
RPAサポートが導入成功の鍵|サポート不足で失敗した4つの例と成功事例

RPA導入は、業務効率化だけでなく人件費削減や作業品質向上といった多くのメリットをもたらす一方、思わぬ失敗を招くケースもあります。その多くに共通している要因の一つがサポート不足です。
そこで本記事では、サポートが不足したために失敗した代表的な事例と、サポートを活用して成功を収めた事例を紹介しながら、サポート体制の重要性を解説します。
サポート体制がRPA導入成功を左右する理由
RPAの導入において、サポート体制が成否を分ける最大の要因である理由は、次の3つです。
業務の自動化は「導入して終わり」ではない
RPAツールを購入しただけでは業務は自動化されません。自社の業務フローを分析し、適切なシナリオ(自動化の設計図)を作成し、運用しながら改善を繰り返すという継続的なプロセスが必要です。このプロセスを一人で進めるのは非常に困難であり、専門家のサポートが不可欠です。
技術的な壁を乗り越えるには専門知識が必要
RPA初心者にとって、エラーの原因究明やシナリオの最適化は大きな壁となります。メーカーやベンダーの専門家によるサポートがあれば、こうした技術的な問題を迅速に解決でき、導入プロジェクトが停滞するリスクを大幅に減らせます。
内製化への道筋を作るにはノウハウ移転が必要
最終的に社内でシナリオ開発や運用管理を行う「内製化」を実現するには、外部の専門家から段階的にノウハウを学ぶ必要があります。充実したサポート体制があれば、初期は専門家に頼りながら、徐々に自社で開発できる体制を構築していくことが可能です。
RPAのサポート不足で失敗した典型例
サポート不足のままRPAの導入を進めると、現場で不明点やエラーが発生しても解決できず、結果的にRPAが稼働しないまま放置されるリスクが高まります。
以下の失敗例を参考に、サポート不足が何をもたらすのかを具体的に見ていきましょう。
【失敗例1】問い合わせ窓口がつながらず、エラー解決に1週間以上
RPA運用中にトラブルが起きたものの、問い合わせ窓口の対応が遅かったり連絡がつかなかったりしたため、エラー解消に時間を費やしてしまうケースです。特に規模の大きいプロジェクトほど業務停止の影響は深刻で、一週間以上の停止は大きな損失に直結します。
サポート窓口が整備されていれば迅速に専門家へ相談でき、短いスパンで問題を解決できる可能性が高まります。問い合わせ先・対応フローが明確になっていないと、担当者が自力で解決策を探さなければならず、負荷がかかるだけでなくプロジェクト全体の進行も滞ります。
とくに初めてRPAを導入する企業では、こうした緊急時の連絡ルートが整備されていないため、トラブルを放置した結果、社内でRPAの評判が下がってしまうこともあります。
【失敗例2】マニュアルだけでは理解できず、シナリオ開発を断念
RPAのシナリオ開発では、ツール固有の設定やシステム連携など専門的な知識が必要になる場合があります。マニュアルに書かれている通りに進めても、実際の業務フローに落とし込む段階でつまずくケースがよく見受けられます。
相談相手がいないまま自力で試行錯誤すると、作業に時間がかかるうえに正しい設定にたどり着けない可能性が高まります。その結果、導入プロジェクト自体を断念してしまうことにもなりかねません。
適切なサポートがあれば、ツール操作のポイントや設計段階の注意点をプロと直接確認でき、開発の完成度やスピードを大幅に高めることができます。
【失敗例3】自社業務に合わせたカスタマイズができず、効果が出ない
RPAは定型業務の自動化が得意ですが、業種や企業によって業務フローは異なるため、汎用シナリオでは合わないケースも多々あります。サポートが存在しない場合、こうした独自フローにどう対応すればいいのか分からず、標準機能をただ当てはめただけで終わってしまいがちです。
実際に運用すると、本来自動化するべき部分がカバーされておらず、思ったほどの生産性アップやコスト削減効果を得られないといった事態につながります。自社独自の要件に合わせたシナリオを設計するには、熟知した専門家との連携が欠かせません。
カスタマイズのポイントをサポートに相談できれば、業務特性を正確に反映させられるため、RPA導入の効果を最大化できます。
【失敗例4】導入後のフォロー不足で運用が定着せず、放置状態に
RPA導入時にある程度のサポートを受けられたとしても、その後の継続的なフォロー体制がなければ運用が定着しにくい現実があります。運用実績を上げるためには、定期的なシナリオ見直しや追加要件への対応が必要です。
しかし、担当者の異動や離職などで管理体制が曖昧になると、やがてメンテナンスが追いつかず、RPAが更新されないまま放置されるケースが出てきます。作成したシナリオが古くなれば、エラーの頻度が増え、現場の信用を失いやすいのです。
導入後のフォローが手厚いサポートであれば、こうした得意先企業の内情や運用状況を踏まえて継続支援を行ってくれます。結果として、RPA活用が定着しやすく、長期的に安定的な成果を得ることができるというわけです。
RPA導入・運用が成功するかどうかは「サポート」が鍵
以上の失敗例からも分かるように、RPA導入は技術的な課題だけでなく、人員体制や問い合わせ対応の速さなど複合的な要因で成果が左右されます。こうした要素をカバーするのが充実したサポートの存在です。
サポートが整備されていれば、トラブル発生時にも即時に連絡が取れ、開発や運用の方法を学びながら着実に定着化を図れます。逆にサポート不足だと、導入のモチベーションを維持できずにプロジェクトが頓挫する危険も高まります。
RPAを長期的に活用するためには、安心して相談できるサポート体制を整え、トラブルや変更に柔軟に対応できる仕組み作りをしておくことが不可欠です。
RPAサポートを活用して成功した事例
ここでは徹底したサポート体制を活用して、短期間で大きな成果を上げた事例を紹介します。
RPA導入で成果を上げる企業は、単にツールを取り入れるだけでなく、サポートを最大限に活用してノウハウを蓄積していることが多いです。外部の専門家と連携すれば、自社だけでは気づけない作業効率化のヒントや、ツールを活かす使い方を学べます。
さらに、サポートを活用することで困ったときの問い合わせ先が明確になり、エラー解消のタイミングを早めることが可能です。結果的にRPAの稼働率が高まり、初期投資を早めに回収できるケースも少なくありません。
【成功事例1】株式会社ジオテック様:カスタマーサクセスプランで複雑業務を2カ月で自動化
企業概要: 従業員15名の自動車部品サプライヤー(神奈川県大和市)
課題: 大手自動車メーカーの業務変更により、WebEDIシステムへの対応が急務に。月間1,000~1,200件の納期回答を手作業で入力すると月25時間(1,500分)かかり、ミスも頻発。従業員の残業時間が大幅に増加し、休日出勤も発生していた。さらに、1日150枚の納品書データを外注先7社に振り分ける作業にも毎日2時間を要していた。
【ユーザックシステムのサポート活用内容】
■即座の検証対応
以前から「名人シリーズ」の利用経験があったジオテック様は、担当者に連絡するとすぐにRPA担当者から折り返しがあり、リモートツールを使って対象業務が自動化可能かどうかを即座に検証。「メーカー直営ならではの素早い対応」が採用の決め手に。
■シナリオ開発の外注から内製化へのスムーズな移行
最初の2本のシナリオ(納期回答業務・納品書送付業務)は、2021年9月から11月の2カ月間でユーザックシステムが開発。複雑なExcelデータの処理には条件分岐を多用すると動作が不安定になるため、カスタマーサクセスプランナーと相談してExcelデータ自体を加工する方法を提案され、安定稼働を実現。
■カスタマーサクセスプランによる伴走支援
・業務の棚卸を実施し、どの業務を自動化すると最も効果があるかを可視化
・エラー発生時には即座に折り返し電話があり、リモートで対応
・担当者不在時もログを見てすぐに問題解決
・常に同じ担当者がサポートするため、質問のたびに業務説明をする必要がなく効率的
■内製化の実現
3本目のシナリオ(入庫登録業務)は社内で開発。プログラミング未経験の担当者でも、カスタマーサクセスプランのサポートを受けながら開発に成功。
■成果
・月100時間、年間1,200時間の削減
・ミスがなくなり、従業員に精神的余裕
・休日出勤がゼロに
・わずか2カ月で複雑な業務の自動化に成功
■担当者様のコメント
営業部業務グループ 杉山一也様:
「対象業務はそれほど単純ではなく、シナリオ開発前は『本当に自動化できるのだろうか』と半信半疑でした。実際に業務が自動化されている様子を見たときは感動しましたね。カスタマーサクセスプランの満足度は100点です。担当の方がこちらの意向を正確に汲み取って理解し、困ったときは親身になって相談に乗ってくれます」
代表取締役 五十嵐康雄様:
「RPAは当社の強みをバックアップしてくれる強力な武器です。ユーザックシステム社の手厚いフォローがあれば、私たちが想像できないような画期的なことが実現できると期待しています。」
【成功事例2】株式会社マツヤ様:標準化スクリプトとサポート活用で1カ月に106本のシナリオ開発
企業概要: ホテルやレストラン向けヨーロッパ食品卸(大阪本社、全国7拠点)
課題: 朝が早く、リードタイムが短い食品卸売業界では、取引先1万店舗からの受注処理の効率化が急務。定時7時に対し、社員は6時~6時半に出社し、受注書出力の単純作業に30分を費やしていた。取引先ごとに異なる仕様のWebEDI(IPORTER、BtoBプラットフォームなど)に対応する必要があり、手作業では限界があった。
【ユーザックシステムのサポート活用内容】
■標準化スクリプトの活用
WebEDI自動化に特化した「標準化スクリプト」(名人マーケットで提供される開発済みシナリオ)を利用。ホテル名、ID、パスワードなどの項目を入力するだけで、各WebEDIに適したシナリオを簡単に開発できる仕組み。
■12月繁忙期に間に合わせるための集中開発
2021年9月に開発をスタートし、わずか1カ月で106本のシナリオ開発に成功(IPORTER: 89本、BtoBプラットフォーム: 17本)。通常は月1~3本のペースのため、通常の30~100倍のスピード。9月後半には「全国展開しよう」と判断できるレベルに到達。
■カスタマーサクセスプランによる伴走支援
・パソコン画面を一緒に見ながらのリモート開発支援(1回2時間×3回のオンラインサロン)
・オンラインサロン終了後も、Web会議、電話、メールで継続サポート
・固定の担当者が対応するため、問い合わせのたびに一から説明する必要がなく、質問すればすぐに回答
・開発時だけでなく運用時も相談対応
■全国展開のスピード実現
10月に最も顧客数の多い大阪で稼働開始。11月には東京、名古屋、京都、神戸、福岡の全5拠点に導入し、12月の繁忙期に間に合わせることに成功。
■成果
・月273時間、年間3,276時間の削減(時給2,000円換算で年間600万円以上の労務コスト削減)
・ミスがなくなった
・業務改善に対する社員の意識が変化
・1日約400回の自動処理を実現
■担当者様のコメント
システム管理部 次長 小嶋康之様:
「カスタマーサクセスプランを契約していなければ、短期間でこれほど大量にスクリプト開発を行うのは難しかったと思います。当社の事情を把握している固定の担当者が対応してくれるため、質問をすればすぐに回答していただける点は助かりますね」
管理本部 常務取締役 大谷浩平様:
「費用対効果はもちろん重要ですが、『ミスがなくなった』『業務改善に対する社員の意識が変わった』などの定性的な効果も実感しています。こうした目に見えない効果を積み重ねていくことも大切だと考えています。」
RPAサポートで重視すべき7つのポイント
RPA導入のサポートを選ぶ際、以下の7つの観点を念頭に置いて比較検討することが大切です。
レスポンススピード
問い合わせから回答までの時間が短いか。緊急時に即座に対応してくれるのか、電話サポートがあるかを確認しましょう。
専任担当者の有無
毎回担当者が変わると、そのたびに業務内容を一から説明しなければなりません。固定の担当者が継続的にサポートしてくれる体制があるかを確認しましょう。
リモート対応の可否
画面共有をしながらリアルタイムで問題解決できるリモートサポートがあると、トラブル解決のスピードが格段に上がります。
業務分析・シナリオ設計支援
自社の業務フローを分析し、どの業務を自動化すべきかを提案してくれるのか、また、シナリオ設計のアドバイスをもらえるかを確認しましょう。
内製化支援プログラム
最終的に社内でシナリオ開発ができるよう、段階的にノウハウを移転してくれるプログラムがあるかを確認しましょう。
開発代行サービス
初期段階や複雑な業務については、ベンダー側でシナリオを開発してくれるサービスがあると、自動化プロジェクトがスムーズに進みやすくなります。
導入後の継続サポート
導入して終わりではなく、運用フェーズでも継続的にサポートしてくれる体制があるかを確認しましょう。
RPAのサポートに関するFAQ(よくある質問)
RPA導入におけるサポートに関して、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
Q1. RPAのサポートは本当に必要ですか?自社だけで運用できないのでしょうか?
プログラミング経験が豊富な社員がいる企業であれば、自社だけで運用できる可能性もあります。しかし、人手不足の中小企業にとっては、RPA初心者が一人で問題を解決するのは非常に困難と思われます。導入初期は専門家のサポートを受けることで、スムーズに自動化を進められます。株式会社ジオテック様のように、サポートを活用しながら段階的に内製化を進めるのが現実的なアプローチです。
Q2. サポートがあるRPAとないRPAでは、どれくらいコストが違いますか?
一見すると、サポート付きのRPAツールは費用が割高に感じられるかもしれません。しかし、万が一のトラブル発生時に自力で解決するための時間や開発リソースを考慮すると、サポートなしの場合の方が総合的なコストが上回ることも多いです。
RPA導入の初期投資だけでなく、運用管理にかかる費用を長期的に試算すると、トラブル対応の工数やシナリオ修正の手間を最小限に抑えられるサポート体制がある方が結果的にコストパフォーマンスが高くなるケースがよくあります。
ツールの導入費用だけを比較するのではなく、トータルの運用費やリスクヘッジ効果も含めて検討することが重要です。
Autoジョブ名人では、導入から活用・運用まで伴走支援を無償で提供しています。伴走支援「カスタマーサクセスプラン」についてはこちらをご覧ください。
Q3. サポートの対応スピードはどれくらいが理想ですか?
緊急時には即日対応が理想です。少なくとも24時間以内に初回回答があることが望ましいでしょう。株式会社ジオテック様の事例では、エラー発生時に即座に折り返し電話があり、リモートで対応してもらえたことが高く評価されています。
Q4. 内製化を目指す場合、どのようなサポートが必要ですか?
段階的にノウハウを移転してくれる「カスタマーサクセスプラン」のようなプログラムが有効です。最初は開発を外注し、その後オンラインサロンやリモート開発支援を通じて徐々に自社で開発できるようになるステップを踏むことが重要です。株式会社ジオテック様は、最初の2本は外注、3本目から内製化という流れで成功しています。
Q5. 中小企業でもRPAのサポートを十分に活用できますか?
はい、活用できます。むしろ中小企業こそサポートが重要です。従業員15名の株式会社ジオテック様も、複雑な業務をわずか2カ月で自動化し、年間1,200時間の削減に成功しています。中小企業は人的リソースが限られているため、専門家のサポートを受けることで効率的に導入を進められます。
Q6. サポートを受ける際、どのような情報を事前に準備すればよいですか?
自動化したい業務の内容、現在の作業時間、使用しているシステムやツール、業務フロー図などを準備しておくとスムーズです。また、カスタマーサクセスプランでは「業務の棚卸」を実施しています。誰がどの業務にどれくらい時間を使っているかを可視化できます。
まとめ:RPAサポートが導入成功の決定的な鍵
RPAは基盤となるサポートが充実してこそ、スムーズな導入と運用の両立を実現できます。サポート不足による失敗事例を見ても分かるように、導入後に現場レベルで発生する問題をスピーディーに解決可能かどうかが成功の分かれ道になります。
一方、サポートを活用した成功事例では、短期間で大規模なシナリオ開発を実現できたり、高度な業務フローを円滑に自動化できたりと、効果は多岐にわたります。内製化支援などを通して社内の知識を蓄えることで、長期的に運用コストを削減していくことも十分可能です。
Autoジョブ名人は、RPAベンダーならではの充実したサポート体制を提供しています。カスタマーサクセスプランでは、無償で専任のプランナーがお客様の業務分析から運用定着まで伴走支援し、内製化に向けたノウハウ移転も行います。
RPA導入を検討している方や、すでに導入しているものの思うように成果が出ていない方は、ぜひサポート体制の見直しや充実化を検討してみてください。それが、最終的な効率化と投資対効果の向上につながります。






