未来工業 株式会社 様
話題の超優良企業のFAX受注を“お助け”する、
WAN対応型FAX受注支援システム
導入前の課題
年間140日もの休日、地域で最高水準の給与、勤務時間は16:45までで残業は禁止。壁に埋め込むスイッチボックスでシェア8割を占め、経常利益率10%以上の超優良企業が未来工業だ。 最近ではテレビのビジネス番組にも取り上げられ、就職情報誌の転職人気企業ランキングでは、NTTドコモやアップルジャパンを凌ぐ、第15位にランキングされるなど、話題の企業でもある。 そんな同社がFAX受注のソリューションに選んだシステムが、ユーザックシステムが提供する「FAXお助け名人」だ。未来工業の体制やポリシーにもマッチし、その名のとおり、さまざまなシーンを「お助け」している。

未来工業のニーズや体制にマッチした「FAXお助け名人」
未来工業は、岐阜県安八郡輪之内町に本社を置く、電気・給排水・ガス設備資材メーカー。型破りともいえる超ユニークな経営手法は、国内外の企業からの熱い視線を浴び、視察が引きも切らない。
受注ルートは、電話・FAX・Web。うち、FAXは半分以上を占める重要なルートだ。取扱製品アイテム数は2万5千。受注件数は日に1万8千件、伝票枚数では7千枚で、うち3~4千枚がFAXで寄せられる。膨大な量だ。
同社には、全国からの注文を一括して受ける受注センターはなく、29の営業所に、最寄りの客先から直接注文が入る。午後3時までの受注分は当日出荷が原則。4時までに入力処理を終えなければ、出荷に支障をきたす。
「営業所により、繁閑の差があり、受注処理しきれない営業所では、受注FAX紙を、他の営業所に再びFAXで送りなおして入力を助けてもらうことは日常茶飯事でした。また、注文電話対応に追われ、それさえできない営業所もあったほどです。」と振り返るのは、業務課の大橋課長。
「増え続ける受注に現有の体制で対応するには、受注FAXをデータ化し、入力業務の効率化を図るしかないと判断し、FAXサーバー形式の受注支援システムの検討を進めました。」
同社のニーズに応えたシステムが、ユーザックシステムが提供する「FAXお助け名人」だった。マルチディスプレイを使用した効率的な入力環境に加え、1ヶ所の受注センターでの使用を想定した他社のシステムと異なり、WAN対応により、多拠点での分散処理ができる点が運用形態に合致していた。
2008年、本社と東京営業所にマルチメディアボックスVS-412MBと通信サーバーが設置され、VPNで結ばれた4営業所・20クライアントでの運用がスタートした。


導入システムの内容

未来工業仕様にカスタマイズ
FAXで送られてくる注文データは、営業所ごとに自動的に振り分けられる。伝票の体裁は、未来工業の専用伝票や相手先の伝票、果ては手書きメモ程度のものまで種種雑多。専用フォームが必要なOCRではとても対応できない。画面に表示されたそれらのFAX画像を見ながら、もう一つのディスプレイ上に表示された、オフコンエミュレータ画面に入力をしていく。
ナンバー・ディスプレイにより、発信元のFAX番号と顧客コードが紐付けにされているので、効率よくスムーズに入力作業が進む。また、注文請書や納期回答も、折り返しFAXで送れるのでお客様も安心だ。
同社では、採用したパッケージシステム名をそのまま使用し、社内では「お助け」の呼称で通っている。しかし、パッケージとは一味も二味も違ったカスタマイズが行われている。
さまざまな向きで送られてくる伝票を、画像の回転と最適サイズ表示が1クリックで行えるようにし、操作性の向上を図っている。
また、特記事項のスペースが追加されたのも同社のアイデアだ。例えば、得意先ごとの納期や金額設定などに関わる情報が記され、顧客情報として共有されている。これにより、初めてのスタッフでも正確に処理ができる。営業所間で受注処理を融通し合う同社ならではのニーズが反映されている。


「さらにもう一つ。」と、システムの導入・運用を担当する情報システム部の橋本係長。
「万一のシステム障害の際を想定し、受信FAXをPBXからシステムを経由せずに予備のFAX機に直接流れる迂回路をつくり、手元にあるビジネスホンのボタンで簡単に切り替えできるようにしました。その機能を使い、導入当初は、従来のFAX機と新システムとを時間帯により切り替え、徐々に慣らしていきました。冗長化目的の仕組みを、慣熟運用のためにも活用しました。」
これらはパッケージシステムの機能にはなく、すべて未来工業側のアイデアで、回線切替にいたっては、同社自身によるつくりこみだ。
未来工業には、1件につき500円が会社から支給される提案制度があり、年間9千件にもおよぶ提案の中にも、当システムに対する提案が数多く含まれる。またグループウェア内には、「FAXお助けコーナー」の掲示板が設置され、『こんな時にはどうする』的なことも紹介されているなど、関心は非常に高い。
導入後の効果
営業所間で助け合って、産休取得を「お助け」
4営業所・20クライアントからスタートしたシステムも、現在では13営業所・40クライアントにまで広がった。
「あれほど紙に固執していた女性スタッフたちも、今では『お助け』がないと時間通りに業務を終えることはできない、もう紙には戻れないとまで言ってくれています。それに、」と、大橋課長は続ける。
「産休を取りやすくなったのです。当社は、パートや非正規社員を一切雇いません。そのため、これまでは欠員を埋めるために、近隣の営業所から毎日スタッフが出向くか、営業マンが時間を割いて対応するしかありませんでした。超多忙な東京や名古屋営業所では、営業所間の『お助け』ネットワークのおかげで、産休を順番に取れるようになり喜んでいます。」
また、業務精度向上の効果も見逃せないと、大橋課長は言う。
「内部統制面から測定した結果、『お助け』導入の営業所とそうでない営業所とでは、ミスの発生率が明らかに違うことがわかりました。自動化により、顧客コードの取り違えがなくなったことが大きい。このデータも添え、各営業所への導入を働きかけていきたい。」


今後について

大震災にも対応、ハウジング化や在宅も視野に
このたびの東北大震災にも効果を発揮した。橋本係長は、
「1ヶ月間業務が止まった水戸営業所に代わり、周辺の営業所が受注業務を分担してサポートしました。また、計画停電エリアにある埼玉や千葉などの営業所に寄せられた発注も、ネットワークで分散対応できました。
受注センターは当社にはありませんが、全国の営業所をネットワークする『お助け』も、一種の仮想化した受注センターといえます。センター内の隣の席が営業所のようなものです。
仮に受注センターを構築した場合でも、『お助け』を使っていれば、顧客情報の共有や対応面での標準化が事前にできているので、移行もスムーズに進むでしょう。
今後は、大規模災害に備えたハウジング化や、将来的には、ネットワークを生かし、ピークタイムに在宅での受注入力も可能になるのでは。」と、橋本係長。
そうなれば、産休のワークスタイル自体が変わる日がくるかもしれない。
(記載の情報は取材時のものです)。
システム概念図
