マリンフーズ株式会社 様

OCRから受注AIエージェントへ。新入社員に教える感覚で、確実に「間違わない」受注業務へ

ソリューション:
  • 受発注
対象製品:
  • Knowfa 受注AIエージェント
業種:
  • 卸売業

── 受注業務の自動化精度を高め、本番稼働で手応えを実感──

山口県下関市を拠点に、船舶向けの食料供給と、病院・施設・学校・保育園・幼稚園などへの給食用食材の供給を手がけるマリンフーズ株式会社「以下、マリンフーズ」。同社は、受注業務の入力にかかる負担と属人化、そして納期に追われる現場の残業・休日出勤という長年の課題に向き合うため、「Knowfa 受注AIエージェント」を導入しました。

施設給食ではすでに約9割、船舶向け食糧でも約7割の受注が「Knowfa 受注AIエージェント」による読み取り・変換でまかなえるようになり、現場では「間違わないこと」を最優先にした自動化が着実に進んでいます。導入をけん引したのは、代表取締役の舩越様。今回は、導入に至った背景、現場で生まれた変化、そして経営者として描くこれからの展望についてお話を伺いました。

マリンフーズという会社と受注業務の流れ

Q まずは御社のご紹介と、舩越様の自己紹介をお願いします。

舩越様:マリンフーズ株式会社 代表取締役の舩越と申します。当社は下関市を中心に、施設・病院・学校・保育園などの給食施設や、船舶向けに食料を納入する事業を展開しています。もともとは船の食料調達を専門とする会社として始まり、現在では新下関市場から仕入れる野菜・果物をはじめ、米や調味料、冷凍食品など、食に関わるあらゆる食材を病院や施設、学校・保育園へお届けしています。

当社の業務の流れは、①見積り依頼 → ②見積り提出 → ③受注 → ④発注 → ⑤納品 → ⑥請求、という6つのステップで成り立っています。今回「Knowfa 受注AIエージェント」を活用しているのは、このうちお客様から届く注文書を取り込み、受注処理を行う部分です。

DXや自動化に対する考え方としては、組織内の業務効率が上がること、そしてクライアントの課題解決につながることであれば、積極的に取り入れていくスタンスです。

導入前の課題 ── 入力の属人化と、納期が生む残業・休日出勤

Q 導入前は、どのような課題を抱えていましたか。

舩越様:大きく2つの事業で、それぞれ別の悩みがありました。

一つは施設給食です。こちらは基幹システムへの入力作業が属人化していました。受注内容を読み取り、正しい商品・数量に置き換えて入力していく作業は、慣れた担当者でなければ難しく、特定の人に負担が集中していたのです。

もう一つは船舶向け食糧です。船は出航のタイミングが決まっているため、とにかくスピードが求められます。納品が間に合わなければお客様に大きな迷惑をかけてしまう。その結果、受注処理のために残業や休日出勤が発生していました。

当社では年間で稼働する商品が3,000〜5,000点あり、商品マスターは合計で11,000件規模にのぼります。これだけの品目を、お客様ごとに異なる呼び方や単位で受注し、正確に変換して入力する。これを人手だけで続けるのは限界がありました。受注処理の業務効率を上げて社員の負担を減らし、結果としてクライアントの満足度を高めたい ── それが導入を考えた出発点です。

なぜ「Knowfa 受注AIエージェント」だったのか ── 「システムに合わせる」から「こちらに合わせてくれる」へ

Q 数あるシステムの中で、「Knowfa 受注AIエージェント」を選んでいただいた決め手は何でしたか。

舩越様:「Knowfa 受注AIエージェント」を知ったきっかけは、西日本オフィスメーションご担当者様が薦めてくださったことでした。

正直に言うと、これまでにもBtoBシステムなど、いくつかの仕組みを導入しては失敗してきました。だからこそ、これまでとは違った視点で課題を解決できるシステムを入れたいと考えていたのです。

従来のシステムは、どうしても「システムに業務を合わせる」必要がありました。お客様に対して、こちらのシステムに合わせた発注方法をお願いしなければならない。立場が逆なんですよね。ところが「Knowfa 受注AIエージェント」は、お客様の注文の仕方はそのままに、こちら側がAIで合わせていく形でした。この発想にとても興味を持ちました。

もう一つの決め手は、伴走してくれる存在があったことです。これまではメーカーと直接契約を結ぶ形が多かったのですが、今回は西日本オフィスメーション様とユーザックシステムの伴走サポートチームの皆様も一緒に伴走してくれる、いつでもリアルに相談できる相手がいるという安心感は、本当に心強いものでした。

導入の進め方 ── 伴走支援と「土台づくり」

Q 実際の導入は、どのように進めていったのでしょうか。

舩越様:導入にあたっては、西日本オフィスメーション様とユーザックシステムの伴走サポートチームの皆様が入ってくださり、最初の数社分のプロンプト(AIへの指示文)づくりなど、土台となる部分を一緒に作り上げていきました。いきなり自分たちだけで全部やろうとすると間違いなくつまずいていたと思います。

そうして導入を終え、現在では受注先のおよそ9割を「Knowfa 受注AIエージェント」でカバーするところまで来ています。FAXやメールで届く注文に対して、人の手による入力作業を極力減らし、自動化が難しい例外的な修正のみを人が担当する。そういう体制を築くことができました。

トラブルがなかったわけではありません。むしろ最初はうまくいかないことの連続でした。それでも、ユーザックシステムの伴走サポートチームの皆さまが親身になってアドバイスを続けてくださったこと、そして西日本オフィスメーション様の担当チームの皆さまが毎回同じ目線でミーティングに参加し、一緒に伴走してくださったこと。この二人三脚があったからこそ、少しずつ変化が目に見えるようになっていきました。

導入効果 ── 施設給食で約9割、船舶向けで約7割を自動化

Q 導入の効果について、具体的に教えてください。

舩越様:施設給食については、9割近くが「Knowfa 受注AIエージェント」による読み取り・変換で実現できています。船舶向け食糧についても、7割程度まで進んできた手応えがあります。

仕組みとしては、「Knowfa 受注AIエージェント」と「Autoジョブ名人」を連携させ、読み取った受注内容を基幹システムへ自動で入力するところまでをつないでいます。これにより、これまで手作業で行っていた受注処理や、それに伴う残業時間を大きく削減できました。

当社では受注業務を4名のスタッフが担っていますが、夜間や休日にまで作業が及ぶような状態は解消されつつあります。締め切りや入力作業に追われるプレッシャーが軽くなったことは、数字以上に大きな効果だと感じています。

人にしかできなかった業務をどう自動化したか ── 具体的なプロンプト例

Q 設定したプロンプトによって、これまで人にしかできなかった業務が自動化された例を教えてください。

舩越様:いちばん分かりやすいのは、お客様ごとに商品の呼び方が違うものを、AIが判別して当社の登録名に変換してくれることです。たとえばお客様の発注書には「しょうゆ」としか書かれていなくても、それを当社の商品マスターに登録された正式名称へ置き換える必要があります。

プロンプト例①(単位の換算)

「数量がグラム単位で記載されている場合は、当社の登録単位であるキログラムに換算して入力してください。」

もう一つは、お客様ごとに様式の異なる注文書を、AIがその様式だと判別して読み取れることです。FAXで届く注文書のレイアウトは、お客様の数だけ違います。どこに品名があり、どこに数量があるのかを、お客様ごとに教えておくイメージです。

プロンプト例②(注文書様式の判別)

「この得意先の注文書はこの様式です。品名は左の列、数量は右の列を読み取り、欄外の備考は無視してください。」

こうしたプロンプトは、プログラムのような専門知識がなくても、日本語で書けるのが大きな特徴です。まるで新しく入った社員に「この取引先はこういう注文の仕方をするから、こう対応してね」と教えるのと同じ感覚で設定できる。だからこそ、現場のスタッフが自分の持っている知識をそのままAIに渡していけるのです。

運用の工夫 ── 「ダミー得意先」と専用機「ピッピちゃん」

Q 運用の中で、独自に編み出した工夫はありますか。

舩越様:いくつかあります。たとえば、商品の単位がグラムとキログラムで混在する問題は、先ほどのプロンプトで吸収しました。もう一つ悩ましかったのが、得意先コードを持たない一見(いちげん)のお客様への対応です。

基幹システム上、得意先コードがないと処理が進められません。そこで、こうしたお客様には「ダミーの得意先」をあらかじめ設定し、そこに紐づけて処理するという独自の運用を編み出しました。システム上の制約を、運用側の工夫で回避しているわけです。

また、「Autoジョブ名人」を動かすための専用のノートパソコンには、社内で「ピッピちゃん」という愛称をつけています。この1台が「Knowfa 受注AIエージェント」と連携して、受注処理を最後まで完結させる中心的な役割を担っています。愛称をつけると、不思議と現場にもなじんでいくものですね。

現場の変化 ── プレッシャーの軽減と、教え合う文化

Q 導入によって、社内やお客様からはどんな声がありましたか。

舩越様:実は、お客様からの声は特にありません(笑)。というより、こういう取り組みはこっそり社内で進めて、効率化で生まれた隙間時間を使って、これからお客様にどんな付加価値の高いサービスを提供できるか ── そこで初めて評価をいただきたい、と考えているんです。

社内についても同じです。見ていると確かに効率は上がっているのですが、当初から私が「「Knowfa 受注AIエージェント」を活用して隙間時間をつくり、その時間でお客様に何を提供できるのかを考えよう」と言い続けていたせいか、効率が上がったこと自体には誰も何も言いません(笑)。うれしいやら、少し寂しいやら、というところです。

ただ、確かな変化もあります。以前は締め切りや入力作業のプレッシャーが常にありましたが、それが目に見えて軽くなりました。そして今では、社員同士が「Knowfa 受注AIエージェント」に入力するプロンプトを教え合い、協力しながら業務を進めるようになっています。これは導入前には想像していなかった、うれしい変化でした。

「導入すること」が目的ではない ── 舩越社長の考え方

Q AIをまだ活用していない企業へ、活用を後押しする一言をお願いします。

舩越様:当社は今回の導入で、注文書の取り込みから発注までの業務をほぼ自動化することに成功しました。「ほぼ」と言うのは、最後に必ず人の目で確認を入れているからであって、精度が不十分だという意味ではありません。むしろ「間違わない」ことを大切にした結果としての確認です。

ただ、最初から順調だったわけではありません。導入どころか、DXや自動化という言葉そのものに社員が戸惑い、不安の眼差しを向けていました。私は取り組む前から導入後の世界観を語っていましたが、日々の業務に追われる社員からは冷ややかな反応をされる毎日でした。強引に進めようとしては失敗し、そのたびに社内の見えない溝は深まっていったのです。

それでも諦めずに「新たなシステムで再チャレンジしたい」と思い続けた先に、「Knowfa 受注AIエージェント」がありました。実際に導入してみると、最初はトラブル続き。それでもユーザックシステムの本岡さんが親身にアドバイスし続けてくださり、西日本オフィスメーション様の担当チームが同じ目線で伴走してくださったことで、少しずつ変化が目に見えるようになり、社員も前向きに取り組んでくれるようになりました。

システムを導入するうえで一番大切なのは、「導入すること」自体ではありません。導入した後に「人が何をするのか」「何を実現するために導入するのか」という明確な目的を持つことです。「Knowfa 受注AIエージェント」は間違いなく素晴らしいシステムですが、本当に問われるのは「このシステムを使って組織が何を成し遂げたいのか」だと思います。

これからの時代、「人の心と体」でなければできない仕事以外は、すべて無くなっていくと私は考えています。だからこそ、ぜひ勇気を出して一歩を踏み出してみてください。

今後の展望 ── 販路拡大・売上向上、そして付加価値サービスへ

Q 今後、御社で取り組みたいことや展望を教えてください。

舩越様:目指すところはシンプルです。販路拡大、そして売上向上です。

「Knowfa 受注AIエージェント」の導入は、単なる時間短縮が目的ではありません。受注業務の自動化によって生み出した時間を、お客様へのフォローや新商品のご案内といった、付加価値の高い業務に充てていく。それこそが本当の狙いです。

実際、新しい仕事も並行して獲得し始めていますが、業務量が増えても「Knowfa 受注AIエージェント」があれば対応できるという体制が整いつつあります。今後は、リピート注文に対する自動メール送信など、これまで蓄積したデータを活用した「Autoジョブ名人」の応用も検討しています。さらに、ユーザー別の対応履歴の可視化や、利用状況の見える化といった機能改善も要望としてお伝えしており、開発側で実装が予定されていると伺っています。

運用のフォローについても、これまでどおり月1回のミーティングを通じて継続していく方針です。施設給食・船舶向けの双方で自動化の精度をさらに高め、確認はするけれど修正がほとんど要らない ── そんな本番稼働の状態に近づけていくことが、当面の目標です。

「いつも想像の一歩先を行かれている」というのが、私の率直な実感です。これからも時代の最先端を駆け抜けて、私たちに次の世界を見せていただけることを期待しています。

取材を終えて

「効率化したこと自体が目的ではない」── 舩越様の言葉が、今回の取材を通じて一貫していました。受注業務の自動化で生まれた時間を、いかにお客様への付加価値に変えていくか。その視点が、導入のぶれない軸になっています。

印象的だったのは、自動化の成否を「AIに何ができるか」ではなく「人がAIに何を教えられるか」で捉えている点です。新入社員に教えるように、現場の知識を日本語のプロンプトとして渡していく。その積み重ねが、属人化していた業務を組織の財産へと変えていました。

施設給食で約9割、船舶向けで約7割。本番稼働へ向けた歩みはまだ続きますが、現場が前向きに、そして互いに教え合いながら進んでいる姿に、これからの可能性を感じました。マリンフーズ様の今後の歩みを引き続き西日本オフィスメーション様と伴走支援してまいります。

マリンフーズについて

企業名:マリンフーズ株式会社
代表者:代表取締役 舩越 健太
所在地(下関営業所):〒750-0067 山口県下関市大和町1丁目13番9号
所在地(勝山事業所):山口県下関市一の宮住吉3丁目2-1 下関市地方卸売市場(青果市場)内
URL:https://www.marinfoods.biz/