RPA運用で野良ロボットを生み出さないためのポイントを詳しく解説

RPAを導入して定型作業を自動化し、業務を効率化する企業が増えています。RPAは、ローコード・ノーコードで自動化シナリオ開発ができるので、情報システム部門の手を借りなくとも、業務部門で必要なロボットを作成して業務効率化を進められます。
しかし、それは同時に、野良ロボット(以下、野良ロボ)発生の原因ともなりえます。野良ロボとは何か、なぜ発生するのか、発生するとどうなるのか、そして野良ロボを生み出さない運用とはどんなものかについて考えます。

 

野良ロボットとは

野良ロボットとは、RPAロボットが適切に管理されないまま現場に放置され、業務やセキュリティに悪影響を及ぼすロボットのことです。
野良ロボットは、管理者が不明なロボットだけでなく、台帳未登録、無断改修、実行環境が分からない、停止方法が定義されていないロボットも含まれます。
RPA導入初期は効果を発揮していても、運用ルールが整備されないままロボットの数が増えると、現場では「誰が管理しているのか分からないロボット(いわゆる野良ロボット)」が増えがちです。担当者や使用、稼働条件が把握できないため、障害が起きても原因の切り分けに時間がかかり、結果としてトラブル対応が遅れたり、意図しない処理が実行されたりするリスクが高まります。

野良ロボットが発生する3つの理由

RPAは現場主導で導入しやすい反面、運用設計が弱いと野良ロボットが生まれやすくなります。ここでは、野良ロボット発生の原因となる主な3つの理由を解説します。

 RPAロボットを作成したスタッフがいなくなった

担当者の異動や退職などで、RPAロボットを作成したスタッフが現場を離れることはよくあります。また、RPAロボットの開発を外注していた場合も、作成者が社外の人間であるため、その後のRPAロボットを管理ができないままになることがあります。
作成者がいないうえ、誰にもRPAロボットに関する情報の引き継ぎがされず、RPAやロボットについて詳しいスタッフもいないという場合は要注意です。
作成されたRPAロボットは業務プロセスの変化、他システムや制度の更新に合わせて修正されることなく、野良ロボとなってしまうのです。

業務システムの変更でロボットが陳腐化した

業務フローの変更や業務システムの画面改修によって、RPAロボットが現行の運用に合わなくなる場合があります。想定していた入力項目や画面構成が変わると、ロボットは誤動作や処理失敗を起こしやすくなるためです。
特に、Web-EDIや周辺システムは、取引先都合の改修やUI変更が起こりやすく、次のような陳腐化の引き金になります。

  • ログイン手順や認証方式が変わった
  • 画面のボタン配置・項目名・必須項目が変更された
  • ダウンロードファイルの形式やファイル名、保存先が変更された
  • 処理のタイミング(締め時間やデータ反映時間)が変わった

ここで問題となるのは、業務側では使われなくなっているにもかかわらず、ロボット自体は停止されないまま残り続ける点です。
不要になったRPAロボットは、誤処理や無駄なシステム負荷の温床となるため、適切に停止処理を行う必要があります。しかし、作成者や管理者が不在だったり、引継ぎが不十分だったりすると、更新や停止処理ができません。現状に合わないRPAロボットが稼働したまま残ると、結果として野良ロボ化してしまいます。
全社規模でRPAを導入すると、現場で作成されるRPAロボットの数も増えることになるでしょう。情報システム部門やRPA管理部門の目が届きにくくなると、野良ロボが発生するリスクも高くなります。
そのため、定期的な棚卸しと、廃止判断を行う仕組みがなければ、陳腐化したロボットは野良化しやすくなります。

なんらかの理由で使われなくなったRPAロボットが残っている

野良ロボットは、「作成者がいない」「システム変更で陳腐化した」といったケースだけでなく、業務側の事情でロボットが使われなくなったのに、停止・廃止されないまま残ってしまうことでも発生します。

例えば、

  • 業務のやり方が変わって手作業に戻った
  • 担当者が変わって使われなくなった
  • 別のシステムや機能で代替できるようになった
  • 導入当初に想定していた効果が出ず運用が定着しなかった

といった理由で、現場ではロボットの利用が自然消滅することがあります。現場にとっては「もう使っていない」状態でも、ロボット自体はスケジュール実行や常駐設定のまま動き続けるケースは見落とされがちです。
使われなくなったロボットが残置されると、不要なアクセスやファイル生成による無駄なシステム負荷が発生するだけでなく、想定外のタイミングで処理が走ることで誤処理やデータ不整合の原因にもなります。さらに、いざ問題が起きても「誰が止めるのか」「どこを直すのか」が分からず対応が遅れ、結果として野良ロボット化を招きます。

そのため、全社でRPAの数が増えるほど、稼働中ロボットの棚卸し(使われているか/業務に合っているか)と、停止・廃止を判断する仕組みを定期的に回すことが重要です。こうした管理が追いつかないと、野良ロボットが増え、業務品質の低下やトラブル対応の遅れ、セキュリティ・内部統制上のリスクなど、さまざまな悪影響につながります。

野良ロボットが発生すると起こりうる悪影響

野良ロボットが発生すると、単に管理上の問題だけでなく、業務や企業全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。ここでは考えられる2つの悪影響を解説します。

セキュリティリスクが高まる

野良ロボットは、誤った権限設定や共有IDの乱立、ログイン情報の平文保管などの問題を抱えている場合があります。
管理者の統制が及ばない部分でロボットが動作し続けると、誰がどの情報にアクセスしているのかを把握できなくなりがちです。この状態では、情報漏えいリスクにつながるだけでなく、内部統制や監査の観点でも問題が起こります。
特に、RPAは業務システムに直接アクセスする性質上、野良ロボットの存在がセキュリティ上の重大な弱点になり得ます。

業務が停滞する可能性がある

野良ロボットが不要な処理を実行すると、業務システムに無駄な負荷をかけることがあります。結果として、誤動作によるファイル上書きや、他のRPAロボットの処理妨害が発生するケースも考えられます。
なかでも特に注意すべきは、1体の野良ロボットが他のロボットと連鎖的に影響を及ぼす可能性がある点です。原因の特定に時間がかかると、長期的な業務の停滞につながるおそれがあります。

野良ロボットを生み出さないための3つのポイント

それでは、野良ロボが発生しないようにするにはどうしたら良いのでしょうか。
RPAの良さは、現場で必要なRPAロボットを自由に作成できるところです。この点を尊重しつつ運用のルールを制定し、RPA管理担当スタッフを情報システム部門に置くことで、野良ロボを大きく減らすことができます。

トップダウンで運用ルールを定め、全社で統一する

野良ロボの発生を防ぐには、RPAロボットの運用に関するルールを制定すると良いでしょう。ルールはRPAを導入する部門全体に一律に適用されなければならず、経営陣のトップダウンによる指示が効果的です。
ただし、トップダウンだけでは定着しにくいため、情シスやRPA推進担当者が中心となって、現場が守れる形に落とし込み、運用できる仕組みまで整備しましょう。

運用ルールには次のような内容が求められます。

  • ロボット登録のルール(台帳、命名規則、保管場所、担当者)
  • 実行環境や実行時間帯の取り決め(負荷、競合、優先度など)
  • 権限・アカウント管理(共有可否、パスワード更新、退職や移動時)
  • 変更管理(改修申請、レビューやテスト、リリース手順)
  • 監視、通知、ログ保管(失敗時の連絡、一次対応、復旧手順)
  • 廃止基準と棚卸(不要ロボットの停止や削除の判断)

運用管理チームの結成

野良ロボの発生防止と早期発見のためには、運用管理チームの設置が有効です。情報システム部門やRPA推進担当から複数を選出し、運用管理チームとすると良いでしょう。
運用管理チームの役割としては、下記のようなものが考えられます。

・登録されたRPAロボットの情報管理

制定された運用ルールにしたがってRPAロボットの情報を管理し、野良ロボの発生を防ぎます。

・RPAロボット作成時の支援

現場の依頼に応じて技術的なアドバイスを行います。作成されたRPAロボットの誤作動や他システムへの悪影響を防ぐことが可能です。必要に応じて、開発やテスト、リリースのチェックポイントも提示します。

・稼働状況の監視と定期点検

ログや実行結果を確認し、失敗や異常終了が検知できる状態にします。すべてを毎回手作業で確認するのではなく、重要度の高いロボットを優先しつつ、定期的な棚卸で「現場で使われていないのに稼働しているロボット」や「担当者不明のロボット」を洗い出します。

異常な動作をしているRPAロボットを発見することで、野良ロボの発生を早期に発見し、大きなトラブルになる前に修正することができます。

管理機能が豊富なRPAツールを選ぶ

これからRPAツールを導入する場合は、管理機能が強化されたものを選びましょう。野良ロボの発生を防ぎ、早期に発見する機能があり、運用や管理が楽になります。

たとえば、Autoジョブ名人のクラウド統合管理「Pixis Cloud」を活用すれば、ロボットの稼働状況や実行結果を一元的に把握しやすくなり、担当者不明のロボットや異常停止の見落としを防げます。権限管理や運用ルールの徹底とも相性がよく、野良ロボットの発生防止・早期発見を支援します。

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野良ロボットの発生を防ぐための運用4点

野良ロボットを防ぐためには、個別対策ではなく、日常運用として回せる仕組みを整えることが重要です。ここでは実務で取り入れやすく、効果が出やすい4つの運用について紹介します。

台帳登録の標準化をはかる

まずはすべてのRPAロボットを対象に、台帳登録を必須とする運用を徹底しましょう。台帳には、業務目的、入出力データ、実行環境、スケジュール、依存先システム、所有者、連絡先、停止手順、改修履歴、重要度などを登録します。
あわせて、ソースコードや設定ファイル、操作手順書の保管場所も標準化すると、引き継ぎやトラブル対応が容易になります。台帳は作って終わりではなく、更新を前提に運用することが重要です。

変更管理のフローを回しやすくする

作成済みロボットの変更管理は、複雑にしすぎると現場で守るのが難しくなり、運用が形骸化しやすくなります。誰が承認し、どこでテストし、どの環境に反映するのかといった最低限のフローを定め、簡潔に回せる設計にすることがポイントです。
変更管理は、あくまでも無断改修を防ぐことが目的であり、本来の業務に影響しにくくするための配慮も必要です。運用負担を抑えた変更管理フローを整えることで、結果として野良ロボットの発生を防ぎやすくなります。

ログ監視で「止まらない運用」を実現する

RPA運用では、ログ監視を前提とした設計が欠かせません。失敗時のエラー通知や実行結果ログの取得だけでなく、通常時の挙動を把握できる仕組みを整えることが重要です。
たとえば、処理件数の増減や実行時間の変化は、業務内容やシステム状態の異常を速やかに検知するサインとして活用できます。ログ監視で得られる指標を監視対象に含めることで、表面化していないトラブルを早期に察知しやすくなります。
通知方法や対応フローの明確化により、RPAが止まらない運用を実現しやすくなり、業務停止リスクを大幅に低減することが可能です。

定期的な棚卸しと不要なロボットの削除

野良ロボット対策においては、不要になったRPAロボットを確実に削除することも重要です。
確実に対処するためにも、一定期間実行されていないロボット、業務そのものが廃止されたロボット、依存先システムが変更されたロボットなど、停止対象となる条件をあらかじめ明確に定めておきましょう。
ルールに基づいて棚卸しを定期的に実施すると、現場で使われずに残り続けているロボットを可視化できます。「いつか使うかもしれないので、念のため残している」状態を防ぎ、管理対象を適切な数に維持できます。

野良ロボットの発生を防いで健全な運用を実現しよう

RPAは正しく運用すれば、業務効率化と品質向上を同時に実現できる強力な手段です。一方で、運用ルールや管理体制が整っていない場合、野良ロボット問題が発生し、セキュリティや業務継続に悪影響を及ぼす可能性が高まります。
RPAの運用において重要なのは、導入段階から「作って終わり」にせず、管理・変更・監視・廃止までを含めた運用設計を行うことです。本当に業務効率化に役立つRPAにするためにも、明確な運用ルールを作成し、事前に管理体制をしっかり構築しておきましょう。

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