後は、メール送信の自動化だけでなく、メール受信をトリガーにして行う業務も自動化することを検討しています。
メールで送受信する、取引先とのやり取りを自動処理するRPA「Autoメール名人」の詳細はこちら→
郵便料金値上げをきっかけに、業務のデジタル化と自動化の検討を
2024年10月の郵便料金値上げに伴うコスト増を避けるために、業務のデジタルシフトを検討しませんか。
紙を電子化することで、印刷や郵送にかかる手間とコストを削減できるだけでなく、業務の効率化や属人化の解消にもつながります。さらに、デジタル化された業務は自動化しやすくなり、作業負担の軽減や業務全体の最適化も期待できます。
郵送コストの削減を機に、デジタル化と自動化を進め、業務のさらなる効率化を目指しましょう。