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代表取締役社長
石井 伸郎 -
ソフトウェア研究所
本岡 勇一 -
パートナービジネス営業部
金子 裕輔 -
パートナービジネス営業部
多内 俊文
はじめに
手作業で延々と行う単調な業務を何とかしたい
企業間取引のWeb化により、流通業界に大きなイノベーションをもたらしたWebEDI。
WebEDIには、その運用メリットの一方、作業の効率性や正確性などの観点から、問題点を指摘する声も、当初から多数、指摘されてきました。
すなわち、WebEDIは担当者がマウスやキーボードを手作業で操作する必要があったため、効率性や正確性の観点から、日常業務の大きな負担となっていたのです。
「WebEDIの運用をより完全なものにするには、 人力に依存するWeb画面上のあらゆるブラウザ操作を自動化する アプリケーションを開発するしかない。」
この課題解決に挑戦したユーザックシステムは、パッケージソフトとして2004年に『Autoブラウザ名人』をリリース。現在(※)までに累計出荷本数1,300本以上、560社以上ものユーザー様にご導入いただき、各社様の業務改善にお役立ていただいています。
では、『Autoブラウザ名人』の開発と普及の陰には、どのような思いがあったのでしょうか。
次のページから、Web操作の自動化を“常識”にした物語をご紹介します。
※ 平成30年10月現在
第一章
キーワードは“Webブラウザ操作の自動化”
ローコストで導入できるWebEDIだったが…
WebEDIは、インターネットブラウザが使える環境さえあればローコストで導入でき、なおかつ電話やファクシミリによるアナログ的な作業を省力化する受発注システムとして大きな期待が寄せられました。
しかし、その普及と共に、ユーザーの間では以下のような問題点が浮上したのも事実です。
- ユーザーが抱える問題点
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- 人手によるブラウザ操作が必要なため、結局は人力に依存した作業に逆戻りしてしまう
- 取引先ごとに画面や操作方法が異なるため、人的なミスが発生しがちである
- 基幹システムとの連携やデータ入力を、手作業に頼らざるを得ない
- データのアップロードやWeb画面にデータを直接入力するなど、操作担当者に複雑な操作を要求してしまう
- 取引先の都合でWeb画面や取り扱うデータがたびたび変更されてしまう
つまり、WebEDIの操作がいかに手間のかかるものであるか、ユーザー側の見解をまとめると次のようになります。
- ユーザーの見解
- 「自社の注文データの有無に関わらず、毎日受注先のWebサイトにアクセスしてデータを取り込む作業は、貴重な人力と多大な時間を要する。しかも、取引先ごとにIDパスワードが用意され、また、サイトごとに操作手順が異なるため、人的なミスも起こりやすく、担当者が休むとオーダー処理に対応できないこともある」
問題解決のキーワードは“Webブラウザ操作の自動化”

こうしたWebEDIユーザーの切実な声を耳にした石井は、
「問題解決のキーワードは“Webブラウザ操作の自動化”であり、これが実現されなければ、せっかくのWebEDIの長所が生かされず、その普及が大きく阻害されてしまうと考えました。」
と当時を振り返ります。
アプリケーションの開発がスタート

石井はこうした問題の打開策について、システム開発の本岡に相談しました。すると、
「実は私もWebEDIに関しては、自動化へのニーズが必ず出てくると思いました。そのため、製品化のための具体的なソリューションを詰めていたところです(本岡)」
との回答がありました。
「それなら早速、試作モデルを作ってみよう」
という石井の即断即決により、2003年11月、Webブラウザ操作を自動化するアプリケーションソフトの開発がスタートしました。
第二章
自動化へのこだわりを作り込みの容易さで実現する
第一弾をリリース開始。だがその反応は・・
2004年2月より販売開始された『Autoブラウザ名人』は、当初は『WebEDI受信名人』という製品名でした。
その開発コンセプトは“自動化”ではあるものの、当時のWebEDIのユーザーはもちろん、IT関連会社でさえ、WebEDIにおける、一連のブラウザ操作を自動化するという発想自体がなかったようです。
「最初は販売代理店からも、“Webサイトって自動化できるのですか”という反応が返ってきたくらいですからね」と石井は当時を振り返ります。
担当者を増やせば済む話?

これに対し開発を担った本岡は、
「自動化に対しては社内の反応も鈍かったと思います。人力で対応できるものに投資するのだろうかという意見もありました。だから最初は、当社の営業も売りづらかったのだろうと思います。しかし、自動化に対する潜在的なニーズは確実にありました。しかも、WebEDIを導入する取引先が次々と増えてきたら、受注処理の担当者を一人置けば済む話でなくなることは目に見えていました」
と実用化への熱い思いを語ります。
単に自動化するだけでは使えない
機能的な面からも、まずは“自動化”への認識を高めることが先決であり、Ver.1では、「記録スタート」という機能を設けました。
これは、人によるWebEDIの通常操作の手順をプログラムが自動的に記憶・保存し、「再生」の機能により、手作業とまったく同じ動作を生成し繰り返す仕組みです。
しかしながら、受注データの内容が毎日変わるのは当然で、そのままスクリプトを再生するだけでは、日々の受注業務に対応することはできません。
そのため、受注データがない場合、あるいはデータ数が多過ぎたり少な過ぎたりする場合は、自動スクリプトに手を加え、ユーザー自ら機能を拡張する必要があります。
それが自動化を実現する「スクリプト開発支援機能」です。
新たな運用のパターンや解決策を吸収し、機能強化に取り組む
Ver.1での自動化の機能について本岡は、「今から見れば必要最低限の機能しかなかった」と振り返ります。
そこで後のバージョンでは、「ドキュメントビューワ」という機能を新たに搭載しました。
これはWebサイトの構造を解析して表示するもので、ユーザーはこれを見ながら受注処理を自動化するフォーマットを完成させていきます。
この機能により視覚効果が飛躍的に向上し、ユーザーの理解も容易になりました。
さらに、WebEDIサイトのつくり方、ブラウザとのやり取りの手法にもユーザーごとに違いがあります。
開発部門では、より多くのユーザーを想定した形で実装し、常に新しい運用のパターンや解決法を吸収しながら、『WebEDI受信名人』の有用性を高めていきました。
第三章
ユーザーメリットの訴求力を高める完成度
機能や用途の広がりとともに、製品名を改称
ユーザーニーズの反映とバージョンアップに伴い、『WebEDI受信名人』は受注データ処理の自動化だけにとどまらない機能が搭載されました。
そこで、Ver.3.2から3.3へと移行した2008年には、『Autoブラウザ名人』と改名しました。
営業担当者が語る、『Autoブラウザ名人』との出会い

進化と共にユーザーへの導入が進む『Autoブラウザ名人』ですが、営業部門ではどのような思いで販売促進に臨んでいたのでしょうか。
営業担当者の一人、金子は次のように語ります。
「『Autoブラウザ名人』は思い出深い製品です。私が新卒で当社の採用試験を受けた時、グループディスカッションで、“Webの操作を自動化するツールがあったら、あなたはどのような用途に使いますか”と質問を受けたのを今でも覚えています。その時は、“就職サイトからの情報を自動的に収集・活用するのに生かせる”といったいかにも学生らしい意見で、WebEDIでの活用など想像もできませんでした。しかし入社後の営業活動で、『Autoブラウザ名人』へのお客様からの評価の高さを知り、こんなに素晴らしい製品ならもっと多くのユーザー様を獲得できるのではないか、と改めて感じた次第です。」
他社の追従を許さない完成度を実感
製品コンセプトである“自動化”に関しては、様々な業務への対応はもとより、煩雑な作業手順やロジックの組み込みが容易な点、さらにはデータ変換やエクセル、印刷プログラムなどの外部プログラムの起動も自動化の手順に組み込めるなど、『Autoブラウザ名人』の機能と運用のケースを知れば知るほど、その魅力に惹かれていったという金子。
Webサイトの自動化をうたいながら、実際には使いものにならないソフトも多い中、『Autoブラウザ名人』の営業では、お客様の目の前で、運用の検証から提案までがスピーディにできてしまう点が最大の強みと評価します。
他の追随を許さない完成度は、まさしく“自動化”の実現に取り組んできたノウハウの証であり、それこそが『Autoブラウザ名人』に対するお客様への訴求力を高めるポイントといえるでしょう。
新たな分野へのアプローチ
また、導入にあたってはHTMLの知識やWeb構築の基本的なスキルを要するものの、そこさえクリアできれば、人力がシステムに代わることのメリットや費用対効果の大きさは明白です。
さらに、
「これまではメーカーや卸売業など、流通業でのWebEDIへの対応を中心に普及した『Autoブラウザ名人』ですが、“Webブラウザ操作の自動化”というテーマを起点に考えると、通販、金融、Webの保守会社、公共機関等での様々な業務への活用も有効なことから、今後は新たな分野へのアプローチにも力を入れていきたい。」
と金子は語ります。
第四章
無限大の可能性を持つ『Autoブラウザ名人』
システム担当者の視点

『Autoブラウザ名人』の普及とお客様の理解が進むにつれ、ブラウザ操作自動化のニーズはますます高度化かつ多様化してきました。
そのため、企画から導入、運用までのお客様のご要望を的確にキャッチし、システムへの反映や稼働後の対応をご支援する、システムサポート担当の多内の役割が、いっそう重要になってきています。
多内は、「自分が最善と考えた提案をお客様にご評価いただくのは、非常にやり甲斐がある仕事」といい、『Autoブラウザ名人』導入のメリットをお客様に最大限に実感していただくべく、これまで、さまざまなお客様に最適な提案を行ってきました。
その結果、お客様から次のようにご評価いただいたと振り返ります。
「受注業務が残業ゼロになった」
「人的工数が大幅に削減した」
「人材の有効活用によって機会損失の防止に繋がった」
「企業全体の生産性および品質の向上に貢献できた」
広がる可能性-Webブラウザ操作の自動化以外にも
また、多内が手がけたサポートでは、まったくWebが関係しない運用ケースも見受けられたとのこと。
あるお客様は、販売管理のソフトウェアに、納期や受注ナンバー、数量、単価、合計金額等を入力しておられました。そして、これらの操作を完全自動化するために『Autoブラウザ名人』をご導入いただいたということです。
多内はこの事例から、「Webに限らず、ソフトウェアへの入力作業も自動化できる点もアピールすれば、『Autoブラウザ名人』の用途はもっと広がるのでは」と指摘します。
終わりに
活用場面は無限大
以上の活用事例から、『Autoブラウザ名人』は、WebやPC操作の概念を根底から変える革命的なソフトと評価することができるでしょう。
さらにいえば、『Autoブラウザ名人』の活用のフィールドは無限大であり、今後のシステムサポートのあり方について多内は次のように語ります。
「ユーザーを限定しない汎用性の高さが『Autoブラウザ名人』の最大の強みといえますが、実際の運用に関しては、まだまだ一部の機能しかお使いでないお客様が多くいらっしゃいます。そのため、日々のサポートでは、『Autoブラウザ名人』のさらなる可能性、もっと用途を広げられるような提案に努め、お客様のコストパフォーマンスを高めていきたいですね。それがシステムサポートならではの『Autoブラウザ名人』の価値の高め方と考えます」
『Autoブラウザ名人』ファンクラブの立ち上げ

以上、『Autoブラウザ名人』の開発、営業、サポートに携わる担当者の熱い胸のうちをご紹介しました。
しかし、同製品に熱い気持ちを注ぐのは、何もユーザックシステムのスタッフだけではありません。
平成26年6月には、ユーザー企業様を中心に、“Autoブラウザ名人・ファンクラブ(※)”が結成されました。以降、『Autoブラウザ名人』のさらなる活用法をはじめ、各社の改善事例の研究・意見交換などが行われているのです。
※現在は、RPA研究会に改称
WebEDIの領域において『Autoブラウザ名人』は、いわば“企業と企業をつなぐ重要なツール”と位置付けられるでしょう。
『Autoブラウザ名人』が、お客様ご自身の効率化や改善のみならず、お取引との強固で円滑な関係づくりに役立つことを願っています。
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業務現場での潜在的な問題点やニーズを掘り起こし、『Autoブラウザ名人』の認知活動に努めていく(石井 伸郎)。
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目まぐるしく進化する技術を製品に反映し、お客様のご要望に即応できるソリューションを提供していきたい(本岡 勇一)。
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様々な条件から導入を断念したお客様にもう一度チャレンジし、自動化のメリットを実感していただきたい(金子 裕輔)。
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システムサポートの使命は“提案力”。真のニーズを引き出すために、お客様との対話を重視しています(多内 俊文)。