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「信頼関係を築く」


 (慰安旅行の真意は信頼関係の構築にある)
 京セラでは、信頼関係を築くための一番大事な行事として、コンパというものをやってきました。そして、会社の行事は、全員参加を条件にしてきました。
 忘れもしません。創業し、一生懸命頑張って、段々と会社がよくなってきた30年代後半には、当時の日本の企業がやっていたように、社員の慰安旅行をしたのです。会社のなかで信頼関係を強め、家族と同じように絆を高めていこうとするものでした。
 社員旅行をするときには、たとえば「みんなよく頑張ってくれたので、この夏は社員旅行でどこそこに行きます」と発表します。当時は20代前半の人達が大半で、親子ほど齢の違う人達もいたわけですが、慰安旅行に行くと発表すると、「ガキみたいな連中と慰安旅行に行って、温泉に行ってもちっとも面白くない。夜はガヤガヤとガキ共と酒を飲んでも面白くない。オイオイ、その日は慰安旅行に行かないで、4人で麻雀でもしようやないか」と不埒なことを企む年寄りがいるのです。または、「そんなバカなところに行かないで、お金を別にもらって、我々は我々で大人の遊びで、どこかに行きたい」と言う者もいました。
 私は当時、それを烈火の如く怒りました。
 つまり、せっかく全員で慰安旅行に行こうというのは、ただ遊びに行くのではないのです。社員の絆を強め、信頼関係を増すために、慰安旅行に全員で行くのです。そういう機会にこそ、上司と部下という関係ではなく、横に広がった仲間として信頼関係を築いて行くのです。そのために慰安旅行に行こうというのであって、ただ単に遊びに行くんだと考えるものですから、そういう面白くない遊びに行くよりは、同じ中高年の連中だけで麻雀等して楽しもうではないかとなってしまうのです。私は慰安旅行、社員旅行というものを、社員同士、仲間同士の信頼関係を築くためにやったのです。
 日本の中小企業が、戦前から社員の慰安旅行をやってきたのは、経営者が社員に対して、よくやってくれましたという褒美として温泉に連れて行こうというだけではなく、それは多分に横の絆を深めていくためであったはずです。それが段々と形骸化してしまって、とにかくただ遊びだけというふうになってしまった。
 社員の慰安旅行というものを考えた戦前の日本の経営者の人達の意識は、もっと団結心を高めていこう、仲間同士の信頼関係を増していこう、身内としての人間関係をさらに固いものにしていこうという、そういう意図があったはずですが、それがなくなっている。そのために、京セラでは創業当時から、慰安旅行であれ、運動会であれ、何であれ、全員参加が鉄則になっていきました。

 (絆を深めるには、まずお互いを知り合うことから)
 「信頼関係を築く」ということは、絆を深める、絆を強くする、と解釈してもらえばいいと思います。
 では、絆を強くすると、どういうことが始まるのかというと、実は何でもないことなのです。お互いが自分を知ってもらうということが、始まりで、終わりなのです。たとえば部長が自分というものを知ってくれているかどうか。または社員が、社長は私のことを知ってくれているかどうかという。そのことが、実は信頼関係なんです。
 信頼関係というのは、何か約束事でもって、いろんな話をして、何かの取り決めをしたりすれば築けるものではありません。つまり、あの人と私は親しいんだ、あの人と私は話をしたんだ、あの人は私を知っているんだ、私もあの人を知っているんだ、あの人とはこの前、お酒を飲んで喋ったんだ、そういう他愛もないことが信頼関係を築くベースとなるのです。部下が上司に対して、「この人は立派な人だ。私はこの人のために」という高尚な信頼関係もありますが、私が今ここで言っている信頼関係は、もっともっと普通一般のことであって、お互いが知り合いということが信頼関係の始まりであり、終わりでもあるわけです。それだけでいいんです。
 「お互いにわかっている」ということが、実は信頼関係ができるもととなるのです。

 (コンパでの酒が人心の距離を縮める)
 その一番いい方法が、実は酒、車座になって酒を飲むということです。お酒やビールを飲んで、「オイオイ、おまえ」という調子で話すと、「いやあ、塾長、オレの名前を覚えてくれていたぞ」と急に親しみを感ずる、急に近くなってしまう。これが非常に大事なことなのです。
 たとえば忘年会、新年会等の飲み会があります。私は、相当会社が大きくなるまでのあいだ、忘年会に出ていました。しかしながら、12月に入りますと毎日、どの課か部で忘年会をやっています。それを30日間、12月中、続けなければならないのです。
 ひとつの忘年会も段々と大きくなってきて、50人から100人ぐらいの規模になっていきます。一回出ますと、たとえば50人と肩を叩いて、一緒に車座になって、お猪口に一杯ずつでもお酒を飲む。そうすると、たいへんな量になるわけです。
 一緒に車座になって、注いだり注がれたりして飲んでいる。そのなかで話をするのですから、なかに不埒な奴がいたりすると、「コラ、おまえは」と怒ったりします。ひとりの人間に私が烈火の如く怒るものですから、周囲の人はみんな白けてしまう。場が白けますから、一人だけを怒っているわけにはいきません。そいつは放ったらかして次のところに行って、次の人達にまた別の話をしなければならないのです。
 そしてそのときだけは、社長と社員ではなくて、一介の飲み友達みたいにして、「オイ、コラ」と飲んでいます。
 信頼関係というのは難しそうに見えますが、そういうことをしていますと、あの社長は私を知ってくれている、この前、あの社長と肩を組んで飲んだ、あの社長に怒られた、膝を叩いて「おまえ、バカか!」と怒られた────。怒られても、それが懐かしい、または自分を知ってくれているというふうに変わって、絆が深まっていくのです。私は理屈を越えて、社員との人間関係を作っていくのに、そういうことをしてきたのです。
 つまり、コンパをすることによって、自分も京セラという会社の仲間に入れてもらった、という認識を深めていく。そういう意味での、仲間に入れてもらえたという大きなセレモニー、儀式として、コンパ、飲み会を私は重要視してきたわけです。

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自己紹介

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所属:USAC SYSTEM Co.,Ltd.
役職:SI事業部 部長
誕生:昭和37年
        天秤座 B型
育ち:大阪 十三出身
現在:奈良県大和高田市
特技:剣道初段
        アマチュアボクシング
        フルマラソン4:30の体力
座右の銘:我以外皆我師
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経歴:
若い時代はセブンイレブンと呼ばれていました。
倫理法人会会員
週一回早起き実践中

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