
RPA導入をスモールスタートし、全社展開するには?進め方・判断基準・成功のポイント

RPAを導入するときは、最初から多くの業務や部門を自動化するのではなく、対象を絞って小規模に始める「スモールスタート」が適しています。
小さく始めることで、RPAが実際の業務環境で安定して動くか、期待した効果を得られるか、導入後に誰が運用するかなどを確認できます。問題が見つかった場合も、対象範囲が限られていれば修正しやすく、業務への影響を抑えられます。
ただし、一つの業務でRPAを動かすことができても、その方法をそのまま他部門へ適用できるとは限りません。RPAを他部門へ横展開するには、最初の導入で得た成果と課題を整理し、業務選定、シナリオ作成、運用、効果測定の方法を標準化する必要があります。
この記事では、RPAをスモールスタートするメリット、全社展開へ移る判断基準や手順、展開後も安定して運用するための体制について解説します。
RPAの“スモールスタート”とは
RPA導入におけるスモールスタートとは、自動化する業務や導入する部門を限定し、小規模に本番運用を始める方法です。
例えば、経理部門の請求データ作成、営業事務部門の受注データ入力、総務部門の定型レポート作成など、手順が決まっている業務から導入します。
単に、少ないライセンスや小さな予算で始めることではありません。最初の導入を通じて、次の展開に必要な情報を集めることが目的です。一定期間運用し、処理時間、エラー、担当者の作業負担などを確認したうえで、対象業務や利用部門を段階的に増やしていきます。
トライアルとスモールスタートの違い
RPAのトライアルとスモールスタートは、どちらも対象を絞って行いますが、目的が異なります。
トライアルは、RPAツールが自社のシステムや対象業務に適しているかを確認するための検証です。操作性や安定性、エラー時の動作、サポート対応などを確認し、本格導入するかどうかを判断します。
一方、スモールスタートは、選定したRPAツールを実際の業務で小規模に運用し、導入効果や運用方法を確立する段階です。
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項目 |
トライアル |
スモールスタート |
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主な目的 |
ツールと対象業務の適合性を確認する |
小規模に本番運用し、効果と運用方法を確立する |
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利用環境 |
検証環境を含む |
原則として実際の業務環境 |
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主な評価項目 |
動作、操作性、安定性、例外対応、サポート |
導入効果、運用負荷、メンテナンス、定着度 |
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次の判断 |
本格導入するか |
対象業務や部門を広げるか |
トライアルで良好な結果が出たとしても、本番運用で、処理結果の確認、エラー対応、システム変更への対応などが必要になります。
トライアルの成功をそのまま全社展開の判断材料にするのではなく、小規模な本番運用を通じて、継続して利用できるかを確認することが重要です。
RPAトライアルで確認したい動作、安定性、例外処理、操作性、サポートなどの評価項目は、以下の記事で詳しく解説しています。
RPAをスモールスタートするメリット
導入時のリスクを抑えられる
最初から多くの業務を自動化しようとすると、業務整理、シナリオ作成、テスト、担当者教育などを同時に進める必要があります。
対象が広がるほど、確認漏れや手戻りが発生しやすくなり、問題が起きたときに原因を特定することも難しくなります。
スモールスタートで対象を限定しておけば、シナリオに問題が見つかった場合も、影響を受ける業務や担当者を限定できます。問題の原因を確認し、シナリオや業務手順を見直してから次の対象へ進めるため、導入時のリスクを抑えられます。
また、初期段階で必要になるライセンス、シナリオ作成、教育などの費用も抑えやすくなります。最初の導入で費用対効果を確認してから追加投資を判断できるため、導入効果が不明なまま大きな予算を投じることを避けられます。
導入効果を測定しやすい
対象業務を絞ると、RPA導入前と導入後の状態を比較しやすくなります。
例えば、次のような項目を記録します。
- 月間の作業時間
- 1件あたりの処理時間
- 処理件数
- 入力ミスや手戻りの件数
- 残業時間
- 繁忙期に必要だった応援要員
- RPAの実行結果を確認する時間
- エラー対応やシナリオ修正にかかった時間
RPAが処理した時間だけを削減効果とするのではなく、導入後も人が行う確認作業や例外対応を含めて測定することが大切です。
例えば、導入前に月100時間かかっていた業務が、RPA導入後に人の作業を月20時間まで減らせた場合、創出できた時間は月80時間です。RPAの実行時間そのものではなく、人の作業がどの程度変化したかを比較します。
自社に合った運用方法を確認できる
RPAは、シナリオを作成すれば永続的に動き続けるものではありません。
対象システムの画面、業務手順、アカウント、ファイル形式などが変わると、シナリオの修正が必要になることがあります。通信障害やデータの不備によって、処理が途中で停止することもあります。
小規模に運用することで、次のような実務上の課題を確認できます。
- 誰が実行結果を確認するか
- エラーをどのように通知するか
- エラーの原因を誰が調べるか
- 処理途中で停止した場合、どこまで処理されたかをどう確認するか
- 復旧まで手作業へ切り替えられるか
- シナリオの修正を誰が担当するか
- システム変更をRPA担当者へどのように共有するか
こうした運用方法は、製品の機能だけで決まるものではありません。自社の業務体制やシステム環境に合わせて整理する必要があります。
最初の運用で発生した問題と対応方法を記録しておけば、次の業務を自動化するときに同じ問題を繰り返しにくくなります。
社内へ説明できる成功事例を作れる
RPAの全社展開には、経営層、情報システム部門、業務部門など、複数の関係者の理解と協力が必要です。
「RPAを導入すると業務を効率化できます」という一般的な説明だけでは、導入に必要な予算や担当者を確保できないことがあります。
一方、自社の業務で得られた成果であれば、次のように具体的に説明できます。
“営業事務部門の受注データ入力業務にRPAを導入した結果、人による作業を月120時間から月20時間へ削減しました。3か月間の運用では、重大な誤処理は発生していません。今後は、同じシステムとデータ形式を使用している出荷データ登録業務への展開を検討します”
成果だけでなく、導入にかかった期間、シナリオ作成や修正の工数、必要だった支援なども併せて共有すると、他部門が導入を検討しやすくなります。
RPAをスモールスタートするときの対象業務の選び方
最初の対象業務は、削減できる時間の大きさだけで選ばないことが重要です。
作業時間が長い業務であっても、例外処理や人の判断が多い場合は、シナリオが複雑になり、安定稼働までに時間がかかることがあります。最初の導入で問題が多発すると、現場がRPAに不安を感じ、社内展開が進みにくくなる可能性もあります。
スモールスタートでは、効果を確認しやすく、比較的短期間で安定稼働させやすい業務を選びます。
最初に選びたい業務
最初の対象に適しているのは、次のような業務です。
- 手順とルールが明確になっている
- 同じ作業を定期的に繰り返している
- 処理件数が多い
- 入力や転記など、人為的なミスが発生しやすい
- 例外処理や人による判断が少ない
- 使用するデータの形式が一定している
- 導入前後の作業時間や処理件数を測定できる
- 業務担当者が導入や検証に協力できる
- RPAが停止した場合に手作業へ切り替えられる
加えて、将来的にほかの業務でも使用できるシステムや処理を含んでいると、横展開しやすくなります。
例えば、特定のWebシステムへのログイン、データのダウンロード、ExcelやCSVの加工、基幹システムへの入力などは、複数業務で共通して発生することがあります。
最初のシナリオでこうした処理の作成方法を確立しておけば、次の業務で一部を流用できることもあります。
最初の対象にしにくい業務
次のような業務は、自動化できないとは限りませんが、スモールスタートの対象としては慎重な検討が必要です。
- 業務手順が整理されていない
- 担当者によって処理方法が異なる
- 例外処理や人の判断が多い
- 業務手順や使用システムが頻繁に変わる
- 複数の部門や取引先との調整が必要
- RPAが停止した場合の業務への影響が大きい
- 処理結果の正しさを確認する方法がない
- 一部の担当者しか業務内容を説明できない
- 導入効果を数値で確認しにくい
このような業務を自動化する場合は、業務全体を一度にRPAへ任せるのではなく、ルールが明確な部分だけを切り出して自動化する方法もあります。
例えば、最終的な内容判断や承認は人が行い、データの取得、転記、集計、結果の出力までをRPAに任せます。RPAと人の役割を分けることで、複雑な業務でも段階的に自動化できます。
対象業務の詳しい選び方は、以下の記事もご覧ください。
全社展開へ進む前に確認したい6つの判断基準
一つの業務でRPAを稼働できたからといって、すぐに対象業務や利用部門を増やしてよいとは限りません。
横展開へ進む前には、導入効果だけでなく、安定性、運用負荷、メンテナンス、再現性、管理体制を確認します。
1.期待した導入効果を得られているか
最初に、導入前に設定した目標を達成できているか確認します。
確認する効果には、作業時間や処理件数などの定量効果と、ミスの削減や業務品質の安定化などの定性効果があります。
定量効果の例は、次のとおりです。
- 作業時間の削減
- 処理件数の増加
- 残業時間の減少
- エラーや手戻りの減少
- 繁忙期に必要な応援工数の減少
定性効果としては、担当者の心理的負担の軽減、属人化の解消、処理時間の安定化などが考えられます。
給与や人員が実際に減少しない場合は、「人件費を削減した」と表現するのではなく、「年間○時間を創出した」「人件費換算で年間○円相当の効果があった」と整理すると、実態に合った説明になります。
2.一定期間、安定して稼働しているか
数回のテストが成功しただけでは、安定して運用できるとは判断できません。
月末や繁忙期など、通常とは異なる処理件数でも動作するか、一定期間確認します。
- 処理が正常に完了しているか
- 誤ったデータを登録していないか
- 処理件数が増えても動作するか
- 通信の遅延や画面表示の変化に対応できるか
- エラー発生時に処理が適切に停止するか
- 処理済みデータと未処理データを判別できるか
業務への影響が大きい場合は、正常終了率だけでなく、障害が発生したときに短時間で復旧できるかも確認します。
3.運用に過度な負担がかかっていないか
RPAによって作業時間を削減できても、毎回の実行結果確認やエラー対応に多くの時間がかかっている場合は、横展開によって運用担当者の負担が増える可能性があります。
次の時間も含めて、実際の運用負荷を確認します。
- 実行前の準備
- 処理結果の確認
- エラー原因の調査
- 手作業への切り替え
- シナリオの修正
- 業務担当者からの問い合わせ対応
RPAの台数や対象業務が増えると、この負担も増えていきます。現在の担当者だけで次の業務まで管理できるか、担当者を増やす必要があるかを判断します。
4.シナリオを継続してメンテナンスできるか
対象システムや業務手順が変わった場合に、シナリオを誰が修正するかを確認します。
作成者しかシナリオの内容を理解していない状態では、異動や退職によって修正できなくなる可能性があります。外部へ作成を依頼している場合は、修正を依頼する方法、費用、対応期間も確認しておきます。
- シナリオの目的と対象業務
- 使用するシステムとアカウント
- 入力データと出力データ
- 実行条件とスケジュール
- エラー発生時の対応
- 作成者と管理者
- 更新日と変更履歴
- 停止・廃止する場合の手順
横展開の前に管理方法を整えておくことで、ロボットの数が増えても状況を把握しやすくなります。
5.ほかの業務でも再現できる方法になっているか
他業務へ展開するためには、何が成功要因だったのかを整理します。
- 対象業務の選び方
- 業務担当者へのヒアリング方法
- シナリオ作成の手順
- テスト項目
- 本番稼働前の承認方法
- エラー対応の手順
- 導入効果の測定方法
これらを文書やテンプレートにし、別の担当者でも同じ手順で進められる状態にします。
6.対象が増えても管理できる体制があるか
一つの業務であれば、作成者と業務担当者の間だけで管理できる場合があります。しかし、複数の部門でRPAを利用するようになると、全社共通の管理が必要になります。
横展開へ進む前に、次の点を確認します。
- RPA全体の責任者が決まっている
- 各ロボットの所有部門と管理者が分かる
- 新しいロボットを作成する際の承認方法がある
- アカウントと権限の管理方法が決まっている
- システム変更をRPA担当者へ共有できる
- 定期的に稼働状況と効果を確認できる
- 不要になったロボットを停止・廃止できる
展開可否はチェック数だけで判断しない
全社展開へ進むかどうかは、確認済みの項目数だけで判断しないようにします。
例えば、作業時間の削減効果が大きくても、エラー発生時の対応担当者が決まっていなければ、対象を増やしたときに業務が停止する可能性があります。
判断結果は、次のように分けると整理しやすくなります。
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判断 |
状態 |
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展開可能 |
効果と安定性が確認でき、運用担当者と管理方法も決まっている |
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条件付きで展開 |
効果は確認できているが、教育やルールの整備が必要 |
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現在の範囲で継続 |
効果はあるが、ほかの業務への再現性が低い |
|
見直しが必要 |
エラーが多い、運用負荷が高い、期待した効果が出ていない |
「全社展開しない」という判断が、必ずしも失敗を意味するわけではありません。効果が得られる業務だけに範囲を限定し、安定運用を続けることも適切な選択です。
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RPAをスモールスタートから全社展開する6つのステップ
ステップ1.モデル業務を選定する
最初に、RPA導入の効果と運用方法を検証するモデル業務を選びます。
モデル業務は、単に作業時間が長い業務ではなく、短期間で成果を確認しやすく、次の展開に役立つ知見を得られる業務を選びます。
例えば、複数の部門で利用しているシステムを操作する業務や、他部門にも似た作業がある業務であれば、最初の導入で得たノウハウを横展開しやすくなります。
モデル業務を決める際は、導入前の作業時間、処理件数、エラー件数などを記録し、導入後に比較できる状態にしておきます。
あわせて、「作業時間を月○時間削減する」「入力ミスを○件以下にする」など、事前に目標を設定します。
ステップ2.小規模に導入して効果を検証する
モデル業務にRPAを導入し、一定期間、本番環境で運用します。
この段階では、RPAが動いたかどうかだけでなく、実際の業務全体がどのように変化したかを確認します。
例えば、データ入力を自動化できても、RPAの実行前に人がデータを整える時間が増えていないか、処理結果を確認する作業に時間がかかっていないかを確認します。
エラーが発生した場合は、発生条件、原因、復旧方法、対応にかかった時間を記録します。同じ問題が繰り返される場合は、シナリオだけでなく、元の業務手順や入力データのルールを見直す必要があります。
ステップ3.運用方法と課題を標準化する
小規模導入で得られた結果を、次の導入で再利用できる形にします。
成功事例として削減時間だけを共有しても、他部門は具体的に何から始めればよいか判断できません。対象業務の選定から本番運用まで、どのような手順で進めたかを整理します。
標準化したい主な内容は、次のとおりです。
- 自動化候補業務を確認するためのヒアリングシート
- 業務フローの記載方法
- シナリオの命名規則
- シナリオ設計書
- 本番稼働前のテスト項目
- エラー対応手順
- アカウントと権限の申請方法
- 変更履歴の残し方
- 導入効果の測定方法
- 停止・廃止の判断方法
最初から詳細な規程を作り込む必要はありません。小規模導入で実際に発生した問題をもとに、必要なルールから整備します。
ステップ4.同じ部門の類似業務へ広げる
最初のモデル業務で成果を確認できたら、まず同じ部門内の類似業務への展開を検討します。
同じ部門であれば、業務の背景、使用しているシステム、担当者、データ形式などが共通している可能性が高く、他部門へ展開する場合よりも調整しやすいためです。
次のような業務は、比較的展開しやすいと考えられます。
- 同じWebシステムから別のデータを取得する業務
- 同じ基幹システムへ異なるデータを入力する業務
- 同じ形式のExcelやCSVを加工する業務
- 実施する時期や担当者だけが異なる業務
- 既存シナリオの一部を変更すれば利用できる業務
ただし、見た目が似ている業務でも、例外処理や承認手順が異なる場合があります。既存シナリオをそのまま複製するのではなく、業務ごとの差を確認してから展開します。
ステップ5.関連部門へ横展開する
同じ部門内での展開方法が確立できたら、関連する部門へ対象を広げます。
他部門へ展開する際は、RPAの機能を紹介するだけでなく、自社で得られた成果と導入に必要な負担を具体的に伝えます。
共有する内容には、次のようなものがあります。
- どの業務を自動化したか
- 導入前にどのような課題があったか
- 作業時間やミスがどの程度変化したか
- 導入にどの程度の期間がかかったか
- 業務部門にどのような協力が必要だったか
- どのようなエラーや問題が発生したか
- 導入後にどの程度の運用工数がかかっているか
成功した点だけでなく、必要だった準備や発生した問題も伝えることで、他部門が導入後の状態を具体的にイメージできます。
また、他部門へ一律に導入を求めるのではなく、自動化候補業務を募集し、業務内容を評価したうえで優先順位を決める方法が適しています。
ステップ6.全社共通の推進・管理体制を整える
利用部門とロボットの数が増えたら、部門ごとの管理だけでは状況を把握しにくくなります。
全社展開の段階では、ロボットを作ることだけでなく、全体を管理し、継続的に改善する仕組みが必要です。
例えば、次のような仕組みを整備します。
- 自動化候補業務を受け付ける窓口
- 対象業務を評価し、優先順位を決める基準
- シナリオの開発・テスト・承認手順
- ロボット管理台帳
- アカウントと権限の管理
- システム変更の共有方法
- エラーや障害の連絡経路
- 定期的な効果測定
- 停止・廃止の判断
全社展開の目的は、ロボットの数を増やすことではありません。業務改善の効果を広げながら、増えたロボットを安全に管理できる状態を作ることが重要です。
横展開する業務の優先順位を決める方法
各部門から自動化候補を募集すると、削減したい作業や困っている業務が多数挙がることがあります。
すべての業務へ同時に対応することは難しいため、導入効果と展開のしやすさを評価して優先順位を決めます。
自動化候補業務を一覧にする
候補業務について、少なくとも次の項目を整理します。
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確認項目 |
内容 |
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業務名・部門 |
どの部門の何の業務か |
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作業時間 |
月間・年間で何時間かかっているか |
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処理件数・頻度 |
何件を、どのくらいの頻度で処理するか |
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業務手順 |
手順とルールが明確か |
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例外処理 |
人の判断や例外がどの程度あるか |
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使用システム |
どのシステムやファイルを使用するか |
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流用可能性 |
既存シナリオや共通処理を利用できるか |
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業務への影響 |
停止や誤処理が発生した場合の影響 |
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担当者 |
業務説明、テスト、運用に協力できるか |
優先順位を決める際は、削減できる時間だけでなく、シナリオ作成や運用に必要な工数も考慮します。
例えば、年間500時間を削減できる可能性があっても、業務手順が複雑で開発とメンテナンスに多くの工数がかかる場合があります。
一方、年間100時間の削減であっても、既存シナリオを流用して短期間で導入でき、ほかの部門にも展開できる業務であれば、優先して取り組む価値があります。
共通処理を再利用できる業務を優先する
全社展開では、業務ごとにシナリオを一から作ると、開発とメンテナンスの負担が増えます。
次のような処理を共通化できるか確認します。
- Webシステムへのログイン
- データの検索とダウンロード
- ExcelやCSVの加工
- 基幹システムへの入力
- ファイルの保存と名称変更
- 処理結果のメール送信
- エラー発生時の通知
共通部分を部品として再利用できれば、次の業務を自動化するまでの期間を短縮しやすくなります。修正が必要になった場合も、共通部分をまとめて管理しやすくなります。
RPAの全社展開に適した推進体制
RPAの推進体制には、業務部門が主導する方法、情報システム部門が主導する方法、両部門が共同で運営する方法があります。
どの方法が適しているかは、企業規模、対象業務、社内のIT人材などによって異なります。
業務部門主導型
業務部門主導型は、実際にRPAを利用する現場が、自動化候補の選定、シナリオ作成、運用などを進める方法です。
現場の課題を反映しやすく、業務変更にも素早く対応できることがメリットです。
一方、部門ごとに異なるルールで開発や運用を行うと、シナリオの品質にばらつきが生じる可能性があります。担当者の異動や退職によって、誰も管理できないロボットが残ることにも注意が必要です。
情報システム部門主導型
情報システム部門主導型は、情報システム部門やRPA専門チームが、シナリオの開発や管理を行う方法です。
セキュリティ、アカウント、開発手順などを統一しやすく、全社のロボットを把握しやすい点がメリットです。
ただし、情報システム部門だけでは、各部門の細かな業務手順や例外処理を把握しきれない場合があります。自動化候補が増えると、ヒアリングやシナリオ開発の順番待ちが発生し、展開が遅れる可能性もあります。
業務部門と情報システム部門の共同運営型
全社展開では、業務部門と情報システム部門が役割を分ける共同運営型が適しています。
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担当 |
主な役割 |
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経営層・導入責任者 |
方針、予算、優先順位の決定 |
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RPA推進担当 |
候補業務の評価、ルール策定、進捗管理 |
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業務部門 |
業務説明、テスト、処理結果の確認、例外対応 |
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情報システム部門 |
環境、アカウント、権限、セキュリティ、変更管理 |
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ベンダー |
導入支援、技術支援、教育、問題解決 |
業務部門は業務内容と処理結果に責任を持ち、情報システム部門は環境と全社的な管理に責任を持つなど、役割を明確にします。
すべてを情報システム部門へ任せるのではなく、業務部門もテストや結果確認に関わることで、実際の業務に合った自動化を進めやすくなります。
全社展開を見据えたRPAツールの確認ポイント
RPAツールを選ぶ際は、最初の業務を自動化できるかだけでなく、将来、対象業務や利用部門が増えた場合も運用できるかを確認します。
全社展開を見据えて確認したいポイントは、次のとおりです。
- 複数のロボットやシナリオを管理できるか
- 実行状況やエラーを確認できるか
- アカウントと権限を適切に管理できるか
- シナリオや共通処理を再利用できるか
- 担当者がシナリオを作成・修正しやすいか
- 実行結果や変更履歴を確認できるか
- 担当者向けの教育を受けられるか
- 導入後の運用や展開について相談できるか
- 利用範囲を広げた場合の料金体系が自社に合っているか
価格や導入のしやすさだけで選ぶと、対象業務が増えた段階で管理やメンテナンスの負担が大きくなることがあります。
最初の導入時点で、将来どの程度まで利用範囲を広げたいかを想定し、それに対応できる機能と支援体制を確認しましょう。
Autoジョブ名人で段階的な展開を進める
Autoジョブ名人は、特定の業務からRPAの活用を始め、効果や運用方法を確認しながら、対象業務を段階的に広げていくことができます。
RPAの全社展開では、シナリオの作りやすさだけでなく、複数のロボットがどのように動いているか、エラーが発生していないかを把握できることも重要です。
ユーザックシステムでは、対象業務の整理、シナリオ作成、担当者の教育、導入後の運用など、RPAの活用段階に応じた支援を提供しています。
最初に自動化したい業務が決まっていない場合や、現在利用しているRPAをほかの業務へ広げられずにお困りの場合もご相談ください。
RPAのスモールスタートと全社展開に関するよくある質問
RPAの全社展開はいつから検討すればよいですか?
最初の対象業務を選ぶ段階から、将来の展開可能性を確認しておくとよいでしょう。
ただし、実際に対象を広げるのは、本番環境で一定期間運用し、導入効果、安定性、運用負荷を確認してからです。
最初から全社展開を前提に大がかりな仕組みを作るのではなく、小規模導入で得た結果をもとに必要な体制やルールを整えます。
どのくらいの業務を自動化できれば全社展開へ進めますか?
自動化した業務の数だけでは判断できません。
一つの業務でも、効果、安定性、運用方法を十分に確認でき、他業務へ応用できる知見を得られていれば、次の展開を検討できます。
反対に、複数の業務を自動化していても、担当者が決まっていない、エラーが多い、管理方法が統一されていない場合は、対象を増やす前に運用を見直す必要があります。
最初から全社共通の運用ルールを作る必要がありますか?
最初から詳細なルールを作り込む必要はありません。
実際にRPAを運用しなければ、どのような問題が発生するか分からない場合もあります。スモールスタートで発生したエラーや運用上の課題を踏まえ、対象を広げる前に必要なルールを整備します。
ただし、アカウントと権限、個人情報や機密情報の取り扱い、シナリオの本番稼働前の承認など、セキュリティや内部統制に関わるルールは、初期段階から確認しておきましょう。
RPAの全社展開は情報システム部門だけで進められますか?
情報システム部門だけでは、各部門の業務内容や例外処理を把握しきれないことがあります。
業務部門が対象業務の説明、テスト、処理結果の確認を担当し、情報システム部門が環境、アカウント、権限、セキュリティなどを管理する形が適しています。
全社的な優先順位や予算については、経営層や導入責任者も関わる必要があります。
RPAを全社展開しない方がよい場合もありますか?
すべての企業がRPAを全社展開する必要はありません。
自動化に適した業務が特定の部門に限られている場合や、部門ごとに業務手順や使用システムが大きく異なる場合は、効果が得られる範囲に限定して運用する方法もあります。
「全社展開」という言葉にとらわれず、自社の課題と費用対効果に合った範囲で利用することが大切です。
まとめ
RPAをスモールスタートするメリット、全社展開へ移る判断基準や手順、展開後も安定して運用するための体制について紹介しました。
最初の業務で削減時間などの成果が得られても、安定性、エラー対応、メンテナンス、担当者、管理方法が整っていなければ、横展開した際に、運用負荷やトラブルが増える可能性があります。
スモールスタートで得られた成果と課題を整理し、業務選定、シナリオ作成、テスト、運用、効果測定の方法を標準化しましょう。
そのうえで、同じ部門の類似業務、関連する部門、全社へと段階的に広げていきます。
RPA導入前の業務整理から、ツール選定、トライアル、本格導入、運用、横展開までの全体的な進め方については、以下の記事で詳しく解説しています。
RPA導入の進め方とは?手順・費用対効果・失敗しないポイントを解説






