
JCA手順によるオンラインの課題を解決するため、小売・卸・メーカーが集結。 通信回線がインターネットになり、各社バラバラであったEDIメッセージを統一した。三十年にわたり利用されてきたJCA手順がいよいよ終結に向かう。
1982年、日本チェーンストア協会に加盟する小売企業が中心となりオンラインを標準化、JCA手順が制定された。1985年にはVAN事業が全面的に自由化され、これまで小売が自らおこなっていたデータの集配信をVAN事業者に委託し、JCA手順によるオンラインが一気に普及した。
取り扱うデータも受注から出荷、請求、支払などに拡大しEDIと呼ばれるようになる。しかし長年各企業にメリットをもたらしたEDIは、様々な問題点が浮き彫りになってきた。
@小売毎の対応が必要
やり取りするメッセージ(受注や請求データのこと)の内容が小売毎にバラバラで、注文を受ける企業では各社ごとのシステム開発が必要となる。
Aモデムの入手が困難
電話回線を利用するために必要となるモデムが製造されなくなってきた。
B通信速度が遅い
データ量が増大した現在、通信速度が遅いため、出荷などの業務に支障をきたしている。
さらに近年、WebEDIといわれるインターネットを利用した受発注システムが普及している。
これはブラウザ操作により受注データをダウンロードするため手作業を伴う。各社毎に操作方法が違うばかりか、自動化が非常に困難である。
こうしたEDIの問題を解決するため、経済産業省は流通システム標準化事業を推進してきた。小売・卸・メーカーなど多くの企業や団体が参加し検討を重ね、実証実験を通してまとめられたのが「流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)」だ。
流通BMSの最大の特徴は、対象とする業務プロセスを明確に整理したことで、メッセージ種及びデータ項目の定義がより明確になった。
そして多くの業界・業態が参加して標準を策定したことも大きな意味を持つ。
これにより小売とのEDIが統一され、個別開発から解放される。
また、通信はインターネットを利用するため、通信速度が格段に向上する。
そして「検品レス・伝票レス」を実現し、業界全体の業務の効率化を目指している(図1)。

経済産業省から事業を引き継ぎ、流通システム標準普及推進協議会(流通BMS協議会)を運営する財団法人流通システム開発センターは「流通BMSは流通業界の共通インフラであり、より多くの企業に導入してもらいたい」とし、維持・普及に取り組んでいる。
小売82社、卸・メーカー120社が導入済み。イオンは2012年末までに切り替えを要請
2007年春に流通BMSが発表され、すでに4年以上経過した。注目されている流通BMSは果たして普及しているのか。
流通BMS協議会が実施している導入実態調査で社名公開に応じた企業は、小売が82社、卸・メーカーが120社(2011年10月1日現在)。導入予定もそれぞれ、23社、24社となっており、年を追うごとに着実に導入企業が増加している。
業種でみるとスタート当時は、グロサリー(加工食品、酒類、日用品)の取引に限られていたが、現在では生鮮食品、医薬品、DIYなどに広がっている。また、百貨店においてはアパレルとの取引で新たな標準作りを行い、POS売上や消化型の取引など26メッセージを策定した。この百貨店メッセージは島屋、丸井が早くから導入をすすめ、EDI化率の向上に取り組んでいる(図2)。

2011年に入りイトーヨーカ堂、ユニー、マイカル、西友など大手小売が相次いで流通BMS導入説明会を開催。イオンは説明会で取引先に対し、2012年末までの切り替えを要請している。期日を明確にする理由は「一、早期のサプライチェーン全体最適化を推進、二、事業継続リスクの対応(取引先EDIシステム停止リスク対応)、三、大型汎用機のリプレースによるITコスト低減」としている。
いずれの小売も広く取引先に理解を求め、業界全体の効率化につながるよう流通BMSへの早期移行を願っている。
小売から要請を受けた卸・メーカーは流通BMSに対応したパッケージソフトを検討することになる。小売の説明会では推奨ソフトを紹介しているが、他のソフトもIT各社から数多く提供されている。その中でどのソフトが自社に適したものか、なかなか判断しづらい。そこで、流通BMS導入に失敗しないための10のポイントを紹介する。
まず、複数の小売との流通BMSに対応するには、1)小売の追加対応が可能か、2)小売の追加対応コストは適切か(または自社で開発可能か)、3)将来、PCからサーバーなどにシステム拡張できるかが重要。特定小売専用ソフトは複数小売の対応が難しい場合があるので注意が必要だ。
次に、開発コストを抑えるという視点では、4)データマッピング機能は使いやすいか、5)基幹システムとの連携は容易か、6)EDIシステムに各種メッセージをDBとして保管できるかをチェックしたい。流通BMSで仕様が統一されたとはいえ、小売ごとに取り扱う項目に違いがある。また基幹システムとの連携システムも必要だ。データマッピング機能の使いやすさがこれらデータ変換の開発に大きく左右する。
さらにEDI業務をどこまでカバーしているかという点で、7)拠点や複数端末からの処理は可能か、8)データの新規、訂正入力や帳票出力は可能か、9)出荷検品に対応しているかも確認しよう。そして、EDIを再構築する場合は、10)JCA、全銀、全銀TCP/IP手順にも対応している必要がある。(図3)

出荷実績1000本を誇るEOS名人、流通BMSからレガシーまで中堅企業のEDI業務をトータルでサポート
流通BMS協議会の支援会員である当社は、流通BMS普及に向け、卸・メーカー向けEDIパッケージ「EOS名人」を開発している。通信機能(流通BMSやJCA手順など)だけでなく、追加入力やデータ訂正、さらに帳票発行機能までを実装し、基幹システムではカバーしきれないEDI業務全般をサポートする。
流通BMS対応を機にEDIを汎用機やオフコンからオープン系に再構築したいという企業も多く、システムの移行や維持コストを極力抑えたいというニーズが高まっている。
そのため「EOS名人」は、流通BMSの基本形9メッセージをデータベースで提供し、データマッピング機能の使いやすさも追求している。
大手小売が流通BMSの導入を急いでいるとはいえ、しばらくはJCA手順によるEDIも残るだろう。しかし、いつまでも維持コストが高くつく基幹システムに残しておくわけにはいかない。
またWebEDIの対応(自動化、基幹システム連携など)も見過ごせない。
流通BMSだけの対応ではなく、今後のEDIプラットフォームをどうすればよいのか、検討する良いチャンスかもしれない。
※2011年11月10日発行の月間ロジスティクスITに掲載された記事を転載させていただきました。
流通BMSの導入はネットワークのしくみが変わるだけではありません。物流システムにも大きな影響を与えます。
それは、「伝票レス」への対応です。
流通BMSの大きな目的は、流通業界全体の業務の効率化にあります。そのため、先に説明したように「伝票レス」というしくみが非常に重要なポイントとなります。
では、「伝票レス」に対応するにはどのような前提条件が必要になるでしょうか。この前提条件は非常に重要ですので、自社の物流システムの現状を再確認し、いつでも「伝票レス」に対応できるよう準備しておきましょう。
詳しくは小冊子「『流通ビジネスメッセージ標準』の導入に失敗しない7つのチェックポイント」に詳しく解説しています(全30ページ)。この小冊子はご希望の方に無料でお届けしておりますので、ぜひこちらからお申し込みください。
小冊子の目次