【徹底解説】受発注業務の自動化メリットと4つの手法を紹介

業種や企業規模を問わず、深刻な人手不足の中、限られた人員で社内の業務を効率的に進めるために、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は注目されています。RPAはPCを使った事務業務を自動化できるとして、生産性向上や属人化の解消、顧客満足度の向上など多くのメリットをもたらしてくれます。

本記事では、社内の業務の中でも「時間に追われ、ミスが許されず、繰り返し作業が多い」受発注業務に焦点をあて、自動化メリットや、自動化を実現するための4つの手法、具体的な事例などについて解説します。

受発注業務の自動化が注目されている理由

受発注業務の自動化が注目されている理由として、労働力不足や働き方改革に対応する必要性が高まってきていることが挙げられます。

少子高齢化が進行し、日本の労働力が不足している現在では、多くの業種・業態で働き手を安定的に確保するのが難しくなってきています。経済産業省が公開している「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」によれば、2050年には日本の人口は1億人を割り込み、生産労働人口が急激に減少すると予測されています。

また、限られた時間の中で業務を処理し、十分な休息を確保することの重要性が注目されるようになったことも、働き方改革の推進に拍車をかけています。

受発注業務を自動化することで、手作業による処理の煩雑化やヒューマンエラーの解消にも役立ち、労働力不足の解消や働き方改革推進の助けとなります。

<参考>2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/001_04_00.pdf

受発注業務を自動化するメリット

受発注業務を自動化するメリットには、社内全体の生産性の向上やヒューマンエラー削減、属人化の解消などがあります。

また、社内業務の連携体制が強化されたり、顧客満足度が向上したりといった点もメリットです。

社内全体の生産性が向上する

受発注業務を自動化することにより、社内全体の生産性が向上するメリットが期待できます。

人間が働ける時間は限られており、最適なパフォーマンスを発揮するためには十分な休息が必要です。しかし、システムには疲労の概念がないため、適切なルールと監視のもとで運用すれば24時間365日働き続けることが可能です。

これにより、1日に処理できる業務量が増加するだけでなく、よりクリエイティブな業務にリソースを集中させられるようになり、社内全体の生産性向上につながります。

ヒューマンエラーを削減できる

業務の自動化により、ヒューマンエラーの削減にもつながります。

人間が業務を処理すると、その日のパフォーマンスによっては集中力が散漫になり、ケアレスミスを招くことがあります。どれほど注意していても完全にヒューマンエラーを失くすことは難しく、管理者はある程度の手戻りが発生することも想定して業務を統括しなければなりません。

しかし、受発注業務を自動化してシステムが代替すれば、指示通りに機械が業務を処理するため、疲労や集中力に左右されることなく、常に一定の成果を挙げられます。

属人化の解消を図れる

受発注業務の自動化は、属人化の解消にも大きく貢献します。「人に依存しない業務フロー」を構築することで、属人化の解消を図ることが可能になるのです。

特定の担当者のみが業務の手順を把握している現場では、その担当者が不在になると業務が滞り、顧客満足度を低下させたり現場の混乱を招いたりするおそれがあります。しかし、業務が自動化された現場においては、誰がシステムを操作しても同じ成果を出せるため、スピーディーに業務を処理できます。

社内業務の連携体制が強化される

受発注業務の自動化に伴い、自動化ツールを導入すると、社内業務の連携体制が強化されるというメリットもあります。

従来のアナログな運用を続けていると、データが社内のさまざまな場所に散らばったまま集約されず、スムーズな連携に支障をきたしやすくなります。自動化ツールの活用によって、受発注データや商品データ、取引先データなど、社内のさまざまなデータを一元管理しやすくなり、業務の管理・連携がスムーズになる効果が期待できます。

顧客満足度が向上する

受発注業務の自動化には、顧客満足度の向上につながる効果もあります。

システム化によって自動的に受発注業務を処理できるようになれば、多くの現場では人の手で処理していたときよりも業務の処理速度が向上します。すると、顧客へのレスポンスも自然と早まり、顧客からの自社に対する評価が高まりやすくなるのです。

また、業務を自動で処理することでヒューマンエラーの発生率が下がることも、顧客満足度の向上に寄与します。

受発注業務を自動化する方法

受発注業務を自動化する方法には、次のようなものがあります。
● VBA(Excelマクロ)
● RPA
● EDIシステム
● OCR

自社の運用に適したものを取り入れることで、業務効率化や生産性の向上につながります。場合によっては、複数の手法を組み合わせるのも効果的です。ここでは、上記の4種類の自動化方法について解説します。

VBA(Excelマクロ)

VBAは、受発注業務を自動化する代表的な方法のひとつです。

マクロとは、パソコン上で事前に記録した操作を自動的に実行する機能のことを指しています。VBAは主にMicrosoft社が開発・提供している表計算ソフトの「Excel」に使われるプログラミング言語で、「Excelマクロ」と呼ばれることもあります。

VBAを活用すると、Excel上で動作するさまざまなマクロを作成できます。手順が決まっている計算業務や集計業務などを自動化できるので、定型業務の効率化を実現可能です。VBAを活用するためには、VBAの専門知識が必要です。

RPA

RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、あらかじめ記録した「シナリオ」と呼ばれる手順に沿って、ソフトウェアロボットが自動的に業務を実行するツールです。これまで人間が処理していた、さまざまな定型業務を自動化できます。

例えば「メールで受信したExcelファイルの発注書を開き、その中に書かれている注文書の内容を受発注システムに転記する」などの一連の処理を自動化することも可能です。

RPAとVBAはどちらも事前に記録した処理を自動化する仕組みですが、VBAがExcelなどのOffice製品上でのみ動作するのに対して、RPAはパソコン上のさまざまなアプリケーションを自動化できます。

EDIシステム

EDIシステムとは、取引先との受発注処理を行うシステムです。

従来のアナログな運用においては、電話やFAXで注文を受け付けたり、FAXで納期回答を行ったりするのが一般的でした。しかし、EDIシステムを活用することで、一連の受発注処理を効率化することができます。

アナログからデジタルへの運用に変更になるため、処理時間の短縮と、精度向上につながります。EDIシステムの中には電話やFAXで受けた注文を入力する機能が備わっているものもあるため、あらゆる方法で受注した注文を一元管理できます。

OCR

OCRとは「Optical Character Recognition/Reader」の略称です。スキャナーやカメラで印刷された文字を読み取ると、システムが自動的に書かれている文字を認識して、テキストデータに変換する仕組みです。

OCRが登場した当初は印刷された定型的な文字以外は正確に認識できませんでした。しかし近年、AIを連携させた「AI-OCR」によって読み取り精度が向上しており、癖のある手書き文字も非常に正確に読み取れるようになってきています。

参考:AI-OCRとRPAのトライアルプラン≫紙帳票業務のデジタル化・自動化におすすめ!

 

受発注業務を自動化する際の注意点

受発注業務を自動化する際は、自社の受注方法に合ったシステムを採用するとともに、取引先からの理解を得て導入を進めることが大切です。また、受発注業務に詳しい人材を自動化施策の担当に任命して、最適な運用フローを構築することも求められます。

ここでは、受発注業務を自動化する際の3つの注意点について解説します。

自社の受注方法に合ったシステムを使用する

受発注システムを導入する際は、自社の受注方法に合ったシステムを導入することが重要です。

受発注システムの中にも、FAXや電話、Web-EDIなど、さまざまな受注方法に対応しているものがあります。中にはWeb-EDIのみに対応していてFAXや電話は非対応になっているツールなど、アナログの手段で受注した注文の入力に対応していない場合もあるため、事前に自社の受注方法に合ったツールかどうかを確認しましょう。

取引先からの理解を得る

受発注システムを導入してWebを介した受発注に切り替える場合、取引先にもWebを使用した運用に切り替えてもらう必要があります。そのため、Webを活用した受発注のメリットを十分に説明し、導入までのフォローも行って、取引先からの理解を得ることが大切です。

十分に説明せず、一方的にアナログからデジタルへの運用に切り替えてしまうと、取引先の準備が間に合わずに結局従来通りの運用が続いてしまったり、取引先からの反発にあって信用を低下させたりするおそれがあります。

受発注業務に詳しい人材を自動化施策の担当に任命する

受発注業務を自動化する際の施策担当者は、受発注業務に詳しい人材を任命することが望ましいでしょう。自社の業務内容や運用フローを正確に理解している人が担当しなければ、自動化後のフローに抜け漏れが発生して効率的な運用にならなかったり、トラブルが起こったりする可能性があるためです。

自社で運用を自動化するのではなく、外部に委託する場合も、受発注システムを手がけた実績がある企業に依頼することをおすすめします。実績がある企業は自社の業務や運用フローを正しく理解して、実態に寄り添った提案をしてくれる可能性が高いためです。

受発注業務を自動化した具体事例

受発注業務を自動化する際は、過去に自動化施策を行った他社の事例を参考にすると、自社の施策を進めるときの参考になります。

ここでは、Web-EDI受注業務を「Autoジョブ名人」で自動化に成功した事例を紹介します。

Autoジョブ名人と「標準化スクリプト」を活用し3,276時間の削減に成功

食品卸売業を営む株式会社マツヤでは、取引先ごとに仕様が違う複数のWeb-EDIに対応し、業務を効率化するためにAutoジョブ名人を導入しました。

同社では、全国で約1万店舗の取引先からの発注に対応するため、受注書を出力する目的で通常6時から6時半に出社するところを30分ほど早く出社しているという実態がありました。

そこでAutoジョブ名人でユーザックシステムが提供している「標準化スクリプト(Web-EDIの操作を自動化するための開発済みシナリオ)」を利用し、1か月間で100以上の自動化用シナリオを開発したところ、年間3,276時間の作業時間を削減することに成功しています。

IPORTER、BtoBプラットフォームからの注文データのダウンロード作業をRPAで自動化
https://www.usknet.com/jirei/matsuya/

受注処理自動化で月間30時間の工数を削減

製粉事業を核とする株式会社ニップンでは、EDI、Web-EDI、FAXの3つのルートで受注作業を行っていました。

中でもWeb-EDIによる受注ルートが2000年に入ってから拡大しており、受注担当者が毎日、取引先指定のWeb-EDIサイトにアクセスして目視で受注内容を確認していました。新たな発注があれば受注ファイルをダウンロードして、手作業で販売管理システムへ転記し、出荷後に納期回答や出荷実績報告を送信する一連の作業を行っています。

これらの作業を取引先ごとに行う必要があるため、担当者の負担が増大しており、効率化するために導入したのが「Autoジョブ名人」と「Autoメール名人」です。

Autoジョブ名人を活用して取引先へのWeb-EDIサイトへのログインから、受注データのダウンロードまでの一連の処理を自動化するスクリプトを取引先の数だけ作成し、
月間30時間もの工数を削減することに成功しています。

さらにAutoメール名人を導入することにより、毎日取引先へ送っていた出荷案内を自動化し、メール業務の工数削減にも成功しました。

WebEDIの煩雑な受注処理を完全自動化。大幅な業務効率化を達成
https://www.usknet.com/jirei/nippn/

まとめ

労働力不足や働き方改革の推進によって、受発注業務の自動化に注目が集まっています。社内の生産性向上や属人化の解消、顧客満足度の向上などさまざまなメリットをもたらす受発注業務の自動化は、RPAで実現が可能です。

下記からRPA活用の事例集をダウンロードできますので、ぜひ自動化施策の参考にご活用ください。

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https://www.usknet.com/rpa/rpa_success/23052/

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