築野グループ株式会社 様
手作業で2時間超かかっていた帳票セット作業を自動化。
送り状名人で出荷業務の効率化と脱属人化を実現。

築野グループは、和歌山県を拠点に、こめ油の製造・販売をはじめ、米ぬか由来の医薬品原料や化粧品原料、工業用原料など幅広い事業を展開する企業グループだ。近年は健康志向の高まりを背景に、家庭用こめ油市場が急速に拡大。BtoB中心だった事業領域はBtoC市場へと広がり、出荷件数も大きく増加していた。
そのようななか、食用油脂事業の出荷現場では、運送会社ごとに異なる送り状や複数帳票のセット作業を人手に頼っており、紙のロスや作業負荷、出荷変更への対応が課題となっていた。さらに、物流2024年問題を見据え、将来的な配送体制の変化への備えも急務に。
こうした背景から、同社は出荷業務全体の見直しに着手。そして、ユーザックシステムの「送り状名人」を導入し、送り状の発行・セット作業を大幅に効率化。その結果、繁忙期には2時間以上を要していた手作業を自動化し、物流業務の標準化と脱属人化を実現した。
同社の物流改革のアプローチについて、築野グループ 第二営業本部 食用油脂2部の花岡 泰資氏と、第二営業部 食用油脂2部 リーダーの東 亜美氏にうかがった。
※本記事は、月刊マテリアルフロー 2026年6月1日号に掲載された記事を、許可を得て転載するものです。
国産油市場でトップシェアを誇る老舗、健康ブームの波に乗ってB2C市場も爆発的に成長
和歌山県伊都郡に本社を置く築野グループ(株)は、戦後間もない1947年に農林省指定の精麦工場として創業した築野食品工業(株)をルーツにしながら、築野運輸(株)、築野ライスファインケミカルズ(株)、築野オレオケミカルズ(株)の4社で構成される企業グループで、現在ではこめ油をその主力製品として製造・販売している。
「まず、こめ油の原料になるのはお米の糠なのですが、実はこの米糠、油を抽出する他にも、医薬品の原料、化粧品の原料、さらには食品添加物や工業用の原料も生み出すことのできる素材で、米糠から様々な製品を作っている会社なのです。
お米の糠から油を抽出した後の脱脂糠には、肌に良い成分や医薬品の原料というものが眠っている他、油の精製プロセスの副産物や食用に適さない成分も工業用の原料等で利用できることから、お米の糠を起点として様々な課題解決のための輪を回しているような、いわばSDGsを先取りしたような事業展開で、“We have a dream in rice bran(米ぬかに夢を)”を事業理念として掲げています。
手前みそながら,現時点でここまでの高度利用を実現しているのは、世界的にもかなり珍しい事例ではないかと思います」
と、説明してくれたのは築野グループ 第二営業本部 食用油脂2部の花岡泰資氏だ。花岡氏は同社が現在のこめ油を中心の事業とするに至った経緯について教えてくれた。
「創業者の築野政次は、戦時中にフィリピンのマニラで捕虜として収容され、飢餓で周りの人々が亡くなるという壮絶な体験をして命からがら帰国できた時、食品の会社で、日本という国を食生活から良くしていきたい、という思いで創業したのが始まりでした。精麦業を営む中で全農さんとのお付き合いが育まれ、精米時に大量に発生する米糠の処理に困って、腐らないように油を除いた脱脂糠の状態にできないか、と相談を受けたのがきっかけで、こめ油の製造を手掛け始めました。もともとは業務用での需要が大半で、一斗缶以上のサイズで、原料素材としてお菓子等の工場で使われる他、学校給食向けにも広く採用されています。実は我が国の食用油は98%近くが海外産の原料で、わずかに2%程度の国産油はほとんどがこめ油なのですが、国産で、遺伝子組み換えの懸念がなく、アレルギーの特定28品目に含まれていない点等が評価されて、全国的に採用されるようになりました」
さらにそれまでのB2B中心ビジネスから広くB2Cの個人消費向け市場に拡大したきっかけは10年ほど前のTV番組だったという。家庭の医学をテーマとした人気番組で、こめ油が身体に良い「スーパービタミンEが含まれている」と紹介されたことから、こめ油の認知度が一気に上昇、当初年間5億円程度だった限定的な市場が急激に成長し、その後も反動でシュリンクするようなことがなく、今や安定した大型市場として確立しているそうだ。


手作業件数の負荷が課題だった
一般向け商材の出荷フローを、送り状名人の導入を機に大幅改善
そんな、主に個人消費を中心とした家庭用の油脂類商品を取り扱うのが花岡氏の所属する食用油脂2部、同セクションでの困りごとを解決するべく導入されたのが今回の主役、ユーザックシステム(株)の送り状名人だ。そもそもの経緯から伺ってみた。
「現在、当社の従業員が約580名で、こめ油の他あらゆる関連製品事業を含めた年商がおよそ300億円を超えたくらいです。先にご説明した通り当社は製造業であると同時にその供給先として食品業界はもとより、医薬業界、化粧品業界、各種原料業界との取引があることから、部署ごとにお付き合いする業界のルールや商習慣が異なっていて、いつの注文に対していつ発送するのかからその規模感までバラバラであるにもかかわらず、企業としての基幹システム等は一緒のものを用いていますので、そういった点での使いづらさは各部署が抱えていました。その中で、我々の食用油脂2部が直面していたのは、コロナ禍の終わり頃話題になっていた、物流の2024年問題でした。卸会社様向けへの発送で多くは路線便業者のお世話になっており、物量が増える中、将来的に超過時間帯等での対応が厳しくなる可能性が浮上しました。そうなってからでは遅い、という危機感が始まりでした」
いわば2024年問題の真ん中、ドライバーの拘束時間がきっかけで、荷主側の物流改善ニーズが浮かび上がってきたケースだったようだ。
「全体のフローを見直す中で、まずクリアすべき課題として浮かび上がったのが、当社独自の帳票のシステムでした。これは全社的に他の部署も含めて共通のフローだったのですが、出荷に際して発行される帳票類のセット組み作業までのフローが、極端に人手に頼っていたのが問題でした。具体的には路線業者別に異なる入力伝票、納品書・受領書・出荷指図書がそれぞれ3枚つづりで出力されたものを手作業で分離してから束ね、別封した納品書とセットするという、手間がかかる上に紙のロス発生も問題視されるレベルになっていました。その送り状も、各路線便で異なるフォーマットだったので、それを各社が自社書式に直しているケースもあったようです。特に我々の部署は他の部署より受注件数が多いため、作業の負担を大きく感じていました。帳票類を人手でセット組みする作業など、繁忙期には、その作業だけで2時間を超える程の見過ごせない負荷になっていました」(花岡氏)


そのような状況に追い込まれた食用油脂2部の課題解決に向けた足取りはどのようなものだったのだろう。
「まず、当社がそれまで取引してきた企業には、我々の送り状に関する課題にマッチしたシステムが無いということが分かりました。そこで市場を調べてみる中で3社ほどが俎上に上ったのですが、正直なところソリューションの規模感や企業の体制といった入り口の部分で、早々にユーザックさん一本に絞り込まれていました。公式サイトで見られた多くの導入事例の中に、課題や業種ジャンル等で当社との類似性を感じるものがいくつかありましたし、打ち合わせで当社にお越しいただいた際にも、実際に作業を見ていただいた上で、具体的なフローを立てるところから丁寧に取り組んでいただいたことで、我々自身がどうしたらいいのかわからない状態だったものを、一緒に形作っていただいたのがとても心強かったです」
フロー全体では様々な課題がある中で、最初に取り組むべき課題として帳票類のセット作業にユーザックシステムの送り状名人を導入することが決定したのは、検討開始から1年が経過した2025年のことだった。
「従来は、受注のタイミングで送り状を含めた帳票類の作成を最終段階まで済ませていました。伝票類も保管が長引くことで紛失リスクも増えますし、キャンセルが発生したらそれを抜き出して作り直す手間もかかります。そこで、送り状の発行タイミングを、出荷作業の直前にしようというのが大きな変更点でした。それからもう1つが、貼札と出荷指図書を路線便トラックが来ている充填工場まで5分ほどクルマで移動して届けていた工程の削減で、そのために必要な伝票を充填工場側で印刷したい、これがクリアすべき項目となりました」
そう語ってくれたのは同社第二営業部 食用油脂2部 リーダーの東亜美氏だ。
「いただいた提案と見積を基に送り状名人の導入効果について金額的なシミュレーションを重ねて、従来のやり方によるコストやリスクを算出して、新規ソリューション導入コストと比較すると、まず金額面でも圧倒的にメリットが上回ることがハッキリしましたので、導入の判断に至りました」(花岡氏)
ただ、それまでの作業工程を一新することになる送り状名人の導入に際しては、単に発注して納品を待つだけではなく、荷主企業による路線便業者との細かいヒヤリングの積み重ねでお互いの理解を深めていく必要があった。
「これはたぶんユーザックシステムさんの過去の事例の中でもかなり特殊ではないかと思いますが、例えば従来の3枚綴り納品書を本当に廃止して大丈夫かについても、実行にあたってはすべての得意先から納入先まで1件ずつ確認しましたので、かなりの時間を要しました。帳票も、路線便業者と直接交渉を重ねる中で、具体的な新しいデザインは、事実上私が基本的に作り上げました。具体的な要望と自分のイメージを形にしていくのに、ファックスのやり取りを何回も繰り返しながら、この文字は大きくこの文字は小さく、と1㎜単位で調整して作り込んだことで、お互いに完成のイメージは掴みやすかったようです」(花岡氏)

帳票データの取りまとめから出力までわずか数分で完了、生まれた時間で各種処理作業対応も
導入する荷主側の手厚いフォローも受け、これまで日々の人手による作業時間を取られていた帳票のプロセスは、ユーザックシステムの送り状名人によってどのように改善されたのだろうか。
「送り状名人の導入以降、初期の対応が済んで軌道に乗って来てからは、ほぼノータッチで不便なく運用できています。当初想定していた課題はすべてクリアになりましたので、まずこちらはこうしたかったという要望については、ズバリのものができたと感じています。もし、現状でより改善の余地があるとすればむしろ当社のRPA側かもしれません。イレギュラーな受注に当日出荷で対応するには、どうしても出荷指図書を急いで充填工場にいるトラックまで直接届ける必要があったのですが、これについてもPDFを路線便業者オフィスに送信して先方でプリントしていただく流れになりましたので、作業者の負担は劇的に軽減されました」(東氏)
「送り状名人の導入によって、そもそも帳票類の発行作業自体がほぼ自動化できたことによって生まれた時間で、各種データの確認や1日の受注データ処理といった締めの作業に充てられるようになったプラスの効果も見過ごせません。今回の導入は我々の部署に特化した課題対応でしたが、今後は、運送会社様とも、システムで一元連携ができるような画期的なシステムの開発を期待しています」(花岡氏)
送り状名人で物流効率化の第一歩を実現したこめ油業界の最大手。今後のさらなるイノベーションの取り組みにも注目したい。


関連事例
-

SDG伊賀株式会社 様
SDG伊賀株式会社では、人より大きくなることもある巨大製品を製造・出荷しており、1機ごとに特殊な梱包や積載が必要でした。運送会社からの細かな制約や頻繁な変更への対応は煩雑で、基幹システム「Smile」や生産管理システム「TECH-S」では修正に1件20分以上かかることも。
そこで同社は「送り状名人」を導入。本社に続く2拠点目として、出荷現場の負荷が大幅に軽減され、1件当たりの修正時間は20分から5分へと劇的に短縮。巨大製品ならではの複雑な出荷業務がスムーズに回るようになりました。 -

サーモス株式会社 様
中期計画で全社的業務効率化の号令
長年の課題だった出荷業務改善を送り状名人で実現 -

スワロー工業株式会社 様
物流DX事例|いかにして出荷業務工数を半減させたのか【送り状名人】



