EDIシステムの再構築 イトーヨーカドーとの流通BMSに対応
消費者本位の化粧品メーカー

1968年、日本を代表する消費者団体、全国地域婦人団体連絡協議会との提携によって、ちふれ化粧品さまの製品は誕生しました。以来、「すべての女性に優れた品質の化粧品を手頃な価格で提供したい」との同社の願いは変わりません。
同社は成分名や分量を表示したり、詰替タイプを発売するなど、いち早く、安全性への配慮や環境への取り組みを実践。また、1992年には通商産業大臣(現:経済産業大臣)から、中小企業としては初めて、消費者志向優良企業として表彰されています。そして同社は、今も一貫して流通経路の単純化、過剰包装の廃絶、大量生産などによるコストダウンに取り組み、より優れた品質の商品を、適正価格で提供し続けています。
同社にご採用いただいたのは、流通BMS対応オンラインシステム「EOS名人.NET」。導入の背景や効果についてうかがいました。
「EOS」のあるべき姿を検討するチャンス
―――ご検討のきっかけを教えてください
イトーヨーカドーさんから流通BMS対応のお話があったことがきっかけです。当社としましては、これが初めての流通BMSへの対応ということになりました。
当社は約170社のお得意先とEOSやWebEDIを実施しています。このうち、VAN会社経由のEOS先は、イトーヨーカドーさんを含め、約20社です。VAN会社への支払いはデータ量に応じた従量制ですので、近年は特に、この通信費の増大にメスを入れたいと考えてきました。
また、イオンさんなどからも流通BMSのお話しがありましたので、流通業界全体がJCA手順から流通BMSへ切り替わっていくのは明らかだと感じました。
従いまして、通信コストの見直しを含め、ちふれ化粧品として流通BMS、ひいてはEOSにどのように取り組むべきか、先々を見越して検討するチャンスでもあると考えました。

リプレイスの際の壁をできるだけ小さくしようとの方針を立てました」
奥田副部長

―――どのように検討を進められたのですか
当社は以前、EOSを基幹システム上で開発・運用してきました。お取引先からのご要望に応じて新規EOS先の追加や修正をすすめたところ、基幹システムで処理する業務が増え、かつ複雑化してきました。
システムが大きく、複雑になると、将来、基幹システムをリプレイスする際の壁になります。そこで当社は、基幹システムをできるだけシンプルにし、リプレイスの際の壁をできるだけ小さくしようとの方針を立てました。
これを踏まえ、EOSは基幹側での開発ではなく、VAN会社経由への切り替えを積極的にすすめました。その結果、前述のとおり約20社分を切り替えましたが、今度は通信費の増大に悩まされることになりました。
そのため、新規のEOS対応は、やむなく基幹側での開発・運用に戻しましたが、シンプルな基幹システムにしたいという考えは持ち続けていました。
基幹システムに開発・運用負荷がほとんどかからない点がポイントのひとつ

―――EOS名人をご採用いただきました
流通BMSへの対応については、大きくは2つの方法を検討しました。
1つめはVAN会社のデータ集配信ASPサービスを利用する方法です。VAN会社が送受信処理と項目補完をおこなったのち、基幹システムにつなげるというものです。
項目補完とは、小売側に出荷メッセージを送信するにあたり、基幹システムの出荷データには不足する項目があるため、先に受信した発注データから項目を補完して送信する処理のことです。
VAN会社を利用する方法は、取引先が増えれば増えるほど費用が発生しますので、早々に見送りました。
2つめはパッケージソフトを導入する方法です。
これについては、ユーザックさんを含め、複数社のシステムを比較検討しました。
その結果、ユーザックさんのシステムは、既に流通BMSに対応した事例がいくつもあったことや、パッケージ側にデータベースを保持しているため、前述の項目補完が容易である点を評価しました。
また、新たにシステムを作り込む必要がなく、パッケージの機能だけでBMSへの対応ができ、基幹システム側には開発・運用負担がほとんどかからない点もポイントでした。
さらに、流通BMS関連の情報が豊富な点や、EOSに関連する業務、例えば物流周りでも業務知識が豊富だと感じましたので、先々への期待感もあって採用しました。
―――ご導入はいかがでしたか?
打合せから3ヶ月ほどで、特に問題もなくスムーズに立ち上がりました。データマッピング(※)は、プログラミングの経験がなくても設定できそうですね。JCAでは新規のオンライン対応に1か月半はかかりましたが、今後は、慣れれば2週間程度で対応できるようになるのではと期待しています。
このあとは、ユタカファーマシーさんとマツキヨさん、それにイオンさんの流通BMSに対応しなければ。のんびりしてはいられません (笑)。
VAN会社への支払いが2/3に

全国地域婦人団体連絡協議会の略称、地婦連(ちふれん)が社名の由来。
―――どのような変化がありましたか?
VAN会社経由の受発注から自社システムに切り替えたため、通信費が大幅に削減できました。おおよそ2/3になったと思います。これだけで、今回の投資は十分1年で回収できると思います。
また、電話回線からインターネットに切り替わったことで、通信時間も短縮できました。今までは30~40分ほどかかっていましたが、5~6分で済むようになったのです。
通信時間の短縮、イコールそれだけ早く次の工程(ピッキング作業)にデータを渡せるということです。これについては、今後、流通BMSの取引先が増えてくれば、さらに効果を実感できるのではないかと考えています。
さらに、ヨーカドーさんの場合は、流通BMSに対応したことによって伝票レスになりました。
伝票レスは、他のお客様で実現していますので業務の流れは変わりませんが、伝票購入費用の削減効果は大きいです。年間で20~30万円は削減できるのではないでしょうか。
―――今後について
将来的には、JCA手順のEOSやVAN会社経由のEOSも、EOS名人に一本化できればと考えています。災害対策や復旧方法の検討も必要ですね。また、ユーザックさんには物流業務へのアドバイスなども期待しています。
―――JCAから流通BMSへの切り替えが進むなか、将来を見越した全体最適でのご判断が重要となりますね。ありがとうございました。
2012年1月取材(記載内容は取材時の情報です)
システム概念図
