
経理業務のよくある悩みとは?経理業務の効率化を徹底解説

経理業務は企業運営において欠かせない重要な業務ですが、紙ベース作業や承認フローの複雑さなど、効率化を阻む要因は少なくありません。
経理業務は専門知識が必要なだけでなく、チェック作業や確認作業が非常に多いため、ミスのリスクや担当者の負担も大きくなりやすい点に課題を感じているのではないでしょうか。効率化に取り組むことで、ミスを削減し生産性を高めるだけでなく、担当者のモチベーション向上にもつながります。
本記事では、経理担当者が抱えるよくある悩みや課題、効率化によるメリット、具体的な方法、さらにRPAの導入事例やデジタル化のおすすめポイントなどを徹底解説します。
経理業務のよくある悩みや課題

会計処理や経費精算などの経理業務には、人的ミスやフローの複雑化など、さまざまな悩み・課題が存在します。
経理担当者が抱える悩みとして特に顕著なのが、紙ベース書類の多さとそれに伴う扱いの煩雑さです。専門知識が必要な処理も多く、承認フローが複数に渡るケースでは、書類の確認や承認待ちに時間を取られやすいという声もあります。こうした環境下では、手作業による入力やチェックが頻発し、ヒューマンエラーのリスクが常に付きまといます。
さらに、事業が成長し経理業務量が増えてくると、人材不足や担当者の負担増により、業務効率化がいっそう難しくなる傾向があります。役所や金融機関への提出書類など、一部オンライン化が進んでいる業務もある一方で、依然として紙を前提にしたプロセスが多いのも現実です。こうした複合的な要因により、経理部門全体が慢性的に忙しい状態になりやすく、改善機会を見出しにくいのです。
業務効率化がなかなか進まない
経理業務の効率化が進まない最大の要因は、紙ベースでの処理が残っていることや、システム化が部分的にしか行われていないことです。書類のスキャンや電子保存が進めば検索や集計が容易になり、二重チェックも減らせます。しかし紙の原本が必要と考える文化や、従来のやり方を変える抵抗感により、なかなか全社的に推進できないケースが多いです。また、効率化のための投資を行う意義を上層部に理解してもらえない場合もあり、体制面の問題も合わせて解決する必要があります。
たびたびミスが発生する
経理業務では大量の数字やデータを扱うため、ちょっとした入力ミスや転記ミスが重大な問題に発展することがあります。チェック体制を強化すればミスは減らせますが、その分業務量が増え、結果的に経理担当者への負担が拡大しかねません。さらに、会計期間の締めに合わせて集中する処理が多く、時間的な制約がミスを誘発することもあります。こうした問題を根本から解決するには、予防策としてワークフローの見直しやシステムによる自動化が欠かせないと言えます。
経費精算や承認プロセスが煩雑になっている
経費精算や承認は多数の関係者を巻き込み、書類のやり取りも多いため手間と時間がかかりがちです。複数部門にまたがり押印やサインが必要になれば、書類の移動と確認に手間取ることも珍しくありません。さらに、レシートや請求書を都度チェックしなければならず、担当者は見落としがないよう隅々まで確認を行う必要があります。直接的に利益を生む業務ではありませんが、企業を円滑に運営するうえで重要なプロセスであるため、効率化しづらい点が悩みの種になっています。
経理業務を効率化するメリット
経理業務の効率化によって得られるメリットは、業務の抜本的な改善だけでなく、企業全体の生産性にも大きく寄与します。
従来、経理担当者は書類のチェックや入力作業に相当な時間を割いてきましたが、効率化を進めることでその時間を大幅に削減できます。これにより、より戦略的な業務や問題解決への対応など、付加価値の高い業務領域へリソースを振り向けられるのが最大の利点です。また、ミス防止効果も高まり、顧客や取引先とのトラブル減少につながります。
経理業務がスムーズに進めば、企業のキャッシュフロー管理も安定しやすくなります。さらに、担当者の残業や休日出勤が減ることで、チームのモチベーションも向上しやすいです。

処理時間の短縮による生産性向上
経理処理にかかる時間を短縮できれば、それだけコア業務や分析作業にあてる時間を生み出せます。単なるルーチン作業に追われるのではなく、戦略的思考や業務改善につながる業務へシフトできるのが大きなメリットです。経費精算や伝票入力など、定型化された手作業こそ自動化を検討し、生産性の底上げを狙うと良いでしょう。
ミスの削減と作業品質の向上
経理部門で発生するミスの多くは、同じ内容を二重三重にチェックする体制が無い、あるいは不十分な管理体制から来るものです。入力や集計といった業務をシステムやRPAに任せることで、ヒューマンエラーを大幅に減らすことが期待できます。結果として、社内外への信頼性も高まり、クレームや修正対応の時間を削減できるのです。
コスト削減とリソースの最適化
紙の使用を減らすペーパーレス化は、保管場所や印刷コストだけにとどまらず、紛失リスクの低減にもつながります。さらに、RPAのような自動化ツールを活用すると、人的な作業時間の削減が期待でき、残業代や人件費の抑制にも効果を発揮します。これらのコスト削減分を、企業の成長戦略や新規事業に振り向けることで、リソースを最適に配分できます。
経理担当者の負担軽減
業務の効率化により、定型的な作業に割く時間が減ることで、経理担当者の肉体的・精神的負担も軽くなります。特に月末月初や決算期の集中作業が緩和されれば、残業や休日出勤が減り、ワークライフバランスを保ちやすくなるでしょう。余裕が生まれた時間を新たなスキル習得や業務改善に充てることで、担当者のモチベーションや専門性もさらに向上していく可能性があります。
経理業務を効率化する方法
課題を把握したうえで、具体的な手法を導入することが効率化のカギとなります。ここでは代表的な方法を紹介します。
この段階ではまず、現場担当者の視点を取り入れながら、現状の業務プロセスを洗い出すことが重要になります。紙ベースの書類がどこで発生し、どこで停滞するのかを可視化し、その中で自動化や削減が可能なタスクを特定します。場合によっては、ルールを見直したり、承認フローを簡略化するだけで業務時間を大幅に削減できるケースもあります。
続いて具体的なツールや外部サービスの導入を検討します。会計ソフトやRPAツールを活用することで、手動では時間や精度が限られる領域を効率よくサポートできます。さらに、自社でリソースが足りない場合には、経理代行サービスを活用し、コア業務との両立を図るなど、複合的な手段を組み合わせることが有効です。
経理業務のフローを最適化する
まず行うべきは、現状のフローを詳細に可視化し、どの部分に無駄や重複があるかを洗い出すことです。現場担当者のヒアリングや、タイムスタディなどの手法を用いて、目的に沿わないタスクや承認段階を省くことで大幅に手間を減らせます。また、現場独自のルールなどが原因で作業が停滞している場合もあるため、部署間の連携を含めた調整が欠かせません。
ペーパーレス化を推進する
書類の電子化は検索や集計を容易にし、情報共有のスピードを飛躍的に高めます。従来のファイリング作業から解放されるだけでなく、帳票類の紛失リスクも低くなるため、多方面でのコスト削減が期待できます。さらに、電子データならチェックポイントでの重複確認や承認作業をシステム上で一括管理できるようになり、フロー全体を効率化できます。
会計ソフトを導入する
財務諸表の作成や仕訳入力など、手作業で行うと時間のかかる業務をスムーズに進められるのが会計ソフトの強みです。キャッシュフロー分析やレポート作成機能が充実している製品を選べば、数値管理を戦略的に生かせます。また、ソフトによってはクラウド型も存在するため、データのバックアップや遠隔地でのアクセスも容易になり、柔軟な働き方にも対応できます。
RPAツールを導入する
RPAツールは、定型的かつ繰り返し行われるタスクを自動化できるため、経理業務の大幅なスピードアップに直結します。具体的には、請求書や入金情報の照合、経費精算データの入力など、社員が日々行っている単純作業をRPAロボットに任せることが可能です。これにより、担当者は付加価値の高い仕事に時間を割けるほか、ミスのリスクも極めて低くなります。必要な処理を手順どおりに実行してくれるため、経験不足の社員でも質の高いアウトプットを得やすい点も魅力です。
経理代行サービスを利用する
経理業務を専門家にアウトソーシングすることで、社内のリソースをコア業務に集中させられます。人手不足が続く中小企業などでも、専門知識を持ったスタッフが対応するため、ミスや漏れを抑えた経理処理が期待できるでしょう。費用対効果の観点でも、短期的にはコストがかかったとしても、長期的に見れば業務品質の向上や担当者負担軽減を踏まえ、大きなメリットを得られるケースが多いです。
経理業務におけるRPAの導入事例
RPAを活用することで、従来の作業フローを大幅に効率化した事例は数多く存在します。具体例をいくつかご紹介します。
経理業務にRPAを導入した企業では、特に反復的な入力やデータ照合業務で顕著な効果が得られています。紙資料から複数のシステムにデータを転記していた作業や、承認リストを手動で回覧していたプロセスが自動化され、作業時間が大幅にカットされるケースが多く見られます。現状では、月間の作業工数が数十万円単位で削減できるなど、目に見える効果をもたらした企業も少なくありません。
また、RPAを導入することで残業や休日出勤が抑制されるだけでなく、ミスの削減という定性的なメリットも大きいと報告されています。特に、請求情報の照合や支払い処理の仕組みを自動化することで、作業速度だけでなく正確性も向上しています。さらに、事業規模拡大に伴って増加する経理処理量を吸収できる柔軟なフローを構築し、組織全体の成長を下支えする仕組みに変えている企業も数多く存在します。
月間70万円の工数を削減し、残業や休日出勤の抑制に成功
M社では、全国40箇所に点在する約100名の営業部員がリアルタイムで工事管理データを確認できるように、経理担当者が毎月数百回にわたり、会計システムのデータを手動で工事管理システムに入力していました。
この業務には1回あたり5分程度かかり、セキュリティ上の理由から限られた担当者しか操作できなかったため、残業や休日出勤が常態化しているという問題がありました。また、月間70万円相当の人件費が発生しており、コスト効率の悪化も課題でした。
そこで、従業員の業務負担と工数の削減を目指して「Autoブラウザ名人(現 Autoジョブ名人)」を導入し、データ連携の自動化を実現。結果として、担当者の作業時間を大幅に削減でき、残業や休日出勤の抑制に成功しました。
開発機能や条件設定の柔軟さから、自社で高精度なシナリオを作成・運用できており、今後はさらなる自動化の拡大を計画しています。
詳細はこちら→ https://www.usknet.com/rpa/rpa_automation/545/
支払・請求情報をRPAで自動照合し、経理業務の効率化を実現
A社は、取引先からメールで受信した支払情報を手作業でExcelに入力して照合作業を行っており、膨大な手間と時間がかかっていました。
この作業を改善するため、RPAツール「Autoブラウザ名人(現 Autoジョブ名人)」を導入し、Gmailの受信メールから自動的に明細を抽出してCSV化しました。結果として、基幹システムの請求データと支払情報を自動照合できるようになり、業務時間の大幅な短縮とミスの削減に成功しています。
以前は、経理担当者が月に約10日間、手動で照合作業を行っていましたが、支払情報の受信・管理が効率化されたことで、残業や休日出勤が減少し、作業精度も向上しました。また、手作業による入力ミスもなくなり、より正確なデータでの照合が可能になりました。
詳細はこちら→ https://www.usknet.com/rpa/rpa_automation/540/
事業拡大によって増加した経理業務にRPAを適用
O社は、全国各地のクライアント対応とオンラインサービスの拡充により、事業が急速に拡大していました。その結果、社内業務フローが煩雑化して業務報告や経理業務が増加し、さらなる生産性向上が急務となっていました。
そこでRPAツール「Autoジョブ名人」を導入し、GoogleDriveでの業務報告データ収集や、クライアントへの報告書作成、社内給与システムへのデータ連携を自動化。各作業の自動化が進んだことで、これまで手作業で行っていた業務を効率化でき、社員の業務負担を大幅に軽減することに成功しました。
現在では、既存の事務代行業務の自動化に加え、新規案件での業務フローにもRPAを活用する計画が進んでおり、今後さらなる効率化と生産性向上が期待されています。
詳細はこちら→ https://www.usknet.com/rpa/rpa_automation/353/
電子取引のデータ保存を自動化し、業務負荷なしで電帳法対応を実現
ユーザックシステムでは、NTTデータビジネスブレインズのClimberCloudと自社RPAツール「Autoジョブ名人」「Autoメール名人」を活用し、仕入請求データの処理を自動化し、電子帳簿保存法(電帳法)に対応しました。
以前、仕入請求データのメール受領後、手動でExcelに保存していた業務は、法的に求められる電子取引の要件を満たしていないことが判明し、この問題を解決するために新たな自動化ソリューションが必要となりました。
そこで、ClimberCloudを導入することで、検索機能の柔軟な設定が可能になり、プログラム開発をせずとも法的基準を満たすデータ保存ができるようになりました。さらに、RPAを組み合わせることで検索の利便性が大きく向上し、特定の請求データや仕入先に関する情報を簡単に検索・確認できるようになりました。
経理業務の効率アップに、デジタル化とRPA活用がおすすめ
デジタル化によるペーパーレスや自動化ツールの活用で、経理業務を包括的に効率化し、新たな価値創出につなげることができます。
経理業務全体を見直す際には、デジタル化を基盤とするアプローチを優先的に検討するのがおすすめです。紙のやり取りや対面での承認プロセスを削減するだけで、大幅に時間や経費を節約できます。そこにRPAなどの自動化技術を組み合わせれば、データ照合や切り出しをスムーズに行え、複雑なフローも一貫してスピーディに処理できるようになるでしょう。
このようなデジタル化とRPAの組み合わせによって、従来気づきにくかった無駄な作業プロセスが浮き彫りになり、企業全体の生産性向上に貢献できます。さらに、担当者はヒューマンエラーを心配する必要がほとんどなくなり、柔軟な働き方や新しい取り組みにも時間を割きやすくなるはずです。
経理業務を効率化するRPA「Autoジョブ名人」と「Autoメール名人」について、詳しい資料はこちらからお申込みください。
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