
小売業対応の物流システムを
低コストで実現した中小企業向けWMS「物流在庫名人」
*日本工業出版発行の「月刊流通ネットワーキング」・199(2005・9)に掲載された内容に加筆したものです。
| 著者 |
ユーザックシステム株式会社マーケティング本部 取締役部長 小ノ島 尚博 |
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当社はこれまで指定伝票発行システム「伝発名人」、オンライン受発注システム「EOS名人」、バーコード検品システム「検品支援名人」など、物流センターにおける作業を支援するシステムをパッケージ化してきました。基幹システム(ERP)や倉庫管理システム(WMS)と連携し、取引先ごとに個別対応が必要な柔軟性が要求される業務を、ひとつのアプリケーションで実現するというコンセプトに基づいた製品化です。
最近は受注業務も物流センターや3PLで請け負う場合が増えており、物流現場の負担が増加する傾向が見受けられます。JCA手順で自動化が可能なEOSであればまだ良いのですが、FAXによる受注が多い企業もまだ多く存在するのが現状です。
また、通信コストや取引先のシステム構築費用の負担軽減を理由に、受発注システムをWeb化する傾向が顕著になってきたと感じます。ところがWebによる受発注は結局人手に頼らざるを得ず、操作ミスやモレが発生するなど予想以上にランニングコストがかさむ結果となっているところが多いのではないでしょうか。
このように物流センターの業務改善に取り組もうとすると、在庫管理以外に手を入れるべき業務がいかに多いかがお分かりになるのではないでしょうか。
このような物流センターの課題を解決しながら、名人シリーズをご導入いただいたお客様は1000社を超え、その多くが消費財を取り扱っている卸売業やメーカーで、大手量販店、ホームセンター、百貨店、ドラッグチェーンなど小売業と直接または間接的に取引されています。
皆様もご存知のように、小売業の競争は海外からの進出も影響して年々激化しています。そのため徹底的なコストダウンを図り、取引先にも合理化の提案や厳しい要求を行い、サプライチェーン全体で利益を拡大する戦略を強化している状況です。
その小売業が取引先に要求する代表的なものは次のとおりです。
在庫管理だけでなくその周辺業務の課題解決の重要性を強調してきましたが、このような小売業の要求に対応するのかしないのか、またどのように対応するのかは企業にとって重要な意思決定が必要となります。
新たな取引先を開拓する営業部門と後方で支援する物流部門との意識の統一もしなければならないでしょう。
自社が認識する物流センター内の課題解決だけでなく、取引先の要望にも積極的に対応することが自社の強みとなり、その結果物流機能の強化にもなると考えます。
こうした物流センターの業務改善の中心となるのが在庫管理システムです。販売管理システムの在庫管理機能を利用する企業もありますが、現場にあわせた柔軟性を求めるなら、やはり専用のシステムを構築すべきでしょう。それがWMSといわれるものです。
物流現場においては、同一商品であっても倉庫別やロケーション別、荷姿別に管理することや、食品であれば日付やロット別にも在庫を把握する必要があります。
また、人手のかかる出荷作業を効率的に支援するピッキングリストや入荷した商品の在庫計上タイミングをきめ細かく設定できるといった機能は、一般的な販売管理では実現できない場合が多いのではないでしょうか。
そこで数多くのWMSが開発され大企業を中心に導入されてきました。ところがそれらは単なる在庫管理パッケージではなく、商品の最適な調達を支援する機能や効率的な運行管理、貨物追跡、多岐にわたる分析機能、豊富な管理帳票など、中堅企業にとってはあまりにも機能が高すぎるものがほとんどでした。
そのため、中堅企業にとっては使いこなすための要員や準備期間、投資コストが大きな課題となっています。我々が経験したWMSや個別開発した物流システムは、周辺システムとの連携を含めると2000万円から5000万円が平均的な価格帯ですが、2000万円を超えると導入できないという企業は少なくありません。
このように、周辺システムをパッケージ化した名人シリーズとの連携が容易で手ごろな価格の在庫管理パッケージに対するニーズが高まってきたことから、我々は様々な物流ニーズに対応可能な物流ソリューションの核となる「物流在庫名人」の開発を行いました。
「物流在庫名人」の主な特徴は下記のとおりです。
「物流在庫名人」のライセンスは基本パッケージが250万円からで、導入サポートサービスを含めても500万円での導入を可能としました。在庫管理の周辺業務はカスタマイズまたは名人シリーズと組み合わせることで約1000万円での提供を目指したものです。
特に小売業との連携に必要なオンライン受発注は「EOS名人」、WebEDI受注システムのブラウザ操作自動化は「WebEDI受信名人」(現行製品名:Autoブラウザ名人)、バーコードによる検品システムは「検品支援名人」、値札やラベル発行は「値札名人」など、既存の名人シリーズと組み合わせることで“最適な小売業対応物流システム"が構築できるようになっています。
「物流在庫名人」は、在庫管理のコアとなる業務をしぼり込み、使いやすさを重視しておりますが、下記のような物流作業を効率化する特徴的な機能も数多く含んでいます。
| 処理業務 | 物流作業を効率化する特徴的な機能 |
|---|---|
| 入荷 | ・入荷即出荷引当 |
| 出荷 |
・ホスト出荷指示データ取り込み ・出荷指示入力、訂正 ・EOS名人オンライン受注連携 |
| ピッキング |
・ロケーション別ピッキング ・管理日付による先入先出し ・消費期限出荷制限 ・納品先特性、出荷商品特性によるトータルピッキング、オーダーピッキング併用 ・バラ、ケース別ピッキング指示 |
| 出荷検品 |
・JANスキャン検品 ・一括検品 |
| 在庫 |
・複数倉庫、複数荷主 ・日付別在庫管理 ・固定ロケーション、フリーロケーション併用 ・ピッキング在庫と保管在庫のダブルトランザクション管理と補充指示機能 |
| 棚卸 |
・ロケーション別部分棚卸 ・荷動きのあった商品だけの循環棚卸 ・棚卸日指定在庫更新 |
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管理 各種CSV データ出力 |
・入出荷、ピッキング、欠品、在庫実績データ ・ロケーション別出荷頻度データ ・商品別最終出荷日付データ ・各マスタデータ |
WMSの導入目的は企業によって様々であすが、中堅企業が取り組むステップとして次のようなモデルが考えられます。
第1ステップは受注から出荷までの時間を短縮すること、正確に実物在庫数を把握すること、出荷ミスを防止すること。
第2ステップは、物流コストの削減に取り組むこと。
第3ステップは、効率的なロケーション配置や最適な在庫数を決定すること。
ここまでくると中堅企業ではかなりレベルの高い物流センターであると言えるでしょう。
「物流在庫名人」は、第1ステップの実現と業務改善の体制作りを支援するシステムです。そして第2ステップでは、今後新たに「運賃管理名人」と「送り状名人(運送EDI対応)」を発売し、物流コストの削減を支援します。
「運賃管理名人」は物流コストの約60%を占めるといわれる運送費をマネジメントするパッケージで、支払い運賃と物流管理費のコストダウンを支援します。
「送り状名人(運送EDI対応)」は送り状レスを推進する運送会社のEDI・ラベル発行システムをひとつにまとめ、さらに送り状の問合せ対応のスピードアップを支援するものです。