丸善株式会社 様
人にしかできなかった受注業務を自動化。先を見据えたAI活用が企業の成長につながる


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—β版からの挑戦で積み上げた知見と、地道に属人化を解消し続ける丸善の歩み—

■ インタビュー対応者様
鈴木 洋輔 様 カスタマーサービス部CS1課
青木 克之 様 カスタマーサービス部システム課
田中 康文 様 カスタマーサービス部
丸善株式会社は1919年創業、千葉県市川市に物流拠点の1つを置く化学品専門の物流会社です。2020年には倉庫業務へのRPA導入をインタビューさせていただき、「人を減らすのではなく、空いた時間で人を育てる」という先進的なデジタル活用の姿勢が注目を集めました。しかしその挑戦は、そこで終わりませんでした。Knowfaのβ版リリース直後から最初期のトライアル企業として参画いただき、AIによる帳票処理の自動化に取り組んできた丸善。初期の苦労、開発チームとの密な連携、そして現在40枚/日(800枚/月)の帳票を自動処理するまでに至った道のりを、鈴木 洋輔様、青木 克之様、田中 康文様に伺いました。
丸善について

まず、丸善様のビジネスについてご紹介いただけますか?
鈴木様: 私どもは1919年創業の化学品専門の物流会社です。千葉県市川市に物流拠点の1つがあり、化学品倉庫の運営を軸に事業を展開しています。化学品というのは取り扱いが非常にデリケートで、入出荷の記録管理や荷主様ごとの書類対応など、ミスが絶対に許されない業務が多い世界です。一般的な物流とは少し異なる厳格さが求められますし、その分「人の手に頼ってきた」部分も長らく多くありました。
田中様: 新しい倉庫を開設したタイミングで取り扱い量がほぼ3倍に増えたことがありまして、そこから「このやり方では追いつかない」という危機感が組織全体で共有されるようになりました。倉庫業務の複雑さが増す中で、いかに品質を落とさずに処理量を増やすか——これが長年のテーマです。
2020年のRPA導入——先進的な挑戦の始まり
2020年にRPAを導入された経緯を改めて教えていただけますか?
鈴木様: もともとは別のRPA製品を先に試していたんです。ただ処理が途中で止まってしまうことが多くて、安定性に課題がありました。そこで「Autoジョブ名人」に乗り換えたのですが、これが非常に安定していました。入金消し込みや在庫表の自動更新、荷主フォルダへの写真振り分けなど、日々繰り返していた単純作業を次々と自動化できました。
青木様: 当時1日100枚以上の写真を手作業で90以上のフォルダに振り分けていたんですよ。それが全部自動になったときに、現場から「こんな仕事を人手でやっていたなんて信じられない」という声が出て。あの感覚は今でも覚えています。「できなかったことが、できるようになった」という喜びというか、驚きというか。
鈴木様: ただ、RPAが得意なのは「決まったフォーマットの繰り返し作業」なんですね。私どもの業務には、フォーマットが荷主様ごとに異なっていたり、手書きの文字が混ざっていたり、毎回微妙に様式が変わってくる帳票が数多くあります。そこはRPAだけではどうにもならなかったわけです。
Knowfaとの出会い——β版の導入にあたって
Knowfa導入の最初のきっかけは何だったのでしょうか?
鈴木様: Knowfaのβ版が出るという情報をいただいたのが最初です。「AI×帳票処理」というコンセプトを聞いたとき、まず頭に浮かんだのがRPAでは手が届かなかった、あのフォーマットがバラバラな帳票の山でした。「これはウチのためにあるようなツールかもしれない」と思って、β版に申し込みました。
青木様: 当社はもともと「まず試してみる」という文化が強いんです。使ってみないと何もわからない、という考え方ですね。ただ、β版に参加するということは、未完成の部分もある、ということも承知の上でしたが(笑)。
β版への参加を迷われることはありませんでしたか?
鈴木様: 迷いはありませんでした。新しいテクノロジーは早く試したほうがいい、というのは2020年のRPA経験からも学んでいました。先に試した企業が知見を持つ、という考え方が私どもには根づいていて。それに、私どもが抱えている課題をフィードバックすれば、より良いプロダクトになるかもしれない。それはお互いにとって価値がある、と考えました。
β版初期の試行錯誤の連続
β版初期は試行錯誤の連続とお聞きしました。具体的にどのような試行錯誤をされたか教えていただけますか?
青木様: 最初の数ヶ月は、正直、試行錯誤の連続でした。AIが帳票を読み取る精度が、特定の帳票では安定しなかったり、処理の途中で予期しない動作が起きることがあったりして。「さすがβ版だな」と感じながら、でも可能性は感じていました。
田中様: 現場から「この帳票はまだ手入力のほうが早い」という声が上がることもありました。それは仕方ない面もあるんですが、一方でどの帳票なら効果が出るのかを一枚一枚検証していく作業は、非常に地道でしたね。ただ、その地道な検証があったからこそ、今の精度があると思っています。
地道な作業の中で可能性はどのタイミングで感じましたか?
鈴木様: 「うまくいったとき」の手応えが明確だったからです。特定の帳票で読み取りがきちんと動いたとき、入力が自動化されてデータが正確に出てきたとき——あの感覚は、RPAを導入したときと似ていました。「これはモノになる」という確信がありました。
青木様: それと、Knowfaの開発チームの姿勢ですね。こちらの困りごとを伝えると、本当に真剣に向き合ってくれる。「次のバージョンで対応します」で終わりではなく、「なぜその挙動になっているか」を一緒に解明してくれる感じがありました。パートナーとして向き合ってもらえている、という信頼感が続けられた理由の一つです。
開発チームとの二人三脚——機能改善要望の実現
開発チームへの改善要望で、実際に反映されたものはありましたか?
鈴木様: 複数ありますよ。たとえば、処理結果の確認画面の操作性の改善は私どもからのフィードバックがきっかけになっています。もう一つは、帳票の種類ごとに読み取り設定を柔軟に切り替えられる仕組みですね。私どもは荷主様の数だけ帳票の様式があるので、「このタイプはこのルールで読む」という切り替えが現場レベルで簡単にできないと実運用が難しいです。それを伝えたところ、実際に機能として実装していただきました。
青木様: 「できるかどうかわからないけど、こうなったら便利なのに」という声も拾い上げてくれるんです。すぐに全部が実現するわけではないですが、優先順位を含めて誠実に返答をいただけるので、要望を出し続けるモチベーションになります。
属人化という根深い課題——「あの人しかわからない」の壁
属人化の問題は、どういう形で現れていましたか?
田中様: 化学品物流の現場では、荷主様ごとに帳票の様式も、記載ルールも、確認のポイントも微妙に違います。「この荷主さんのFAX伝票はここに品名が来るけど、あの荷主さんは備考欄に書いてある」とか、「数量の単位がtのものとkgのものが混在している」とか。そういう細かい知識が、ベテランの特定のスタッフの頭の中にしかない状態になっていました。
鈴木様: 人員が変わったとき、あるいは担当者が休んだときに影響が出ます。新しいスタッフが来るたびに「このお客さんの帳票の読み方」を一から引き継いでいく、という作業が発生する。しかも「言語化しにくいコツ」みたいなものが多くて、マニュアルに書けない部分がある。それが一番の問題でした。
青木様: 「○○さんに聞けばわかる」で業務が回っていたんです。でもその○○さんが異動になった瞬間、その部署がパニックになる。決して珍しい話ではないと思いますが、私どもの業界は荷主様との信頼が命なので、ミスが起きてからでは遅い。ずっとこの問題をどうにかしたいと思っていました。
Knowfaが解いた「人依存」—具体的な変化の実例
Knowfaが属人化解消に具体的にどう貢献しましたか?
田中様: 一番大きな変化は、帳票の「読み方のルール」がシステムに入った、ということです。以前は「この帳票はこう読む」という知識が特定の人の頭にしかなかった。Knowfaでは、その知識を読み取り設定として登録できる。一度設定してしまえば、誰が画面を見ても同じ結果が得られる。
鈴木様: ある荷主様の帳票で、入荷品の品名が表の一番左の列ではなく二段目の行に書いてある、という特殊なフォーマットがありました。それを長年、担当者が目視で確認してデータ入力していたんです。Knowfaにその読み取り位置を学習させたら、その担当者がいなくても正確に処理できるようになりました。
青木様: 単純に聞くと「ちょっとした話」に聞こえるかもしれないですが、現場では大きな変化です。担当者が毎日その帳票を処理し続けるプレッシャーから解放された、ということでもありますし、組織としてその知識を「資産化」できた、ということでもあります。
その「知識の資産化」という感覚は、どのような場面で実感しますか?
田中様: 新人スタッフが来たときです。以前は、その新人がベテランと一緒に帳票処理をしながら「この帳票はここを見る」を体で覚えていく、というOJTが必要でした。今は、Knowfaが帳票を読んだ結果を見ながら「ここがこう出力されるんですね」と確認するだけで済む。習熟にかかる時間が明らかに短くなっています。
鈴木様: 引き継ぎのコストが下がりました。「あの人しかわからない業務」というものがKnowfaの設定という形で可視化・共有化されていくので、組織として蓄積されていく感覚があります。


現在の自動化状況——1日あたり40枚(800枚/月)の帳票処理へ
現在、どの程度の規模で自動化が進んでいますか?
青木様: 現在は1日あたり40枚(800枚/月)の帳票をKnowfaで処理しています。β版の開始当初と比べると、取り扱う帳票の種類も、処理件数も大幅に増えました。入荷伝票、出荷指示書、検量票など、複数の帳票種別が自動化の対象になっています。
田中様: 40枚/日(800枚/月)というのは、一見少なく聞こえるかもしれませんが、一枚一枚に確認ポイントが多い帳票ですし、それまでは全部人が手入力していたわけです。その作業時間を積み上げると、スタッフが別の仕事に集中できる時間が毎日確実に生まれています。
自動化の対象をどのように選んでいきましたか?
鈴木様: 最初は「読み取り精度が出やすいもの」から始めました。フォーマットが比較的安定している帳票、文字が明確な帳票から試して、成功体験を積み上げていきましたね。それが現場の信頼につながりましたし、「次はこの帳票も試してほしい」という現場からの声が自然と出てくるようになりました。
青木様: 最初から全帳票を一気に自動化しようとしなかったのは、正解だったと思います。一枚ずつ丁寧に検証して、問題があれば設定を見直して、また試す。この積み重ねが今の精度と信頼を作っています。属人化解消も同じで、一気には解決できない。地道に一つひとつ解いていくしかないわけです。
「人でしかできなかった」が変わった瞬間
「これは人でしかできない」と思っていたことが、Knowfaによって変わった——そんな瞬間はありましたか?
田中様: 手書き文字が混じっている帳票です。RPA時代は「手書きの部分は自動化できない」が前提でした。スタンプで押した数字と、鉛筆で手書きされた品名が同じ帳票に混在しているものがあって、それは絶対に人が確認しないといけない、と思い込んでいたんです。
Knowfaで試してみたら、読めたんです。完全ではないにしても、自動で候補を出してきて、担当者が確認する作業量が大幅に減った。「あ、これはもう人がゼロから入力しなくていいんだ」と感じた瞬間でした。
鈴木様: 私は「AIが読み取った結果を人が確認・補完する」という流れが、今の一番現実的な自動化の形だと思っています。全部をAIに任せるのではなく、AIが7〜8割を処理して、人が残りを仕上げる。その分担が、業務の品質を保ちながら処理量を増やすための道筋です。
現場スタッフの反応—変化を受け入れてもらえたか
現場スタッフの方々は、Knowfa導入についてどのように受け止めていましたか?
田中様: 最初は「また新しいシステムが入るのか」という雰囲気がありました(笑)。特に長くその業務を担当してきたスタッフほど、「自分のやり方がある」という気持ちが強くて。急に「これからはKnowfaで」と言っても、反発まではいかないにしても戸惑いはありましたね。
鈴木様: なので、導入の仕方を意識しました。「あなたの仕事を奪うためではなく、面倒な入力作業を減らして、本当に重要な判断や確認に集中できるようにするためのツールだ」というメッセージを、丁寧に伝え続けました。RPAのときも同じ考え方でやってきましたし、その実績があったので、今回は比較的受け入れてもらいやすかった部分もあります。
田中様: 変化が起きたのは、実際に使ってみて「楽になった」と感じたスタッフが出てきてからです。「あの帳票を入力しなくてよくなった」「確認だけで済むから時間が浮いた」という体験が広がると、自然と前向きな声が増えていきました。
RPAとKnowfaの使い分け—自動化ツールの役割分担
RPAとKnowfaを両方使われているわけですが、どのように役割分担していますか?
青木様: RPAは「フォーマットが固定された繰り返し作業」の自動化、Knowfaは「多様なフォーマットや読み取りが必要な帳票処理」の自動化、というイメージです。この二つは競合するのではなく、補完し合っている関係ですね。RPAで自動化したデータをKnowfaが読んだ帳票データと突き合わせる、という使い方もできます。
鈴木様: 自動化の全体設計として、「どの工程に何のツールを使うか」を考えることが重要になってきました。ひとつのツールで全部解決しようとするのではなく、それぞれの強みを組み合わせる。これが今の私どものアプローチです。
早期採択者として感じるKnowfaの変化と成長
β版から使い続けてこられて、Knowfaというプロダクトの変化をどう感じていますか?
鈴木様: 正直、最初はまだ「開発途中」だなと感じる部分もありましたが、今のKnowfaは別物です。読み取り精度、設定のしやすさ、サポートの質——どれも着実に向上しています。私どものフィードバックが反映されているな、と感じる部分もあって、それは純粋に嬉しいですね。
青木様: β版から使い続けてきたことで、私どもの中にKnowfaの「使いこなしノウハウ」が蓄積されています。「この帳票種別はこういう設定が効く」「この精度が落ちるときはこれを確認する」という知識が社内に育っている。それも、早期から参加したことの資産だと思っています。
次に解決したい属人化の課題
属人化の解消という観点で、まだ残っている課題や、次に取り組みたいことはありますか?
田中様: まだ一部の帳票は「あの人が担当」という状態が残っています。特に、不定形な手書き書類や、電話口頭指示を受けてメモした内容の入力、といった部分はまだKnowfaだけでは難しい。それでも、年単位で見ると確実に「属人化が解消された帳票」の数は増えています。
鈴木様: もう一つは「例外処理」の属人化です。ほとんどの帳票はKnowfaが処理できるようになっても、「月に一回だけ来る、ちょっと違うフォーマットの帳票」の対応は、まだ経験者に頼っています。そういう「例外の知識」をどうシステムに取り込んでいくか、が次のテーマですね。
青木様: Knowfaに期待しているのは、そういう「少量でも多様な帳票」への対応力のさらなる向上です。私どもの業務は特殊で、大量の一種類ではなく、少量の多種類が基本ですから。そこで強みを発揮してくれると、属人化解消はさらに加速できると思っています。
AI活用を検討している企業様へのメッセージ
最後に、AI活用やKnowfaの導入を検討している企業の方々へ、メッセージをいただけますか?
鈴木様: 「完成してから使う」では遅いと思っています。テクノロジーは進化し続けますし、早く使った企業だけが早く知見を蓄えられる。β版のころから使い続けてきたことで、私どもは今、Knowfaを自社の業務に最大限活用するノウハウを持っています。それが競争力の一部になっている、という自覚があります。
田中様: 属人化の問題は、どの会社にもあると思います。「うちの業務は特殊だから自動化は難しい」と諦めている方もいるかもしれませんが、私どもも化学品物流という非常に特殊な業界ですし、帳票のフォーマットも複雑です。それでもKnowfaは対応できました。まず試してみることが大切だと思います。
青木様: 一度に全部解決しようとしなくていいと思います。一枚の帳票から始めて、成功体験を積み上げていく。そのサイクルを回し続けることが、結果として大きな変化につながります。属人化解消というのも、魔法のように一夜で解決するものではありません。地道に、一つひとつ解いていく——その積み重ねが、気がつけば組織を変えているんです。
編集後記
「まず試してみる」——丸善様のお話を通じて一貫して感じたのは、この言葉に体現された行動力と先見性でした。2020年のRPA導入から始まり、Knowfaのβ版への早期参加、そして現在に至るまでの歩みは、決して順風満帆ではありませんでした。それでも「先を見据えて挑み続ける」という姿勢が、40枚/日(800枚/月)という自動化の実績と、組織に根づいた「属人化を解消する文化」を生み出されています。
特に印象的だったのは、青木様の「属人化解消に近道はない、地道に一つひとつ解いていく」という言葉です。AIという最先端のテクノロジーを活用しながらも、その本質は愚直な積み重ねにある——丸善様の事例は、AI活用の理想的な姿を教えてくれる取り組みだと感じました。
丸善について
| 会社名 | 丸善株式会社 京葉油槽所 |
| 創業 | 1919年 |
| 所在地 | 千葉県市川市二俣新町19 |
| ホームページ | https://www.maruzeng.co.jp/ |
