三ツ星ベルト株式会社 様

導入間もなく受注処理自動化による効果を実感!月間約600枚のFAX注文を自動処理。さらなる生産性向上を目指す

ソリューション:
  • 受発注
対象製品:
  • Knowfa 受注AIエージェント
業種:
  • 製造業

三ツ星ベルトと国内業務課の役割

自動車・一般産業用の伝動ベルトから建築・土木用資材まで、幅広いゴム・樹脂製品を手がける三ツ星ベルト株式会社(本社:兵庫県神戸市長田区)。その生産管理を支える国内業務課では、得意先から日々届くFAX注文の処理が大きな業務負荷となっていました。

同社は2025年8月、「Knowfa 受注AIエージェント(以下、Knowfa)」を導入。月間約600枚にのぼるFAX注文の自動処理に取り組み、導入から間もなくして1日あたり2〜3時間の業務時間短縮という効果を実感しています。さらに、ベテラン担当者の頭の中にあった暗黙知を「プロンプト」として言語化することで、長年の課題だった業務の属人化解消にも踏み出しました。

今回は、生産本部 生産管理部 業務物流担当 国内業務課で受注処理とDX推進を担う、王様、金田様、森様の3名に、Knowfa導入の経緯と現場での具体的な使い方、そしてこれからの展望についてお話をうかがいました。

Q まず、皆さまの部署と業務内容について教えてください。

私たちは生産本部 生産管理部 業務物流担当の国内業務課に所属しています。組織再編で2つの課が統合され、現在は伝動ベルトに加えて、建築資材や土木製品など幅広い製品を扱っています。役割としては、営業と生産現場をつなぐ事務業務が中心です。得意先からの注文を受けて、電話対応や仕入れ、受発注データの入力、請求書の作成までを一通り担当しています。

現在、Knowfaはこれらの業務のうち建築資材製品の受発注業務に使用しています。

扱う製品が多岐にわたるので、注文のかたちもさまざまです。なかでもFAXによる注文が主流で、多いときには1日に40件ほど、月間でならすと約600枚の注文を処理しています。これを一件ずつ確認しながら基幹システムに入力していくのが、日々の仕事の大きな部分を占めていました。

導入前の課題 ― 朝の締め切りラッシュと、属人化された手作業

Q Knowfaを導入する前は、どのような点が負担になっていたのでしょうか。

王様:一番きつかったのは、朝の時間帯の集中です。注文は朝9時ごろから一気に届き始めて、当日出荷分は11時が締め切り。その2時間ほどの間に、内容を確認して急ぎの出荷手続きまで終えなければなりません。手書きの注文書や、得意先ごとに少しずつ違う書き方の注文書を一枚ずつ読み解いて入力していくので、入力ミスも起きやすく、精神的にも時間的にも大きな負担でした。

森様:私はDX関連の業務も担当していますが、業界としてはまだまだアナログな作業が多く残っていました。同じFAX番号にいろいろな様式の帳票が混ざって届くこともあり、それを仕分けるだけでも手間がかかります。しかも、こうした処理の勘どころは結局『この担当者に聞かないと分からない』という状態になりがちで、属人化がずっと課題でした。

売上が伸びれば、その分だけ受注処理の業務量も増えていく ― 人手に頼った体制のままでは、いずれ立ち行かなくなる。そうした危機感が、自動化への取り組みを後押ししました。

Knowfa導入の経緯 ― RPAやマクロの知見を土台に、小さく始める

Q 数ある手段のなかで、Knowfaを選ばれた決め手は何でしたか。

森様:もともと私たちはRPAやExcelのマクロ・VBAを業務で使っていて、注文後の送り状の自動作成や、得意先への出荷通知などはすでに自動化していました。その素地があったので、Knowfaの『条件によって処理を分ける』『例外を判定する』といった考え方は比較的すんなり理解できました。プログラムを書くのではなく、日本語でAIに指示を出せるという点も、現場の私たちにとって扱いやすいと感じました。

王様:2025年8月に導入したのですが、いきなり全部を任せようとはしませんでした。まずは細かい注文から読み込ませて、確実に手応えを得ながらプロンプトを調整していく、という進め方です。小さく始めて、精度を確かめながら対象を広げていったのが良かったと思います。

Knowfaに「判断」をどう教えるか ― 具体的なプロンプト例

受注業務の自動化というと「FAXを読み取るだけ」と思われがちですが、Knowfaが実際に担っているのは、その先の「判断」の連続です。建築資材は長さや厚みなどのバリエーションが多く、得意先ごとに注文の書き方の癖や住所の省略があります。三ツ星ベルトでは、共通プロンプトをベースにしつつ、必要に応じて得意先別の分岐設定を行うことで、ほぼすべてのお客様への対応をカバーしています。

Q 具体的には、どのように指示(プロンプト)を書いているのですか。

王様:基本は『人に教えるのと同じ』です。ベテランが新人に『この得意先はこう書いてくるから、こう処理してね』と教える、その内容をそのまま日本語で書いていくイメージです。たとえば、こんな具合です。

例:「この得意先は商品名の『三ツ星』を省略して記載することがあるため、その文字は判別に使わず、型番と幅・厚みの数値から商品を特定してください。」

例:「この得意先は本数ではなくメートル換算で記載するため、商品マスタの規格と照合して数量を換算してください。」

例:「先に見積を提示している注文については、見積の金額を優先して入力してください。」

例:「この納入先向けの商品は、〇〇倉庫から出荷するため、出荷倉庫を〇〇に設定してください。」

例:「この得意先で送り先が判別できなかった場合、住所は『〇〇市〇〇町〇丁目』を出力してください。」

王様:また、製品の単位表記が得意先によってバラバラだという点も、注文書ならではの難しさです。たとえば、次の2つはどちらも同じ製品を指しています。

例:厚1.0mm×幅1200mm×長20m

  厚1.0mm×幅1.2m×長20m

どちらも同じ製品ですが、厚みと幅を読み違えないよう注意する必要があります。こうした単位の揺れも、得意先ごとの書き方をプロンプトであらかじめ伝えておくことで、正しく読み取れるようになります。

金田様:面白いのは、人が商品を特定するときも、結局は商品名のキーワードや過去の受注を頭の中で思い出して判断しているということです。やっていることはAIもほとんど同じなんですよね。だから『どう書けば伝わるか』が分かってくると、ぐっと作業しやすくなります。実際に設定しているのは日々受注入力をしている現場のメンバーなので、自分の知識をそのまま指示に落とし込めるのも大きいです。

導入による効果 ― 1日2〜3時間の短縮と、確認業務への集中

Q 導入してみて、どのような効果が出ていますか。

王様:受発注処理にかかる時間が、1日あたり2〜3時間ほど短縮されました。導入から間もない時期にここまで効果を実感できたのは、正直うれしい誤算でした。何より、朝の締め切りに追われるプレッシャーがやわらいだのが大きいです。

金田様:入力作業そのものが減ったぶん、本来集中すべき確認業務やお客様対応に回せるようになりました。判断が必要なところは人が見て、それ以外はKnowfaに任せる。役割分担がはっきりしてきた感覚があります。今ではチームのみんながKnowfaを信頼して使っています。

属人化の解消 ― ベテランの暗黙知を「言葉」にする

Knowfaの導入は、単なる時間短縮にとどまらず、長年の課題だった「属人化」の解消にもつながっています。

Q 属人化の面では、どのような変化がありましたか。

森様:これまで『このベテランしか分からない』という暗黙知が、たくさんありました。Knowfaに処理させるためには、まずその知識を言葉にしてプロンプトに落とし込む必要があります。この言語化の作業は手間もかかりますが、裏を返せば、頭の中にあったノウハウが誰でも見える形で残っていくということです。

王様:暗黙知がプロンプトとして整理されたことで、新入社員への教育や、担当者が変わるときの引き継ぎのハードルが大きく下がりました。誰でも標準的に処理できる環境が整ってきたので、急な欠勤や異動があっても業務が滞りにくくなっています。『その人がいないと回らない』状態から、少しずつ抜け出せているのを実感しています。

データ活用の広がり ― 仕入先への発注書作成まで

Q 受注処理以外にも、効果は広がっていますか。

森様:はい。注文書がデータ化されたことで、思わぬ副次的な効果が出ています。受け取った注文のデータを使って、今度は仕入先への発注書を自動で作成できるようになりました。受注の入口だけでなく、その先の仕入れ業務までデータがつながったことで、全体の業務スピードが上がっています。

ユーザックシステムの伴走サポート

Q 導入や運用にあたって、ユーザックシステムのサポートはいかがでしたか。

王様:プロンプトの作り方やマスタの整備など、最初はどうしても手探りの部分があります。そこをユーザックシステムさんに丁寧に伴走していただけたのは心強かったです。困ったときに相談できる相手がいるというだけで、安心して前に進められました。一人で抱え込まずに済んだことが、スピード感のある立ち上げにつながったと思います。

三ツ星ベルトでは、マスタを整備してから実運用に乗せるまで、おおよそ2〜3ヶ月というスピードで導入を進めました。初期段階ではプロンプト作成などの負担はあるものの、それを越えれば自動化・省力化のメリットは非常に大きい ― これが、同社が他社にも伝えたいというアドバイスです。

社内横展開と今後の展望

Q 今後、Knowfaの活用をどのように広げていきたいとお考えですか。

王様:国内業務課での成功事例を、課内の他製品の受発注業務はもちろん、社内の他部署にも横展開していく方針です。すでに他のオペレーターや部署と協力しながら自動化を進めています。判断をともなう業務以外はツールで効率化し、人は本来集中すべき仕事に注力できる ― そういう環境を社内全体に広げていきたいですね。

Q Knowfaそのものに期待することはありますか。

森様:2つあります。1つは、AIがどこをどう学習して、その判断に至ったのかを自然言語で確認できる機能です。説明可能性が高まれば、現場としてもより安心して任せられます。もう1つは、締め切り間際に大量の注文が届いたときの処理スピードです。読み取りが完了するまでの時間がもっと短くなれば、さらにスムーズに回せます。ユーザックシステムさんも改善を続けてくださっているので、一緒に育てていく感覚で使っています。

受注業務での手応えは、次の一歩への自信にもつながっています。三ツ星ベルトは、受注処理にとどまらず、社内のさまざまな定型業務へのAI活用も視野に入れながら、自動化を前提とした業務体制づくりを着実に進めていく考えです。

導入前後の業務フロー改善のご提案

取材を終えて

印象的だったのは、3名の皆さまが終始「人に教えるのと同じ」という言葉を使われていたことです。自動化の成否は、AIに何ができるかという以上に、人がAIに何を教えられるかにかかっている ― 三ツ星ベルトの取り組みは、そのことを具体的な形で示してくれました。

ベテランの暗黙知を言葉にし、プロンプトとして残し、検証しながら育てていく。そのプロセスは、業務効率化であると同時に、組織の知識継承という長年の課題に向き合う営みでもあります。導入から間もなくして確かな効果を実感し、なお「さらなる生産性向上」を見据える三ツ星ベルトの歩みに、引き続き注目していきたいと思います。

「まずはDXにトライしてみよう」 ― 受注処理に追われる現場にとって、その最初の一歩を踏み出すヒントが、この事例には詰まっています。

三ツ星ベルト株式会社について

企業名:三ツ星ベルト株式会社(Mitsuboshi Belting Ltd.)
本社:兵庫県神戸市長田区浜添通4丁目1番21号
代表者:代表取締役社長 池田 浩
創業:1919年(大正8年)
事業内容:自動車・一般産業用の伝動ベルト、搬送ベルトをはじめ、建築用防水材・土木用遮水材などの建築土木資材、エンジニアリングプラスチック素材、電子材料・塗料などの製造・販売。伝動ベルトメーカーとして国内有数のメーカー。東証プライム市場上場。
URL:https://www.mitsuboshi.com/